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気がついたら古墳時代レベルの異世界に  作者: はるゆめ


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第十四話 ファンタジー世界との邂逅

 何だありゃ。 


 大きな洋館、庭園、白いテーブル、白いチェア、そしてそこに立つ男女。


 その光景が光の輪の中に見える。

 女、いや少女か、貴族って感じの装いに身を包む白人娘さん。

 俺たちは大体中央アジア風な顔立ち、ユリーカもラテンっぽい人種、だからとにかく見たことない風貌。


 その隣には見慣れたスーツ姿のおっさんが立ってる。

 日本人、中国人、韓国人、フィリピン人、とにかくそっち系の顔したやつが俺に銃を向けてる。

 あれ、AKだな。

 AKM?AK74?

 それを俺の方へ向けて構えてる。


 パワードスーツをパージ。

 手を挙げながらまずは伝える。


「Don't shoot! 撃たないで」 

「日本語?」


 おっさんが驚いたように目を見張る。

 あ、アフガニスタンとかその辺っぽいもんな、俺の見た目。


「अरे, का तुम एक दूसरे का जानत हौ?」

「大丈夫だ。俺がいるから」


 少女の方は全く知らん言語なのに、おっさんは日本語で返してる。変なの。


「んー、とにかく話し合おうよ。こっちもわけわからないさ」

「あぁ、わかった。んじゃこっち来いよ。変なことすんなよ。さっきのバトルスーツ?も無しでな」

「あ、うん」


 でかい邸宅、広大な庭園。はぁお貴族さまってやつ?

 振り向くとマンホールの蓋。

 異なる次元を繋ぐゲート?


 とりあえず腰掛ける。


「あんた、日本人だよな?」

「そうだが……、お前さん、日本育ちのインド人か?」

「違うよ。さっき俺がいた空間は日本じゃないし、それどころか地球でもない」

「そっちもか?」

「んん?この外人の女の子、北欧あたりのロイヤルファミリーとかじゃないの?」

「貴族には違いないが、ここも地球じゃない」

「俺はさ、この身体のまま、途中で日本人としての記憶が目覚めたんだ」

「俺は気がついたら森の中にいて、この娘さんに出会ったんだ。そうするとお前さんは異世界転生ってやつで、俺は転移だな」

「実際にあるんだな、こんなことって」

「いまだに実感ないけどな。さっきのアレなんだ?」

「あーうん、古代遺跡があって、そこのオブジェ触ったらパワードスーツになった。何を言ってるかわからないと思うけど」

「それはそれは。古代の超文明かオーパーツってやつか」

「そうそう。そっちこそ、なんでAK?」

「これはこの娘さんから魔力?ってのを供給してもらって出現したもんだ。ファンタジーだよな」

「俺、ファンタジー詳しくないけど何でもありだな、魔法。他にも呼び出せるの?」

「あぁ。向こうで触ったことある武器なら呼び出せるぜ。八九式とかハイキャパとか」

「AK触ったことあるなんて反社の人だった?」

「違うわ!海外の射撃体験ツアーだ」

「あ、なるほど。八九式は自衛隊の基地祭だね?」

「そうだ。お前さん、詳しいな?」

「あっちじゃサバゲーやってたから。ある程度は詳しくなる」


 するとさっきから少女が話に入ってくる。


「お二人のお話がさっぱりわかりません」


 あれ?日本語?


「意思疎通の魔法です。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


 微笑む少女。ふぁ、ファンタジー。


「今の名前はハヤだ。日本での名前は思い出せない」

「わたくしはメグ・ベアターナと申しますわ。こちらは神獣のコバヤシ様。ハヤ様もコバヤシ様と同じニホン出身ですのね?」

「そう、日本だよ。それにしても……神獣?なんだそりゃ」

「俺もわけわからん。けど不思議パワーでこうやって銃器を召喚させたり出来るから、ただの人間ってわけでもないが」

「ふぁ、ファンタジー……」


 それから俺たちは互いの状況を語り合う。生きていた年代もほぼ同じだ。首相が誰かとか国内や世界情勢も同じだった。


「それにしてもお前さん、ハードモードだな。邪馬台国とローマ帝国の戦争か……」

「そそ。攻めてこられたら俺達滅亡まっしぐら。マジで」

「こっちもこっちで油断ならん奴らとことを構えなきゃならんが」

「そっちのってアレだよね。知らん間に人間になり変わるエイリアン」


 小林氏達は人間そっくりに擬態した怪物が目下の敵らしい。魔王軍とかそういうのじゃないとのこと。


「そうだな。言うなればモグラ叩きみたいなものだが、お前さんの方が大変だぞ?戦争は数だからな」

「そうそれ。山脈と大森林が隔ててくれてるのが救いかもだけど、海から来たら詰むよ。こっちはろくな船がないし」


 するとそれまで沈黙を守っていたマンホールの蓋が再び強い光を放ち始める。


「お?タイムリミットか?そうだ、これやるから何かの足しにしてくれ」


 おっさんは八九式を出現させ俺に手渡す。


「正直、これは触ったことはあっても撃ったことないんで扱いきれん。あとこれな、本物と違ってリロード無しでずっとフルオート撃てるし、いくら撃ってもバレルは熱くならん。ジャムも起こらない、そういう不思議アサルトライフルだ」

「ふぁ、ファンタジー。ありがとう、いただくよ。お互いうまく生き延びよう!」

「あぁ」

「すまん、俺から進呈するものは何もないけど、二人のことはあっちで物語として残るようにするよ!」

「ははっ、そりゃいいな。御伽話になるわけだ」


 マンホールの蓋をくぐる。

 手を振る二人に振り返すと、その光景は消えた。


 八九式を見ていると、突然水飴のように変形した。呼んでもないのにパワードスーツが装着される。ガンメタリックのスライムみたいになった八九式はパワードスーツと一体化した。


「なんだなんだ?」


 あ、わかる。

 念じる。

 右手を上げる。

 指先から次々と飛び出す何か。

 洞窟の壁を削り飛ばした。


 うわぁお。

 すげぇテクノロジー。

 パワードスーツに武装!


「ありがとうコバヤシさんよ」


 俺は異世界にいる同志に礼を言った。さて。姫様を守るおっさんの物語の語り部になるぞと決意して、オミたちの方へ走って戻ることにした。


 さてその後。

 報告したのはマンホールの蓋があることだけ。

 異世界へと通じるゲートであるとか、小林氏達との邂逅については話してない。

 再現性は疑わしいし、わかってもらえそうにないから。


 その後の協議で学術部族『ぬ』から常駐の調査隊が俺達の天幕に隣接することになった。


 ハバと小さな女の子の二人組である。

 ハバはメガネが似合いそうな四角い顔のマッチョ、『ぬ』の遺跡専門家だ。女の子はハバの娘であり後継者候補。


『ぬ』は作物や獣の品種改良から治水工事の研究、天体観測と何から何まで研究をしている。

 だから人手不足が当たり前なのだ。


 品種改良と言えば、現代日本で見かけたような立派な野菜なんてものはない。

 あれらは数百年かかって品種改良されたものだ。

 以前、トウモロコシやゴボウの原種を調べて驚いた記憶がある。ただの草と言われても違和感ない。

 ここにあるものが全てその原種なので、馴染みの米、果物、野菜は諦めてる。


 農耕が徐々に広がり始めたばかりだもんなぁ。


「ハバ、遺跡がこんな風に突然出てきたってことあるの?」

「あるな。東の端にある部族『ねう』の中心にある遺跡がそうだ。遺跡のそばに記録石板があって、それによると今から五十年前に突然現れたそうだ」

「ふむふむ。中はどうなってるの?」

「色々なものがあったらしいんだがな。当時は『まと』の支配も及んでなかったゆえに、何もかも盗掘され続けてしまった」

「あー、部族間協定もなかったからか」

「そうだ。どこかの部族が隠し持ってるだろう」

「俺が着ている鎧みたいなのもあるのかな」


 そもそもあのパワードスーツが何故俺に対して発動してのかも謎だし。


「それはどうだろう。『まと』が国の統一に動き出した時に、そのような力を使って抵抗したという記録は無い」

「使い方わからないだけな気がするな」

「そうだハヤ、お前だからあれも使えた」

「将来的には実現出来そうな技術だから、あれが何なのか理解出来たと思うんだ」


 当分先だろうけど。あれまんまSFだ。用途だけは未だ不明だけど。機能から考えて宇宙服かなぁ。


「それとユリーカが現れた遺跡の石群、彼女の転移の邪魔にならぬよう解体したぞ」

「そりゃ良かった。じゃ川のそばの遺跡も?」

「同じように処理した。配置を変えると役をなさないのも確認済みだ。追跡調査の結果、他の遺跡に石群は無い」

「そうなんだね」


 これからユリーカは転移を自由に使えるわけだ。


 ハバが笑う。良い笑顔。


「ふふ、楽しそうな話をしているな」


 背後にユリーカが現れた!


「また来たのか……ってバボは?」

「昼寝してたから置いてきた。ここは息抜きにちょうど良い。『ぬ』での転移実験、あれの尋問は一段落したのでな。」

「ドラゴン皇女さんは……」

「結局口を割らなかった。拷問に耐える訓練も幼い頃から受けてるからな」

「皇族怖いぞ……」

「権力者の義務だ」

「もしかして帝国、結構まとも?」

「そうでなければ帝国はあそこまで繁栄出来ぬ。傘下に収めた小国の中には権利だけで貪っている王族や貴族がいたが」

「やっぱり」

「この国がそうならんよう願ってる」


 ディザ帝国も帝政から共和制へと変わった時代もあり、その後また元通りになったと以前ユリーカは教えてくれたっけな。


 俺は『まと』の王を思い浮かべる。何となくあの人は大丈夫な気がするけど、権力構造が出来上がった後、どうなるか?だ。

 企業だって初代が苦労して創業したのを二代目や三代目が傾かせるのもよくある話だった。

 纏まってた国がまた分裂したりってのもよくある話だもんな。


「ドラゴン皇女さんを差し向けたのが誰なのかだけ、気になるなぁ」

「皇族を動かせるのは皇帝、皇族だけだ」

「ユリーカは誰だと思う?」


 最近はユリーカ呼びである。ユリーカに『お前の“ユリーカさま”にはむしろ揶揄う気配を感じる』と見抜かれたからだ。バレたか。


「おそらく皇帝か皇帝に近しい皇族であろう。私の能力を知り、使ってきた者達でもある」

「やはりユリーカの能力が惜しい?それとも邪魔?」

「皇帝は欲しているはずだ。私は皇族の暗殺もしているからな、皇帝の命で」

「それじゃユリーカを排除したいのって……ドロドロの権力闘争やん……。こっちに攻めてくるの確定っぽい」


 蹂躙される『き』、燃え上がる大森林、そんなイメージが浮かぶ。


「皇帝は元々この地に関心は無い。軍を動かすにしても費用が膨大になる。議会の承認も得られまい」

「あ、議会あるんだ。そりゃそうか」


 亡国の皇帝が誕生したら破滅だからな。


「アレ(ドラゴン皇女)を単騎で、その前は鷲騎兵が数騎か、それらが精々であろう」

「大森林広いのになぁ、探すの大変やん」

「鷲騎兵を私が見つけたら、自ら向かうと思ってるからだ」

「あ、そうか。亡命するとは思ってないもんね。ならユリーカに見つけてもらえばいいだけか。それにしてもドラゴンさん、どうやってユリーカを見つけたんだろ」

「私を見つけたのではない。お前達を、だ」

「あれだけ擬装したのに」

「あれと同じ種類のドラゴンを帝国は数百頭飼っている。我々とは根本的に違う感覚器官を持っているというのが結論だ。学者がそう言っておった」


 ほぉ。さすがドラゴン、ファンタジー生物。まるで偵察爆撃機だわ。

 その夜はユリーカも一緒に夕食となった。

 オミとユリーカ、結構気が合うみたい。俺はハバのと遅くまで話し込んだ。

 ミサとハバの娘は何度も睡魔によって仲良く舟を漕ぎながら俺たちの話を聞いていたが寝落ち。

 可愛いものである。

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