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第七話

「今日の所は、三人の顔合わせとどんな事に協力してほしいのかっていう説明だけだから、これでお終い。後の時間は紅茶とお菓子をゆっくり楽しみながら、談笑でもしましょうか」

「賛成‼」

「分かりました」


 少し冷えてしまった紅茶と、見た目からして高級なのが分かるお菓子を、それぞれいただく。

 紅茶は冷めていようが味も香りも素晴らしく、使われている茶葉が超高級品であるのは当然ながらも、この紅茶を入れた人の腕も一流であるという事は、紅茶に関しての教養があまりない俺でも分かる。

 次にお菓子だ。

 どこかの高級店のものか、公爵家お抱えの料理人による手作りのお菓子なのかは分からないが、どちらにしても美味しい。

 ファンタジー世界によくあるような、砂糖がたっぷり過ぎるほどに使われた甘すぎるお菓子ではなく、分量がしっかりと守られて作られいる、現代日本のお菓子と遜色ないものだ。


「お味の方はどうです?」

「とても美味しいです。()に食べたものと遜色がないです」

「そうだよね‼流石はイザベラ‼これが十年前まであれだったなんて、信じられないわよ」


 クララ嬢の言葉が気になり、イザベラ嬢にどういうことかと聞いてみる。


「十年前まであれだった、とは?」

「私がテコ入れするまでは、砂糖たっぷりの甘いだけのお菓子が、この世界では普通だったの。お母様と一緒に外出した時には我慢して口にしてたけど、それでも限界が来ちゃってね。お母様を味方に付けて、迅速に動いたわ」

「なるほど」


 公爵夫人も女性だ。甘いものはイザベラ嬢同様お好きなのだろう。

 そんな公爵夫人を味方に付けたのなら、とんとん拍子に食の改革は進んでいっただろう。


「それにしても、ハンス料理長また腕を上げたんじゃない?」

「そうなのよ。そのお蔭で試食の回数も増えちゃって、お腹周りも…………ごほん‼今のは聞かなかった事にしてください」

「はい、分かっております。俺は何も聞いておりません」


 イザベラ嬢が、顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。

 その姿はとても可愛らしく、前世を通して女性との交際経験がない俺はドキリとさせられてしまうが、幸いにも二人にその事は気づかれなかった。

 前世を通して三十数年。ずっと彼女が出来ずに独り身、それも一度もそう言った経験がないと知られてしまったら、恥ずかしくて死ぬかもしれん。

 そんな事を考えている間にも、女性二人の会話は続いている。

 イザベラ嬢はまだ顔を少し赤らめながら、お菓子の食べ過ぎによって増えたお腹周りの悩みを話し、クララ嬢は同じ女性として危機感を抱きながらも、イザベラ嬢のプロポーションは十分魅力的であると伝えている。

 しかし、イザベラ嬢の表情はすぐれない。

 すると、クララ嬢が俺の方を向き、キラーパスを出してきた。


「ウォルターさん。イザベラは女性として十分魅力的ですよね?」

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