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【みじめ】スキルで異世界生存中  作者: 岩流佐令
第一章 気絶、拉致、臨死
15/80

14匹目 ネコ、捕食中④

にゃんにゃんぺろぺろ

「わたしのスキルね、【捕食】っていうの……」


 ネコ耳美女は、ベルに囁く。


 ベルは思案した。ここはどこだ?

 ──部屋だ。見知らぬ部屋。

 この前の、ベルが地下牢に囚われた屋敷ほどは広くない。

 が、落ち着いた美しさのある高級な室内だ。

 部屋の中央の気品のあるベッドに、ベルは寝かされていた。


()()()()()()()()()()()()()()()()──素敵でしょう?」


 ベルは身体が拘束されて動けない。

 その上に、シュルシュル……と上衣を脱いだ美女が、おもむろにまたがった。

 森閑とした薄暗い女の部屋で、仄かな、色のついた光芒が二人を照らす。


 ネズ耳少女は怯えた瞳で目の前の天敵を見る。と、ネコ耳美女の目が細められた。

 ネコは、ネズミの顔を撫でる──恍惚の表情。


「あなたって本当、かわいい……」




 ■■■




 部屋に水音が響く。猫が水を舐めるような、粘着質な音。


 いつの間にか、ネズミの服は破られていた──その肌を。


 首から肩へ。

 肩から胸へ。

 胸から腹へ。


 ネコの首がゆっくりと移動する。


 闇の中に時折、ビク、ビクと震える影がある。

 小さな、恐怖を帯びた悲鳴も聴こえてくる。……


「──ネズミはね、こうなる運命なの」


 ネコが言う。


「あなたも知ってるでしょ? わたしたちの歴史──『ネズミを()べれば強い力が手に入る』ってやつ……」


「…………」


「ニンゲンも、よく考えるわよね。……本当、馬鹿だわ」


 ネコはニヤリ、と口角を上げる。


「あたしはね、()()()が嫌い。でも、あなたのことは好きよ。……あら、あなた」


 ネコが、何かに気づいた。ニヤニヤと笑う。


「どうりで今朝、血なまぐさいと思った。子どもじゃなかったのね。ますます良いわ」


 ネズ耳が、ピンク色に燃えた。顔を背ける。


「けど……これじゃあ、だめね」


 ネコは、『今は』と置くと、


「あと二週間ほど待つかな。……それまで、じっくり可愛がらせて頂戴」


 再び、顔を撫でる。ネコは凄惨に笑った。




 ■■■




 ガブリッ!


 ベルは美女の指を噛んだ!


「────ッ!」


 美女は、反射的に仰け反る。

 と、すぐに噛まれた指の反対の手で、ベルの髪を強引に引っ掴んだ。

 少女の頭がベッドから離れ、宙に浮いた。


「……この野郎」


 美女の威嚇するような低い唸り声が部屋に響く。

 が、少女は毅然とした目つきで、キッと敵を睨む。


「フ」


 美女は急に、溢した。


「フフ、フ……今気づいた。暗がりと髪に紛れて、わかんなかったけど」


「…………」


「あんた、『穴付き』ね」


 少女の瞳孔が大きく見開かれる。

 彼女は急激に首を振り、髪を掴むネコの魔手から逃れた。

 ドサッという布の音とともに、ベルの身体がベッドに落ちた。


 美女がベッドからゆらりと半身を起こし、膝立ちになる。

 その尻尾が揺れ、毛が逆立ち、ブラシのように膨らんだ。


「いいわ、気が変わった。……今、喰ってやる!」

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