十一話 執筆開始
蛍に桜を見せると言ってから一週間が過ぎた。
その間、結花と作戦会議をしたり各自で調べたりとしてみたが打開策は見つかっていない。
それもそのはず、桜前線はすでに通り過ぎていて国内で見られるとしても、北海道あたりに咲いてる場所がちらほらといったところだ。
しかも同時進行で蛍の行動範囲なども調べてみたが蓮と同じで学校の外に出られなかった。
仮に出られたところで一緒に北海道まで行ける時間も金も無いわけで、かと言って「それじゃあ行ってらっしゃい、見てらっしゃい。」と一人で送り出せるわけもない。
芝桜という手もあるかなと思ったがそれを提案したら「私が蛍だったらその中途半端さ加減にお礼は言ったとしても成仏は絶対できない。」と結花に言われた。ごもっともだと思う。
蛍の体は会った時と比べると少しではあるが透けていっているらしい。
毎日一緒にいる蓮は何も言っていないが(というか気づいていないのだろう)結花が昨日言っていたので事実なのだろう。
時間が刻々と迫っている事への焦り、でも打開策が見つからないもどかしさ。
「完璧手詰まりじゃないか…。」
部室で一人、ぼやいてみるが何も浮かんでこない。
「どうしよ…。」
再び独り言をつぶやいた瞬間、部室のドアを誰かがノックした。
結花だったらノックはしないはず、けどそれ以外の人間で演劇部に来る人間は思い当たらない。
誰だろう?そう思いながらドアを開けるとそこには仙道が立っていた。
「こ、こんにちは。」
少しだけ緊張した雰囲気ながらはにかんだ笑顔で仙道が言う。
「い、いらっしゃい。」
予想外の訪問者だ。
「わぁー。すごいですね。何だか色々なものがありますね。」
部室に招き入れると先ほどの緊張した雰囲気はなく、舞台で使う小道具などを見てはしゃいだ声を出した。
「仙道さんの部室に比べるとあまり珍しいものはないかもしれないけど。」
まぁ、あっても困るのだが。
彼女がそれを聞いて振り返る。いつのまにか小道具の度無しメガネをつけていた。
「そうですか?私にとってはここにあるものも初めて見るものばかりで珍しいですよ。」
そう言って微笑むと少し大きいメガネが少しだけずれる。
狙ってやっているのか思えるほど可愛らしい。メガネも良く似合っていた。
顔が少し熱くなったが「可愛い。」なんて歯の浮く台詞を言えるわけもなく、
「もし良かったらいつでも来て良いよ。部員も少ないし、にぎやかなほうが嬉しいし。」
そう言うと顔を輝かせ、
「ありがとうございます。私、舞台にも興味があったので是非色々教えてください。」
それを聞いて結花がいなかったことに安心する。もし結花がいて今の言葉を聞いたらこの場で入部させかねない。
「それで、仙道さんはどうしたの?何か用だったんでしょ?」
そう訊ねると急に顔を赤らめ黙ってしまった。
そう言えばこの前初めて会ったときもこんな雰囲気になった事を思い出す。
確か局長が乱入してくる前、まるで告白でもしようとしている女の子みたいに…。
そう考えていると仙道は先日とまったく同じ事を口にした。
「あ、あの!今度…一緒に。」
そうだ、あの時もそこまでは聞いたのだ。
「今度一緒に、これに行きませんか?!」
そう言って一枚の紙を差し出す。
も、もしやデート?!いきなりのお誘いに驚きながらも紙を受け取る。
水族館?映画?初デートだとやはりその辺りだろうかと思い紙を見る。
『ファンイベント!北関東最大の麦畑で、ライアー麦畑を探せ!!』
思わず「はっ?」と声が漏れてしまったが仙道はそれに気づかずに一気に喋りだした。
「このイベントなんですけど私が入っているファンサイトが企画しているんです。原作のラストシーンの捜索シーンを実際に体験できて、しかも一番に捕まえた人にはプレゼントもあるんですよ!私行ってみたいとは思っていたのですけど一緒に行っていける人もいなくて。でも…行きたいんです。」
そこまで一気に言うと俺の顔を上目遣いに見て、
「一緒に行ってくれませんか?」
その可愛らしさに「もちろん!」と言ってしまいそうになったが踏みとどまる。
「えっと、何で俺に?」
そう聞くと少し顔を赤らめて、
「私、今までこの本で話の合う人と会ったことがなくて。でも羽鳥さんと会って話ができてすごく嬉しかったんです。こんなにも同じ本を好きな人がいるんだって。」
確かに本の話はしたが好きといった記憶はない。
「なので、もしご迷惑ではなかったら一緒に行ってくれませんか?」
再びの誘いになんと返事をしていいものか困ってしまう。
「あの、行きたいのはやまやまなんだけど。今は忙しくてさ。落ち着いたらでもいいかな?」
二人で出かけるというのはかなり魅力的だったが、何が悲しくてあまり好きでもなく思い入れも無い作品のイベントに参加し、麦畑をかけまわらないといけないんだ。
あわよくば蛍の件が片付く頃にはイベントも終わってしまっていて、「せっかくだし別の場所に。」などと言って普通に出かけられたらとなんて腹黒い事を考えてしまう。
「わかりました。このイベント以外にも色々とあるので日程は調整つきますので、いつでも言ってください。待っていますね。」
…。俺の腹黒い妄想をかき消す素敵な笑顔で言ってくれる彼女に何も言うことができない。
黙ったままの俺に彼女は少し間をおいて聞いてくる。
「あの…差し支えなければ教えてほしいのですが、そのお忙しい理由って先日言っていた蓮さんの件ですか?」
そう聞かれて、その後の進展を仙道にも局長にも直接話していなかった事に気づいた。
「そしたらさ、相談も兼ねて聞いてもらっていいかな?」
そう聞くと仙道は「はい。」と笑顔で答えてくれた。
結花と二人だけで考えてばかりだったので別の意見を聞いてみるのも手かもしれない。
「桜、ですか。確かに今の時期はもう散ってしまいましたからね…。」
蛍の話をすると仙道まで落胆したように肩を落とした
「うん、色々と調べてみたんだけど今の時期に見られ場所はなくてさ。」
「ごめんなさい。やはり私も咲いている場所は思い当たりません。」
「ううん、こちらこそいきなりごめんね。もう少し探してみるよ。」
やはりそうかと思いそう答えると、
「映画や小説の世界なら一年中散らない桜があったりしますけどね。残念です。」
先程聞いたばかりの話なのに本当に残念そうに仙道が口にする。
蓮の時もそうだったが本当に信じていてくれる様子を見ると、いつか騙されてしまわないかと心配に感じるが、それ以上に素直で良い子だなと思う。
「映画とかのはセットなんでしょうけど本当にリアルに……」
その言葉に思わず顔をあげ、仙道の肩を掴む。突然の事にびっくりした様子で俺の顔を覗き込んでくる。
「あ、あの…羽鳥…君?」
今までは実物の桜の事ばかり考えていて作り物など考えもしていなかった。
「確かに…確かに!その手があった!無ければ自分で作ればいいんだ。演劇部なら演劇のセットとして部費も使えるし申請もできるかもしれない。そっか、その手があった!」
勝手にテンションが上がっている俺の様子に仙道は戸惑った顔をしている。
「えっ…?あ、あの。」
その声に我に返り自分が仙道の肩を掴んだままだったことに気づく。
「あっ!ごめん。」
そう言って手を離すと仙道と目が合う。いくらテンションが上がっていたとはいえ自分の行動と手に残った温もりにどんどん顔が熱くなっていく。
「あの、よく分りませんが。何か案が見つかったみたいで良かったです。」
少し顔を赤くして照れたように笑いながら仙道が言ってくれる。
「うん、仙道さんのおかげで良い案が浮かんだよ、ありがとう。」
「い、いえ…。お役に立てて何よりです。」
そう言いながら顔がさらに赤くなった様子はやはり可愛らしかった。
「それでは、そろそろ失礼しますね。」
話がひと段落ついたところで仙道は、そう言って立ちあがった。
「うん、俺も蛍のとこに行ってみるよ。結花もいるだろうしさっきの話を進めないと。」
それを聞くと仙道は少しだけためらった後、
「あの。私も…。」
と言い俺のほうを見上げてくる。
今度はなんだろう?一緒に蛍の教室に行って蛍に会ってみたいとでも言うのだろうか?
続きを待っていると仙道はみるみる顔が赤くなっていき、
「あの。私も美月って名前で呼んでください!」
いきなりの申し出にたじろいでしまう。
「そ、そのほうがよければ俺はかまわないよ、仙…美月さん。俺のことも真でいいし。」
そう答えると美月は照れたように笑い、
「わ、わかりました…ま、真君…。蛍さんの事でお手伝いできることは言ってください。私に出来る事は協力させていただくので。」
そう言って笑顔で部室を出て行った。
胸が高鳴って顔が熱いのは良案が思いついたからなのか、美月から下の名前で呼ばれたからなのか?よく分らなかった。
蛍たちがいる教室に向かう途中、またしても和泉と廊下で鉢合わせた。
「やっほー!羽鳥君!」
相変わらずテンションが高い。
「この前の事、局長さんに話してきたよー。やっぱり局長さんの話はおもしろいねぇ。」
楽しそうにそう言う和泉を見て顔が引きつる。そういえばこの前も局長の事を知っている口ぶりだった。和泉と局長、この二人の会話には入りたくないなと思う。
「そっか、それは良かった。それじゃあな。」
「それでね、局長さんに報告したら「何?!それはさっそく活動せねば!」って…。」
「そっか、それは良かった。それじゃあな。」
どうにかして詳細を聞かずに立ち去ろうとしたが服を掴まれてしまった。
「ちょちょちょ、三分。三分で良いから聞いてよぉ。」
「い、いや。今は忙しいからまた今度。ゆっくり聞くから。」
そう言いながらどうにか服から和泉の手を引き剥がして小走りでエスケープする。
「りょうかーい!じゃあ明日の休み時間のどれかに行くねー!」
手を振りながら大声で言われた。せめて何時間目の休み時間とか昼休みとか指定してくれれば逃げようがあるのだが…。狙っているのか天然なのかはわからないが微妙にぼかされたせいで逃げ道が無くなった。明日の休み時間は注意しよう…。
やっと旧校舎に着き、蛍の教室がある階まで階段で降りようとする今度は結花と鉢合わせた。
「お疲れ様。どうしたの?」
和泉から逃げたまま小走りで来ていたため息が上がっている事に気づいたのだろう。結花が不思議そうに聞いてくる。
「つ、作ろう!」
息が整うのを待てずに口にする。
少しだけ考えたような顔をした後、少し驚いた様子で結花が口を開く。
「桜を?」
さすが結花だ。その声に頷くと結花は口角を上げて笑った。
「それじゃあ具体的な話を聞かせてくれる?」
演劇部室に戻り思いついたプランを結花に説明した。
一通り聞き終えた結花は立ち上がりホワイトボードの前に立つ。
「確かに、仮に蛍を外に連れ出せたとしても今から本物の桜を見つけるのはほぼ不可能。セットとしての桜ならサイズも多少は小さく出来るし一本でも十分舞台栄えはする。演劇部としての活動としてであれば部費も使えるし、真の言うとおり多少の増額も掛け合えるかもしれない。」
そう言いながらホワイトボードに「公演」「桜」とキーワードを書いていく。
「必要なものは…ざっとこんなところね。」
結花が必要なものを書き足していく。「脚本」「演者」「セット」「会場」「経費」。
「要するに…。」
「演劇に必要なもの、全部今のところは未決定!」
バンとホワイトボードを叩きながら結花がきっぱりと言う。
「…だな。」
「まぁこの中で選択肢が無くてほぼ決まっているものもあるしね。」
それぞれの項目の下に書き足していく。
・脚本 真、蓮
・演者 脚本に応じて
・セット 脚本に応じて(桜の木)
・会場 体育館
・経費 部費及び自腹
「ちなみに部費は現時点で恐ろしいほど少ないわ、人数も少ないし活動もまだしていないから生徒会からは部として存続できるかすら怪しまれている。」
この局面で初めて聞いた話だった。そこまで危なかったのか、演劇部は。
「見てのとおり脚本が決まらないと決定できない部分も多いから、真お願いね。」
考えないようにしていたが実はそこが一番の問題だった。
「あのさ、今日の蛍の様子はどうだった?その…残っている時間って、どのくらいだと思う?」
今まで結花に局本を読んでもらって認めてもらったことは無い。それに加えて今回は蛍のタイムリミットまである。どのくらいで書かなければいけないのか、できるなら具体的に知りたかった。
「私も…さっき聞いてみたの。自分では明確にはわからないらしいわ。でも…京子さんの姿を見ていたから、何となくはわかるらしいの…それで蛍が言うには…。」
結花が言葉を止める。嫌な予感がするが何も言えず続きを待つ。
「長くて…二週間。」
嫌な予感ほど的中してしまうものだと思う。
二週間、普段のペースで脚本を書いていたら書き上げる前に蛍は消えてしまう。
だからといって…だからといって今さら「間に合わないので無理です。」なんて言えるわけが無い。自分自身を鼓舞するために結花に指を広げて宣言する。
「五日。舞台やったこと無いからわからないけど、五日で脚本を仕上げれば間に合うか?」
俺の言葉に結花は、
「私も自分で舞台を仕切ったことなんて無いから、正直なところわからない。でも間に合うかどうかじゃないでしょ?」
言わんとする事を理解して結花に笑いかける。
「「間に合わせる!」」
示し合わせたように同じ事を口にすると、結花は満足気に笑った。
翌日から本格的に脚本制作にとりかかり始めた。
蓮との共同制作をするようにとの結花からのお達しだったため、今まで蛍の教室につきっきりだった蓮を呼び戻した。蛍を一人にするのもかわいそうに思えたので一緒に連れてきたため、演劇部の部室はいつも以上に賑やかだ。
「だからさー。やっぱり殺陣とか大事じゃない。演劇だし、桜なら時代劇も合うし…」
「確かに。でもドラマチックに越したことはないと俺は思う。やっぱり途中でトラックが突っ込んできて…」
「わ、私はやっぱりラブ…ロマンスがいいです。お、お姫様とお、王子様が…」
賑やかではある…が、まったくもって方向性の定まらない話し合いに発展していく。
当人である蛍の希望は「ラブロマンスでお姫様と王子様」。
だが申し訳ないが、却下だ。桜の木をどうやって絡めれば違和感がでない話になるのかまったく想像がつかないからだ。
そんな無法状態のまま二時間が過ぎたところで結花が帰ってきた。
二人の幽霊が顔を輝かせ結花に擦り寄っていく。
徐々に蛍が蓮のようになっている気がするのは気のせいだろうか。さっきも自分のやりたい演劇を言っていたし会った頃より打ち解けてくれているように感じた。
結花が部長席に座るのを待って今日の成果を聞いてみる。
今日、結花は桜のセットを作るための資材を市内の商店街に探しに行っていたのだ。
「本当は造花でクオリティが高いものもあったけど駄目。値段が合わないわ。だけど百円ショップにあった枝なら少し見劣りするけど良い物はあったわ。ネットでもいくつか候補はあるから大きさを見てそれぞれの必要本数を割り出すわ。そこで一番安いのを仕入れるつもり。」
なんだかほぼ決定している様子なのに驚いてしまう。
「さっすが結花すぁーん。本当に仕事が早い!部長の鏡!」
蓮が嬌声を上げてはしゃぐ。
「それはいいとして、脚本の方向性は決まった?」
蓮の事を完全に無視して聞いてくる。
「まだ。原案段階だけど、一応。」
そう言って取り合えず今まで出た意見をまとめた紙を結花に見せる。
「殺陣を入れた時代劇。それと王子様とお姫様のラブストーリー。」
結花が口にすると蓮が勢い良く「はい!」と挙手をする。それにつられ蛍もおずおずと「は、はい。」と手を上げた。
「却下。衣装を用意する余裕は無いわ。」
即答で却下された。だけど結花の言う事ももっともで、資金面を考えると衣装代は無いに等しい事に気づかなかった。
「あとは…ドラマチックな演出でトラックが…却下ね、これも。」
挙手をする間もなく却下されてしまった。理由はを聞きたい衝動にかられたが結花の顔を見てその衝動は無くなった。とても綺麗な笑顔で思わず背筋に冷たい汗が伝った。
「真、蓮。ちょっと。」
笑顔の結花に呼ばれ部長席に座る結花の前に並んで立つ。
「…真面目にやって。」
その言葉の瞬間、真顔に戻り凍てつくような目で射抜かれた。
「ア、アイアイサー!」
蓮が敬礼をする。えっ?軍隊なの?
戸惑っている俺のほうを蓮が横目で見ながら小声で話しかけてくる。
「ほら…。真も、早く。」
そう促されて結花を見るが先程と同じ氷のような瞳で俺を見てくる。
「「ア、ア、アイアイサー。」」
何でやらなければいけないのだろう?そう思いながらも結花のその視線から抜け出せるならと思い蓮と声を合わせて敬礼をする。
「今回は予算面が大きな問題だから衣装の事も考えて学園物で。出演者は三人で真は今回は脚本と演出だけお願いするわ。蛍もいるし一緒にいてあげないとだし。それと桜の木は一本だけ、舞台袖から半分だけ見える感じにするわ。はい!時間とお金は有限よ、ゴー!」
司令官のように人差し指で演劇部のドアを指差した。
別に脚本を書くのだから部室から出る必要などなかったのだが、条件反射のように俺と蓮は走るように部室を出た。
「こりゃあヤバイよねぇ。さっきの結花さん目がマジだったし。」
どこに行く当ても無かった俺たちは屋上に来ていた。ここなら他の生徒もいないため蓮と普通に話す事ができる。
「確かに、あの結花の顔からすると次にまた却下される時は俺もお前の仲間になるかもしれない。」
冗談だと言って笑いたいが先程の結花の顔を思い出すと笑えないのが恐ろしい。
それにしても結局、結花に頼ってばかりになってしまったなと思う。
もともとは脚本があってからセットなども決める手はずだったのに、予算面から桜の木の数や脚本も学園ものと決定してもらう始末だ。まったく、不甲斐ない。
「そういう部分は俺があらかじめ考えておくべきだったよな。」
そう蓮にこぼすと、
「まぁね。でも相手は結花さんだから。」
「確かに。」
それを言われると、そう返さざるをえない。
同じ年で幼稚園から一緒だったのだ。いったいいつの間にここまで差を付けられたものか。そんな事を思ったが、蓮に言ったところで「結花さんだから。」と言われ、それに対して俺は「確かに。」とだけ言うのだろう。
何にしても学園物で桜の木は一本。衣装や小道具に予算は下りないしトラックも却下。
その縛りの上で脚本を仕上げなければいけないのだ。そして、時間は有限。
「さて、やるか。」
「そうだね。今度こそ結花さんに認めてもらおう。」
蓮と頷きあって脚本作りを再開する。