3 創世能力と白い堕天使
プロローグと1と2を編集しました!
ミルたちは、洞窟の中を歩いていった。だんだんと薄暗くなっていくが、二人とも闇の中でも目が見えるためそこまで不自由しなかった。
「どこに行くんだ?」
「この先に城があってそこで数年に一度、魔王全員が集まるんだ」
「なら、そのとき行けばよかったじゃねえか、なんでわざわざ一人一人まわったんだ?大方、パニックになってすぐにでも会おうとしたんだろうけどな」
ヘルはウッと気まずそうに顔をそらした。
「わかってんなら聞かないでよ!ていうかなんでミルさっきから男言葉なの?」
「あぁ、こっちの方が少しは強くなれるかと思ってさ」
「ふぅん。ね、ところで僕の能力どう?一応創世能力って言ってさ、七大魔王も持ってない、世界で一番強い能力の一つなんだよ!」
ヘルの言葉に、ふと自分の手を見た。
「ふぅん、じゃあ私も同じくらいの能力持っているから私の能力も創世能力ってことか」
「そうだよ!普通転生者っていうのは能力持ちだけどすぐにモンスターに喰われるか、ペルソナにさらわれて天使にされるかなのに、君らは全員創世能力持ちだから僕びっくりしちゃった!」
「なるほど、やっぱりか」
その言葉にヘルは不満げな顔をした。
「…………ペルソナが転生者を集めていることとか、君ら全員創世能力持ちっていうところとか、転生者は君ら以外にもいるっていうところとかあるのにやっぱりで終わり?」
「予想ついてた。私ら全員すごい力持ってたし、私らがいるってことは他にも転生者いてもおかしくないし、なのにモンスターが普通にいて、死体もあるってことは私らの能力が異常なまでに強いってこともわかるし、ペルソナが俺らを襲ってきたってことは他の転生者をさらってるってことも予想つくしな。それにヘルはなんか転生者を見慣れてるぽかったし。大方さらっている理由は私みたいに部下にすればその能力を手に入れられるからだろ。自我を奪えば楽だしな」
「…………さすがミル、僕もう突っ込まないよ」
ヘルは疲れたような顔でため息をついた。
「そう考えると創世能力持ちはこの世界でもトップの力を持つということなのになんでお前は門前払いされてんだ?まぁだいたいもん勢払いされると思ってなくてパニックになったのと、大方このインダスって能力お前扱えないんだろ」
ヘルは気まずそうにあははと笑う。
「わかってるなら言わないでってば〜。てかミル創世能力二つも持っているのに二つとも操れるの?」
「勿論」
ミルは当たり前のことを言うように言った。
「わぁさっすが〜、今ミル間違いなくペルソナ除いて世界で一番強いよ〜」
「知ってる。ペルソナに勝つにはもっと創世能力を集めなきゃならないだろうからしっかりコントロールできるようにならないとな」
ミルの言葉にヘルはわぁっと声を上げる。
「ミル、クールだね。てか今のままでも普通にミル一人でヤハウェに勝てるんじゃないかなって思うのは僕の気のせいなのかな?」
「だろうな。だけどそんな力持ってるなら魔王に目をつけられるだろうし今のうちに挨拶でもしたほうがいいだろ。あわよくば魔王手下にできるかもだしな」
その言葉に、ヘルは一瞬ピタリと止まると、冷や汗を流した。
「……………今冗談かと思ったけど、今のミルなら普通にやれるね。僕、今更だけど怖くなっちゃったよ」
「そうか。ん?誰だあれ」
洞窟の壁には、羽が生えた白い髪の少女がもたれかかっていた。顔は赤く、熱を持っている。足は黒い痣がそこかしこにあり、少し動かすだけでつらそうだった。薄く開けられた瞼から開く目も白く服もしろく、肌さえも真っ白な少女が人形じゃないと思えるのは紅をさしたように紅くなっている少女の頰と呼吸するために上下に動く胸だけだった。
「天使だな」
「…………だね。もうミルといるとびっくりしなくなる自分にびっくりしたよ」
「そうか。ついでにもっとびっくりさせてやるよ。こいつ上級天使だ」
「…………まじ?」
「マジ。死にかけてるな、おそらく原因は足にある黒い痣だ。魔法の呪いだな。この魔力はペルソナだ。大方堕天使ってやつだろ」
ヘルはヒクリと頰を動かす。
「はは、すごいね」
「あぁ、手下にしたら良さそうだな。ひとまず治療するか」
「なんかもう僕疲れちゃった」
ヘルはハァっとため息をつく。
「疲れてたらこいつ死ぬぞ」
「はーい、わかったよ」
ミルとヘルはその堕天使を治療し始めた。
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