第七話 戦果と違和感
オミ達は一斉に、そして瞬時に気配を断つ。
当初、俺はこれに苦労したもんだ。
覚えてるよ、サバイバルゲーム。趣味の一つ。
ガンショップの常連客が集まって始めて、二十人を越えたあたりでチームになって、知り合いの山を借りて遊んでた。
いい年こいたおっさん達がわぁわぁやってたなぁ。
その中に『殺気を感じる』『殺気が見える』というメンバーが二人いたんだ。ひとりは異様に勘が鋭く、もうひとりは古武道をやってた。
どんなに息を潜めて隠れていても、的確に狙って撃ってくるんだもん。かなわねぇよ。
だから悟られないように気配を消す為にあれやこれや考えて、自分を草や樹と思い込む手法に落ち着いた。それと同時に殺気だけはわかるようになったのが大きいかな。
ふっと感じるわけよ。
後頭部だったり、おでこだったり。そっと指で突かれる感覚。これが殺気。
幸いこれを覚えていたんで、森林戦がメインの今世では大いに助かってるよ。
サバイバルゲームと違って命を落とすからな。
遠くにみえる人影が現れる。その数は五人。
話に聞いた通り、耳が異様に大きく尖っている耳長族だ。
んーイメージと違うな。厳つい顔だ。体つきは細マッチョ。
服は……あーあれだ、いかにもなファンタジー衣装。
鎧というか防具みたいなものは着けてない。兵士ではない?
不思議なことに耳長族達は警戒する素振りを見せずに歩いてくる。
変だな。あ、学者とかそういう人種なのか?
よし。
いいぞ。そのまま進め。
キルゾーンへ入ったぞ!
オミへ目で合図。オミ達が一斉に矢を放つ。
五本の矢が同時に木の実へ突き刺ささった瞬間。
轟音の四重奏。ショットガンの一斉射みたいだ。
破裂した木の実から放たれた種子、小石、金属屑が耳長族へ容赦なく突き刺さる。
悲鳴。
混乱。
怒号。
流血。
大きな耳には破裂音も堪えただろう。
そして第二射によって耳長族の五人は屍と化して崩れ落ちる。
数十秒で殲滅だ。
オミが満面の笑みで振り返って俺を見る。
俺はつい癖で親指を立てて「グッジョブ!」と言ってしまい……変な顔をされた。