第五話 遺跡
昼の鐘が鳴る。準備を整えた少年が広場へ行くとオミ達が待っていた。
総勢十人の精鋭部隊だ。中央から派遣された部隊も十人。
結構な大所帯に少し安心する俺。
「何も聞いてないけど、すぐに行くの?」
「うん、そうだよぅ」
「どこなのかな?」
「山向こうの遺跡だねぇ」
「あそこかぁ…まぁ待ち伏せには向いてるかな」
「そうそう。だからあんたの新しいモノが役に立ちそうなんだよねぇ」
山一つ越えたところに石造りの都市が存在している。
石は雨風に晒され風化、植物に侵食され森に埋もれるように存在する古代遺跡。
この国の北側に広がる大森林には、こういった遺跡が点在している。
俺も好奇心にかられて、そのうちの一つに行ったことはある。同い年の戦士に付き合ってもらって。
古代遺跡はロマンだから!
隙間なく積まれた石垣、上下水道としか思えない構造物、外側は風化してるが、建屋の中は滑らかに研磨されており、緻密な装飾が施されている。
そして見たこともないオブジェや使い方もわからない道具の成れの果てみたいなものがあったりする。
高度な文明の発達した国があったのだろう。素人目でも明らかだ。
その遺跡は傭兵部族『き』の所有なのだが、たまに他国から遺跡を荒らす者達がやってくる。
オミ達は戦がない時はそこの警備を任されていて、今回のような討伐も仕事のひとつ。
俺はなるべく荒事にならないよう祈った。怖いものは怖い。