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雑踏の中の彼女と彼

21時45分頃に思いついた話です。

嗚呼・・・私はため息をついた。

今日は初デートだというのに残業をするハメになった。


なんでこうなんだ。


憧れの彼とやっとと思ったらこんな風。


今度は彼のほうが忙しくなってこのまま自然消滅。


私の恋愛のパターンだ。


私の会う人はちょっと変わった仕事をしていた。


私もだけど。


所詮、運命のめぐり合わせで出会った人たち。

うまくいかない場合のほうが多いのではないか。


私は自分に言い聞かせて資料を入力し始めた。


数字の連続で間違えそうだ。なんでこんな数字ばかりを…


あらためて資料を読むと統計的なデータばかりだった。


どうしてこんな数字今必要なのか。


派遣という仕事はよくわからないことをさせる。


そんな重要なポジションを部外者にやらせるわけには行かないがかといって

バイト的な仕事でもない。


周りを見回すと何人か残っている。いづれも話をしたことのない連中ばかりだ。


プロパーだろうと思ったが私と同じような人もいるかもしれない。


みんな黙々と仕事をしている。


私は時計を見た。もうスグ21時になる。彼と約束の時間だった。


彼にメールをしてみるか…

私は席を立ち上がりトイレに行った。


トイレは私だけが入っている。私は彼にメールを送った。


彼は怒っているだろう。


私は彼の写真を見た。実は今日はじめて会う。いわゆるメル友であり本当のところの「彼」ではない。


彼からの返信がすぐ来た。


「俺も残業しているから大丈夫。また今度ね」


そうか。残業しているんだ。


私はもう一度メールをして自分の席に戻った。


私は資料の厚さを確認し腕まくりして集中した。こんなのスグ終わらせてやる。


今日はあと30分で帰る。


私はコーヒーをグィっと飲むと入力始めた。


やっと仕上げるとそこでメールの着信があった。


彼からだ。


「仕事終わったよ」


私は返信したかったがデスクの整理をした。


私はもう一度トイレに入った。


私も仕事終わった…


とメールするために。


私は軽く化粧を直した。


でも今日はなんとなく会えそうな気がした。


帰りにバッタリとか。まさかね。でも待ち合わせ予定の場所は会社から割りと近い方だ。


私は身支度を整えた。


会社から出ると駅まで少し歩く。あたりの飲み屋も盛況さを見せている。


私は歩きながら店の中の男女をうらやましく見た。


駅に着くと21時45分だった。


電車はすでに出発していた。余所見をしていたからだ。


私は改札でなんとなく泣きたくなった。こんなところで恥ずかしい。でも、もう辛い。


私は耐えられずその場で泣いてしまった。泣き声は出さないようにしたが涙は出てくる。


こんな人ごみで誰が誰だと気づくもんか。


そう思うと私はついに声を上げて泣き出した。


その時メールが来た。


「今、駅の改札で泣いている人がいるんだ。俺も泣きたいよ。君に会いたかったな…」


お読みいただきありがとうございます。

他連載もボチボチ更新しますのでよろしくお願いします。

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