1 へんてこ少女
ミルはゆっくりとその少女に近づいた。
その少女は杖をしっかりと握りしめ、身体中傷だらけで衰弱しているようだっった。閉じられた瞼の間から覗く目は、髪と同じ綺麗な緑だった。
近くに落ちている棒でつついてみる。反応なし。
つねってみる、反応なし。
首の後ろを棒でぐりぐりやってみる、反応なし。
ひっくり返して腹にかかと落としを決めてみる。少女は飛び起きた。
「ギャーーー!!!何してんのぉ!」
「いや、なんか起こした方がいいのかな、て」
「起こし方に問題があるだろ!!」
その時、少女の腹からグゥ〜と音がした。
「お腹減ってんの?」
「…………ほっといて」
「そっか、わかったほっとく」
ミルは外へ行くと獣を狩り、山菜を採ってきた。
戻ってくると、少女は体育座りで壁の方を向いている。
ミルは獣を解体し始めた。体は強化しているので、スイスイ解体していく。
少女は未だに無視を決め込んでいる。
解体が終わると、ミルは魔法で岩から鍋を作り、手から水を出して火をつけた。
少女は少しだけちらりと見たが未だに無視を決め込んでいる。
ミルは水が沸騰すると、肉を削り、野菜を煮込んだ。
少女は体勢をそのままにずっと鍋を見ている。
ミルは鍋に蓋をして煮込んだ、辺りには美味しそうな匂いが出ている。
少女は四つん這いになってミルの方を凝視している。口からは涎が出ている。
数分後、ミルが火を消し鍋の蓋を開けた。
「いただきま………「待ったーーーー!!!」何」
「ねぇここにお腹を減らしてる子供がいるよ!体中ボロボロで死にかけてるよ!」
「私もボロボロだけど?それに子供だし(体はだけど)」
「嘘つけーー!!お前子供じゃないじゃん!」
ミルは不審げな顔で少女を見た。
「なんでそう思うの?」
「だってあんたらがこの世界に転生したの知ってるもん!あんたはそれで小さくなってるけど本当は大人でしょう!なんたって僕はあんたを転移させて…………」
ふと少女はミルを見ると、食事の手は止まり、少女を凝視している。少女はやばいと気付くとあわててごまかそうとし始めた。
「えっとそれはその…………………」
「どうゆう事?」
「あの……………」
「どうゆう事?」
「…………」
「どうゆう事?」
「説明します!説明するから〜〜」
「どうゆう事?」
「ヒィ〜〜〜」
少女は泣きべそをかき始めたが、ミルはそんなことを気にしている場合ではなかった。
「言う!いうからご飯食べさせて!もう何日も食べてないんだ!食べないとあんたに言う前に死んじゃう!」
「いいけど、食ったら言えよ?このコスプレボクっ娘めが」
「ハイィィィ」
ミルが鍋を渡すと、少女もとい、コスプレボクっ娘は素早く鍋を奪い取り手づかみでガツガツと食べ始めた。
1分もしないうちに、鍋は空っぽになった。
「ハァァァァ、助かったぁ」
「約束、言え」
「わかった、いう!いうから!」
コスプレボクっ娘は怯えながらも話し始めた。
プロローグと1と2を編集しました