6 赤い悪夢・5
「う〜ん、こんなもんかな」
リリーはぶつぶつと言いながら、真下の村を見下ろす。
そこは凶暴化した魔物が村を襲い、阿鼻叫喚の図となっていた。
男たちが武器を持って立ち向かうも、すぐに魔物に食い殺され、その魔物はますます凶暴になっていった。
そうしている間にも、壊れた柵の間から続々と魔物は入ってくる。
リリーはそれを見て、満足そうに、頷いた。
「ウンウンその調子!やっぱ私の作戦よかったな〜。魔獣をおびき寄せ、食べた魔獣を凶暴化させてしまう草、ミル様命名リンリン草!それにしても、魔物から生まれたんじゃなくて、獣が魔素すって魔物になったのは魔獣だっつの。やっぱ人間は学がないね〜。ミル様が学校作れって言ったのわかったや。こうはなりたくないもんね、こうは。魔素だまりも作ったし。あ、あった〜」
リリーは家畜小屋に近づくと、中を覗き込んだ。
中には様々な家畜がいる。
「お、いたいた。じゃあみんなも暴れてきてね〜」
リリーが魔素をその場に貯めると、あっという間に家畜は魔獣になり、外の魔獣の群れに加わった。
「お〜し、順調順調。凶暴化した魔獣は後で家畜にできるし。魔族は魔獣を家畜にできるけど、人間は出来ないもんね!やっぱ人間は馬鹿だ〜」
リリー・ベルゼブブは嬉しそうに笑うと、夜の闇の中を滑空していった。