第五十二話
ブリュノさんのお店の美味しい料理に舌鼓を打ち、楽しくわいわい騒がしく盛り上がりながら、役者さんたちや裏方さんたちと会話していく。
劇団に所属している人たちは、皆社交性が非常に高く、様々な分野に精通している博識な方々ばかり。
そして、そんな博識な皆さんは魔法学院卒業生の先輩で、この打ち上げは先輩後輩の交流の場でもあるのだ。
先輩たちにも魔法学院に関する情報網があり、それによって知り得た情報に関して、現役の魔法学院生である私たちに色々と聞いてくる。
その中で一番興味を持たれていたのは、やはりアルベルト殿下たちアホ男共の話題についてだった。
「という事は、耳にした例の噂は本当なのね」
一人の女優さんがそう言うと、卒業生の先輩方が次々と口を開いていく。
「はぁ~、いくら王族とはいえ、同じ男として情けないな」
「ナタリーちゃんも殿下の事が好きで、お互いに両想いなら、好きな人を守ってあげたいって気持ちは理解するわ。だけど、ナタリーちゃんは殿下の事は好きじゃないし、マルグリット様にも迷惑かけまくっているから論外ね」
「殿下は今、恋に恋してるって状態みたいだな」
女優さんの言葉を聞いた一人の俳優さんが、今の殿下の状態を的確に表す。
その俳優さんの言葉に、この場にいる全員が正にそれだと納得して頷く。
「だが、イザベラお嬢様が味方なら安心だ」
「そうね。こんなに頼りがいのあるイザベラお嬢様が一緒に戦ってくれるなら、どんな相手でも強気でいけるわよ」
皆もアホ男共の情報を収集していて、色々と危惧していたようだ。
先輩たちは短い時間の交流ではあるが、クララたちが良い子であることを理解してくれた。
そして、マルグリット様とナタリーさんが当事者であると分かると、勇気づけるために積極的に話しかけてくれる。
「イザベラお嬢様がいるから安心だが、何か困った事があったら俺たちにも頼ってくれよ」
「私たち劇団で長く働いてるから、見に来てくれるお客さんとも長い付き合いや交流があるの」
「貴族たちは勿論の事、商人さんや職人さんたちにも伝手があるから。何かあった時には力になってあげられるわ」
「身を隠す事になった時にも、私たちが協力してあげるからね。遠慮せずに頼ってきなさい」
ダミアンの劇団は王都でも人気であり、様々な人たちが観劇をしに訪れるのだ。
その中には何度も訪れるリピーターもいて、親しい付き合いのある貴族や商人たちも多い。
いざという時、ダミアンの劇団とその者たちの繋がりを利用させてもらえれば、マルグリット様とナタリーさんを守る事が出来るだろう。
親身になってくれる先輩たちに、マルグリット様とナタリーさんが一礼して感謝を告げる。
「「ありがとうございます」」
二人の近くにいる先輩たちが、任せろと肩をポンポンと優しく叩く。
これで、心強い先輩たちを二人の味方につける事が出来た。
前世でもそうだったが、乙女ゲームだろうとファンタジー世界だろうと、学校を卒業したOB・OGたちの影響力と言うのは非常に大きい。
この場にいる先輩たちは、王国最高峰である劇団に所属している事からも分かる通り、非常に優秀な方たちばかり。
私の事をもの凄く持ち上げて評価してくれていたが、私からして見れば先輩たちの方がもの凄く頼りになる。
だからこそ、頼もしい先輩たちの協力を得られるようにしておきたかったのだ。
そんな先輩たちがクララたちを気に入ってくれた事や、何かあった時には協力すると明言をしてくれた事に、私はホッと胸を撫で下ろしたのだった。
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