表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気がついたら古墳時代レベルの異世界に  作者: はるゆめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/21

第十八話 滅びの始まり

 あれから一年。

 色々と大きく様変わりした。


 俺たちの国は正式に国名を制定。それは『まと』。中央でゴタゴタがあったらしいが、あの王が流石の手腕でまとめたそうだ。支配部族『まと』はそのまま中央政府になった。


 ガイザ国へ王が表敬訪問し、友好的な同盟条約をむすんだ。両国はダンジョンの転移門を通じてしか行き来できないため、互いに国防を考えなくていいのがその背景にある。


『まと』の造船技術で南大陸まで行くのは到底不可能。手漕ぎボートで日本からオーストラリアまで行けるか? って感じ。無理。


 ガイザ国との交流はますます活発になった、規模も頻度も。農業、土木の技術から料理に至るまで互いのものが行き来する。ユリーカは国営の送迎バスと化した。


『まと』にとって一番大きな収穫は製鉄技術がもたらされたことだろう。

 ただ製鉄が盛んになると燃料となる山の木が大量に消費され、その結果ハゲ山が増えては困る。土砂災害怖い。植樹のことを上申しておいた。大巫女様の言ことは必ず王へ通る。


 ドラゴン皇女さんは、妖術部族『きさ』から派遣された術師が何かしたらしい。秘術だから詳しいことは一切わからないが、随分と協力的になりディザ帝国の情報を話してくれた。洗脳だろう。

 気の毒だが殺意剥き出しで襲ってきたのは彼女だから同情はしない。

 彼女は自由奔放に帝国のあちこちへ出歩いていたそうでかなり詳しい。


 作戦行動時以外は文字通り籠の鳥だったユリーカと大違い。常に厳重な監視下に置かれ、他者との接触を制限されてたユリーカ。

 同じ皇女とは言え境遇が違いすぎるな。

 ドラゴン皇女さんの情報を元に、長距離偵察部隊が大森林を越えて、ディザ帝国の領土まで行くことになった。

 この一年、帝国の鷲騎兵も全く現れていない。


 俺たちがいる簡易拠点はもう既に立派な街になった。明日はオウルグ将軍が久しぶりに訪ねてくるので、迎賓天幕内で準備する。


 その夜、俺は中央政府から派遣された記録編纂係の言葉をぼんやり思い出す。

 記録を始めて以来の大事件が立て続けに起きたこと、これは数十年前の混乱した時期の星の運行と同じだという。だから更に何かが起こるのでは? と予測しているらしい。


 俺は生前SF、特に小説が好きだった。その記憶ははっきりある。中学と高校の図書室にあるSFは全て読み漁ったものだ。ま、それ以外にもフロイトとかミステリーも読んだけど。


 活字中毒なのを自覚したのは、大人になってweb小説を読み漁るようになったから。書籍やアニメになった異世界転生もの小説も少しは読んだ。


 俺は異世界転生ってやつだよな?

 転生特典(チートスキル)なんてそんな都合の良いものもない。ま、誰かにそんなの貰うなんてのも願い下げだけど。


 過ぎた力を持ったら俺は間違いなく慢心するだろうし堕落するさ。苦労もせず手に入れた力なんてそんなもの。


 普通の子どもでいいんだ、俺は。

 

 唯一チートと言えるのはパワードスーツ。けどあれは偶然俺が触ったからユーザー認証しただけだろうし。


 死んだ時の記憶もないし、神様にも出会ってない。こういうのはバグみたいなもんで、神がいたとしてもこんな些事に関わることないってのが俺の持論。


 そんな俺だが、俺の意識が芽生えたこと、この国で次々起きた出来事は何か因果というか縁というか、そういうものがあるかもしれないと考えることがある。


 考え過ぎなだけかもしれないが、人生においても『こんなことってあるの?』みたいな都合の良い経験を何度かしたからな。


 そして会社の飲み会、同窓会、色々な人との話の中でも、似たような『まるでご都合主義みたいな経験』を彼、彼女らからも聞いたから、誰しもが経験すると思う。


 だから記録編纂係の言葉が現実感を帯びてくる。何かが起きる、それは間違いないだろうと。


 俺には何の役割が与えられてるのだろうか。

 何が出来るのだろうか。

 ここにいる誰もが無事で済むように頑張ろうと決意して眠りにつ……痛っ! ミサの腕が俺の鼻にヒット! 涙が出るぐらい痛い!

 こいつ!


 実はミサ、寝相がすごく悪い。足で蹴られる、上に乗っかられるなんて毎日のことだ。

 ミサも立派な女の体となったから、俺へのダメージも子どもの頃に比べて倍増だ。


 あまりに頭に来た時はミサを寝床から追い出す。

 朝怒られるけどな、しゃーない。お前が寝相を直せ。


 翌日、オウルグ将軍とラミテス、ガイザ国大使の王女様を迎賓天幕にて接待。

 重要な話とのことで、中央政府から派遣された文官と大巫女様も同席。


「実は最近我が国に漂着したディザ帝国の人間が驚くべきことを話したのだ」


 要約する。

 ディザ帝国にいくつかのダンジョンが出現した。

 そこからは見たこともない怪物が帝国全土に現れ、殺戮の限りを尽くし始めた。しかもそいつらは転移能力を持っていて、仕留めるのに時間がかかる。


 神出鬼没の怪物。


 帝国軍が総力をあげてそれらを排除しているが、一進一退という状況らしい。むしろ形勢は不利。


 ガイザ国へ漂着したのは、町がその怪物に壊滅させられ、海しか退路がなく、船で逃げ出したとのこと。自警団や常駐の兵士達は全く歯が立たなかったそうだ。


 帝国はユリーカやドラゴン皇女さんの捜索どころじゃなくなったわけだ。


 これ、対岸の火事じゃないよな……。


--------------------------------------------

 ディザ帝国領内偵察報告


【行程と偵察範囲】

 耳長族の支配地域と山脈北の麓にある帝国領内の集落(複数)。 


【状況】

 我々は街道より外れた道を辿った為、気付くのが遅れたが、観察した範囲全てが壊滅状況であった。


 最初は耳長族支配地域。

 生きた耳長族の姿は見かけず。

 建物は全て半壊状態。

 畑は完全に荒廃しており、少なく見積もっても二年以上放置されてると雑草の繁茂で推定される。


 耳長族の支配地域に隣接する帝国領土へ。

 無人の集落が続く。

 耳長族の支配地域と同じ。


 ダンジョン発見。『き』の近くにある洞窟状のものと酷似。そこから出てきた複数の敵性生物と遭遇。

 森で見かける猿に酷似するも背中に棘が毛髪のように生えており、それを武器として飛ばしてくる。

 特筆すべきはユリーカ元皇女と同じ転移能力を使うこと。ただ連続して使うことは出来ないと思われる。転移距離も数メートルほど。それ以上の距離を転移できるかは不明。


 全員で戦闘。殲滅。損害は全て中央政府軍兵士。十名のうち五名が負傷。


『き』の部隊十名は負傷者無し。大いに善戦した。彼らの言によると、森で狩る猿と動きが変わらず、転移しても気配と獣臭で察知できるので対応は可能。『き』の戦士は狩人も兼任しているためである。


 中央政府軍兵士は対人を想定しているので対処には訓練が必要となる。


 当該生物の一部を持ち帰ることとし、記録画に残す。


 負傷者が出たことと、これ以上先へ進むのは領土侵犯発覚の恐れがある為、撤退を決定。


 このような状況がこの地域だけなのかは現時点では不明。ただ領土を荒廃したまま放置してることを鑑みるに帝国領内は異常事態になっていると思われる。

 ユリーカ元皇女や『き』を襲撃した捕虜(皇女)の証言『帝国は隅々まで徹底して支配・管理している』と照らし合わせての推論である。



 報告者 マト中央政府軍 隊長 ソガ


 --------------------------------------------

 この報告書を受けての対策会議の要約。


【参加者】

 まと王

 摂政五名

『き』大巫女

 各部族長


【ダンジョン異変とそこから出現した毛針猿】


 この事象がディザ帝国に限ったことか?


 現在ガイザ国にある七箇所のダンジョンに異常無し。

 ※大使館より伝達


『き』に存在するダンジョンも同様。一時的にダンジョン内の転移門の使用を凍結。

 ガイザ国の騎士隊とまと政府軍兵士による合同軍で監視中。


 また大森林にある遺跡は異常無し。


 ダンジョン出現、予断を許さない状況である。


『き』大巫女の発言。

 以前より占いにおいて北の不穏な気配を王には進言していた。ディザ帝国との戦と予想していたが、この異変のことだと確定した。

 依然として不穏な気配は濃厚。



【ディザ帝国への第二次偵察隊派遣】


 これを機に正式な使者を送るべきではないか?


 それを決める為の材料が欲しいので前回同様、極秘偵察が望ましいのではないか?


 第二次偵察隊の派遣決定。

 不測の事態に備え、ユリーカ元皇女の同行。

 前回の辺境地域より先にある帝国の人口密集地域「都市」まで偵察。

 帝国臣民に擬装した部隊を随行させる。これは毛針猿への対応可能な『き』の戦士隊とする。


 中央政府軍、各部族の戦士隊、『き』の戦士、これらの合同演習。


『き』より提案のあった避難場所の設定と避難訓練の計画と実施。


 --------------------------------------------

 第二次偵察隊に行けることになった。

 オミの部隊十人、ユリーカ、ラミテス、俺、ハバ。

 結構な大所帯になった。ハバと俺は記録観察係。ある程度自衛が出来るからという理由で同行を許可された。

 俺はメディックでもあるしな。


 ラミテスはガイザ国へ漂着する人民を派遣するディザ帝国の実地調査をガイザ国王からの勅命で参加。鎧は目立つから俺たちと同じような服を着てもらい、ギリースーツも手渡す。額の角は帽子で隠す。いざという時は魔法、頼りにしてるぜ!


「なぁ、船で海を渡るのを禁じてるガイザ国の神様はさ、ダンジョンの転移門で他国や他の大陸へ行くのは禁じてないの?」

「ああそうだ」


 謎の教義である。


 俺たちはユリーカの転移で移動し続け、帝国有数の都市へと到着する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ