12 七つの大罪とヘルの闇
PCがぶっ壊れまして、更新遅れました。すいません。
週一投稿になります。
「いや〜お疲れ様」
ミルがねぎらいの言葉をかけると、全員が嬉しそうに跪いた。
「フィア、お前は一番早くに終わったな。その場にいるやつ全て皆殺しにしたから姿は見られてないだろう。よくやった」
「ありがとうございますミル様」
「ルージュ、お前は魔法で戦う方が得意なのに剣で戦うなんて真面目だな。訓練もできたし頑張ったな。」
「あ、ありがとうございます!」
「ヴォルジーノは一番派手にやったな。これで魔族の恐怖が体現されるだろう。お前もよくやったな」
「ふふん、我にとっては容易いことだ」
「コルドは蠱毒をしたのか。おかげでいい兵士が入った。ありがとな。」
「ミル様のためならば」
「ミナルドはゾンビか。おかげでアンデットのデータも入ったよ。ありがとう」
「ありがとうございます」
「リリーは、魔獣の量産かぁ。おかげで食糧問題も片付いた。いい子だ」
「えへへ〜、ミル様のためだもん!」
「クルトは遊んでたけど、圧倒的な力の差が出ていた。訓練にはなったけど、次からは遊ばないようにな」
「はぁ〜い、ちぇ」
「フィールも魔樹の量産で食糧問題が片付いた。ありがとな」
「いいえ〜。ミル様のためですから〜」
「さてと、それじゃかいさ〜ん」
「…え?」
フィアと七つの大罪が帰って行き、残ったのはヘルとミルだけだった。
「どうした?いつまで残ってる」
「あ、あのミル。僕は?」
「あぁお前か。お前は遊びすぎだ。人間は拷問したまま殺さねぇで帰ってくるし、そんなことしたら顔を見られたんだからバレるだろ?それに俺は手早くって言ったはずだぞ。お前は私の皆殺しにしろっていう命令と、手早くって命令を無視して公私混同をした。何かいうことあるか?」
「……………………ないです」
「そうか。じゃあ解散。これは命令だ」
「でも!」
「命令」
「………………はい」
ヘルは部屋から出て行った。
「何で僕怒られてんの?だってミルは僕のなのに。あ、そっか。あいつら殺して、僕だけになればいいんだ。そしたらミルは、僕のだ」
ヘルは他のみんなを探すと、みんなは訓練をするため訓練場にいた。
ヘルは訓練場へ歩いて行った。
「な〜んかヘル様って怖いのよねぇ」
ルージュは剣を振りながら呟く。
現在フィアが監視する中、ルージュは素振り、ヴォルジーノはバーベル上げ、コルドは魔力操作、ミナルドは走り込み、リリーは重量挙げ、クルトは腕立て伏せ、フィールは魔術操作の修行をしていた。
「しゃべっている暇があったら集中したらどうですか?」
フィアがギロリと睨むと、みんなあわてて集中し始めた。
「まぁ言いたいことはわかりますけどね。あの人は異常ですから」
フィアが話に乗ってきたことにルージュは意外そうに見る。
「珍しいですね。フィア様が話に乗ってくるなんて」
「私だってそのくらいありますよ。ヘルはミル様に対して束縛が強すぎる」
「束縛というのは?」
他の者たちも話に興味が湧いたのか耳を傾ける。
「あなたたちはミル様が自らの考えと合わないことを命令されたらどうしますか?」
「決まってます。どのような命令だろうともミル様のためならば絶対に遂行します」
ルージュが答え、他の七つの大罪も頷く。
「ですがヘルの場合、ミル様の命令に背きます。そして自らはミル様のためになることをしたと思うのです。どんな勝手をしたとしても自らが怒られるなど考えもしない。なぜなら自分はミル様の特別な存在だと思っているから」
「なっ」
七つの大罪は唖然とする。
彼らにとってミルとは神に等しい存在である。そのためミルのためならばどのような命令でも遂行するのが当たり前であり、その命令に逆らうなど万死に値することだと思っている。
そもそもミルが間違った命令など出すわけがないのだから、そこに自らの考えを入れてミルの命令に背くなど考えられない話であった。
「ヘルは自らがミル様の一番のお気に入りであり、自分の考えは全て通ると思っています。そして、ミル様が自分のものでないと嫌なのです。そんなこと、あるはずがないのに」
フィアは深いため息をつく。
「ミル様はそこを見抜いていらっしゃいます。ヘルがもしミル様に何かする気ならば私は迷わずヘルの首をこの手で撥ねてみせます」
その言葉を聞き、七つの大罪も覚悟を決めた顔をする。
そのとき、急に訓練場の扉が弾き飛ぶ。そこにいたのはヘルであった。
「ミルは僕のものなんだ。そうじゃないとおかしいんだ。だからこれはミルのためなんだよ。ミルの周りのうるさい羽虫を全て払ってあげる。そしたらミルは、僕を見てくれるんだ!」
ヘルはフィア達に向かって杖を向ける。
「『カーリー』!」
斬撃の嵐がフィア達に向かい、避けられないと感じたフィアはすぐさま障壁を張るが、耐えられそうにないと感じ、目を瞑った。
「『輪廻サンサーラ』」
声が響いたと思うと、斬撃の嵐は途中で止まり、ヘルへ向かって戻っていった。
ヘルは慌てて腕でかばう。
「『怠惰』」
ヘルが目を恐る恐る開けると、自らの周りには強固なバリアが張っており、バリアの外側には刃が床や壁に刺さり、キラキラと光っていた。
「『暴食』」
黒い渦が出来たかと思うと、その渦の中に刃は吸い込まれていった。
「これでよし。それでヘル?何か言いたいことはあるか?」
ミルがヘルの顔を覗き込むと、ヘルは真っ青になって口を開く。
「違うよこれは!これはミルのためで…」
「言い訳は後で聞く。『ダリット』」
ヘルの周りには光の鎖ができ、ヘルの体の中に入っていった。
「これでお前は能力を全て使えない。部屋から一週間でてくるな」
ヘルはミルを目を潤ませて見つめるが、ミルは冷たい目を向ける。
「『クシャトリア』命令だ、『部屋に戻れ』」
ヘルはばね仕掛けのように立ち上がると、部屋へ向かって壊れた人形のように歩いていく。
ミルはヘルが去っていくのを見届けた後、深い息を吐く。
「これからどうすっかなぁ」
天井を見上げると、ヒビの間から光が漏れ、ミルを照らすのであった。
ミルはなかなかのチートですね。