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9 赤い悪夢・8
「全員暴れてますね。これでよしっと。」
フィアはフワァとあくびをした。すでにその場は血まみれで、死体が幾つも落ちていたがそんな中、血一つつかずに佇んでいるフィアは異常に見えた。
赤色の世界の中、真っ白なフィアは、綺麗でもあったが不気味でもある。
「それにしても、ヘルはどうなったのでしょうか。」
何事にも冷静沈着なフィアは、数えるほどでしか恐怖の対象を持たない。そんな数少ない恐怖の対象がヘルであった。
「…………私が言えることではないが、あの人のミルへの執着は凄まじすぎる。あの人の本性はドロドロとしていて、気味が悪い」
ヘルはミルにこそ本性を隠しているが、七つの大罪のものですら気づくほどヘルは異常だった。
「ミル様に何かする気なら、仲間だろうが、ミル様に疎まれようが私が殺す」
フィア・ラフィエルはそういうと、静かにその場から去っていった。