俺なんか
俺がこの能力を気が付いたのはほんの数年前だった。何でこんな能力を授かったのか分からない。
人の嘘を見抜く力、でもこれはゲームや漫画に出てくる便利な能力出はなく、使えば完璧な力を発揮するファンタジーでは無い。多分俺が馬鹿だからこの能力に脳が追いついていないんだろう。きっと頭が良いやつがこの能力に目覚めていたらこんな苦労も無かったのかもしれない。
実際に能力を使用しているときは目眩がする様な頭痛がする。俺は頭痛持ちでは無いので頭痛って二日酔いくらいでしか感じたことない。
そんな俺が本番、いざ交渉の場所にサブで参加する時に感じたこと無いような疲労と頭痛がやってくるが、相手を隅々まで分かったような気分が感じられ、それは今のところただの妄想では無いと実感出来るぐらいにはこの黄昏の夜の世界で実績を上げている。
ただ相方にも完全では無いことや確実なダメージの事は隠してないから酷使したり全能感は無いものと思ってる。能力を切る事も出来ず、最初の頃はいまより酷かった。
最近は馬鹿なチンピラとの交渉モドキからガチの反社との交渉、詐欺師との騙し合いにまで発展する事になるとは思わなかった。
俺がこの能力を感じた最初の事件を話をしよう。あれは秋の始まり暑いけど時より寒くもなる季節のかわり目、俺はアンリと約束の場所に向かっていた。相変わらずアンリはうるさかったので聞き流していた。
街を歩く人々の声がはっきり聞こえるような錯覚におちいった。少女が母親に嘘をつく、もう元気になったと、多分体調不良だったのだろう。でも行動を阻害されるのが嫌で何ともないと言ったんだろう。
そんなたわいない言葉が母親の親が子を思う言葉「あなたの事が心配なの」と言う言葉に俺は我慢できずに母親が子どもに伸ばした手を取り、嘘つくなと言い放った。
固まる親子、アンリも驚愕して固まっている。俺の行動は異常だし、俺がそんな他人に無差別に関わろうとする人間とは程遠い事をアンリは分かっているから俺の行動に驚愕しているんだろう。
ちなみに俺も自分の行動に素直に驚いていたが、確信は揺るぎなかったので母親の手を離さなかった。
無言の俺に抗議する母親、俺は無口な方なので黙ったまま母親の手は離さなかった。面倒な事になった。自業自得なんだけど、どうすれば良いのか分からずに立ち尽くしているとアンリが母親をなだめている、すると遠くから女が大きい声を出しながら走り寄ってくる。
子どもは大声の女の方に走り出しママと叫んだ。子どもを抱きしめる大声の女が母親だったらしいので、最初に母親だと思っていた女の手を話す。
何か文句や言い訳を言っていた気がするし、アンリは逃げた女を逃さないと走り出したが、俺は今日の予定であるチンピラの元に黙って向かう。
田原洋平42歳 ウチの店のキャストに付きまとっている男、普通の会社員らしいが身なりは金髪に入れ墨、黒いジャージに金のネックレス、完全に小太りのヤーさんスタイルのオッサン。
後から合流したアンリが穏便に収めようとして下手に出ている事をいい事に好き勝手言うものだから俺がちょいちょい前に出て圧をかければ引いてくれるのでガチもんではないので割と簡単な話しだった。
何とか納得してくれたようで帰り際、アンリが社交辞令でまた店に来てくださいと言った。こんなオッサンでも金払いは良かったので節度を守ってもらえばまた来て欲しい客ではある。
それでもプライドを傷つけられた男がまた行くよって言うから嘘だと思った。
単純に店や嬢に迷惑がられてまた来る客なんてストーカーぐらいしかいない。でもウチの店はそこそこグレーな店でその恩恵で稼ぎも良いがそれ故、様々な問題が起こる。
だから今回もいき過ぎた客が店から注意されて行きにくくなる、他の店も無くはない。用心棒として仕事もこなしたつもりだしもう来ないパターンだろうとなんの疑問も無かった。
でも違った。次の日、オッサンは店でお気に入りの嬢と一緒に首を吊っていた。赤いクチナシの花を携えて。
警察は自殺、無理心中で捜索が進んだし、自分も他の店の従業員も事情聴取され、明らかに状況は無理心中で進む事が決定的だった。
でも俺はもう店にまた行くって嘘を言った。もう行かないと意思表示をしたオッサンが何でまた店に来たのか、俺には信じられなかった。
俺が思ってる疑問、また行くと嘘を付いたオッサンが次の日に店に来る何て俺は混乱した。当たり前の事だ、普通考えたらプライドを傷つけられたオッサンが嬢と揉め事になり無理心中したのでは、って誰だってそう思うのに俺はただ店に来るはずないと確信していたオッサンが店にいるわけ無いと言う矛盾に取り憑かれていた。
頭が可笑しくなりそうだった。生まれて初めてビンボーゆすりなど終始落ち着かない様子で警察には怪しまれたと思う。ただ、アンリやオーナーがうまく説明してくれたみたいだし、アリバイも認められ、解放された。
ただ違和感と疑問と頭痛に悩まされ、面倒くさいので酒を飲んで誤魔化してはいたがどうにも我慢できずに、アンリに話す事にした。
何で2人を殺したのかを




