5 赤い悪夢・4
「全く、派手にするのは苦手なのに」
ミナルドは木の陰に潜みつつも、派手というものは何なのか考えていた。
「派手にやれというのは人間に恐怖心を与えるためなのですよね。つまり…」
ミナルドは考えたすえ、七つの大罪にテレパシーをした。
「もしもし、こちらミナルドです。派手というものがわからないのですが、一体どのようにすればよろしいのでしょうか」
「あたしはできるだけ派手に戦いながら、火をつけてるわよ。この後首塀に置いておくつもり」
「我は大型になって暴れておるわ」
「わっちは幻術で殺し合いさせてありんすよ」
「ん〜あたしは村の中に魔物ぶっこんでるよ〜」
「私は出てきた奴らの頭を弾き飛ばしてる!」
「私は木を動かしてますね〜。みんなそれぞれやればいいのでは?」
「しかし私はいつもできるだけ静かにやっているのですよ」
「でも全員バラバラの方がいいんじゃない?あ、フィア様かヘル様に聞けば?」
「…あなたにその勇気がおありで?」
「…ないわ。ごめん」
「まぁ頑張ってはみます。では」
ミナルドはテレパシーを切ると、はぁ、とため息をつく。
「やれるだけのことはやりますか」
ミナルドはちょうどそこらへんに歩いていた子供達に指を向ける。
すると、子供の一人が膨らみ、パンッと音を立てて弾けた。辺りには悲鳴が響く。
子供達は逃げようとするが、破裂した子供の血を浴びた子供が動かない。半狂乱になった子供がその子の肩を掴むと、子供は急にぐるりと振り向き、その子の手を食いちぎった。
そのまま子供を押し倒し、首に食らいついてその子を殺す。
すると、その子供の死体は徐々に起き上がり、他の子供に襲いかかった。
「血を浴びるか、絶命するか、噛まれるか。この三つの条件の一つでもそろえばアンデットになる。ミル様から聞いたゾンビエイガの話によるとこんなところでしょうか。まぁ、血を浴びた子供が一人村に向かって逃げたのでもう大丈夫でしょう。これでミル様が言っていた、アンデットのサンプルができますね」
ミナルド・マモンはそういうと、村から背を向けて歩き出した。