“米が高い国”の真実
〜農政の矛盾と再生。食料安保というラスト・ミッション〜
「総理、スーパーでコシヒカリが5kgで3,000円……これはちょっと……」
庶民派の議員が、苦笑まじりに耳打ちしてきた。
——なぜアメリカ産の米は安いのに、日本の米はここまで高いのか?
——なぜ“米離れ”が進んでも、農地は守られ続けるのか?
この問いは、俺の改革日記の中でも最も根の深い問題だった。
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■「米が高い」5つの理由(事実)
1. 生産コストが高すぎる(小規模・高齢化)
→ 平均農家の耕作面積は2〜3ha。機械化非効率+兼業農家多数
2. 減反政策の影響(需給調整による人工的価格維持)
→ かつて“米を作るな”と国が指導。供給制限で価格は維持された
3. 農協による価格コントロール
→ 買い取り制度・出荷調整で“自由価格”が機能しない
4. 関税で外国産が排除されている(高関税+検疫規制)
→ 例えばアメリカ産米には1kgあたり300〜400円の関税
5. 消費減少に伴う“少量多コスト構造”
→ 需要が減っても機械や施設の維持費は変わらない
「つまり、“市場”で決まってるようで、まったく決まってない価格なんだな……」
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■政策名:「日本農業リブート計画」
〜“高くても買いたい農産物”にするための構造改革〜
1. 「農業法人化インセンティブ法」制定
→ 個人農家を集約し、地域ごとの法人農業に移行
→ 経営は民間、土地は持分として出資可能
2. 「デジタル農地台帳」導入+流動化税制優遇
→ 遊休農地を一元管理・貸借促進、担い手に集中化
→ 地域農業法人へ優先割当+固定資産税を軽減
3. 「食料安保予算」を創設し、コメ価格を補助金で調整へ移行
→ 減反撤廃。市場価格で流通し、不足分は国が“直接所得補填”で調整
4. 学校給食・自衛隊・病院など“公共需要”を地元米へ直接契約
→ コメ消費の“戦略的確保”で安定需要を創出
5. 「農産物の生産地明示ポイント制」導入(スーパー等で義務付け)
→ 国産の価値を“見える化”し、消費者の選択を促す
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「“安いから選ばれる米”から、“誇れるから選ばれる米”へ――これが俺の答えだ」
農林水産委員会でそう言い切った俺に、長年農協にいた議員が静かにつぶやいた。
「……総理、本気で“農政”を変えるつもりなんですね」
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■今日の学び:「食とは“価格”ではなく“安全保障”である」
・戦争が起きたとき、真っ先に止まるのは“輸入”だ。
・異常気象が起きたとき、食を守るのは“地元”の農家だ。
・高いか安いかではない。“あるかないか”が問われる時代に入ったのだ。
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俺は日記にこう記した。
> コメの価格とは、その国の“国民がどれだけ自国の農業を信じているか”の鏡だ。
農業とは過去の遺産ではなく、未来を食わせる産業だ。
国が滅びるとき、最初に飢えるのは農を捨てた者たちだ。