第四十七話
「まずは、ウォルター君に贈る魔道具を選び直しましょう。さっき選んだ戦闘用の魔道具は、初心者向けに近いものだったから。ウォルター君があれらをベイルトン辺境伯領や魔境で使うと、一戦の間でも保てばいい方ね」
カトリーヌさんの言葉に、私は驚きを隠せない。
ナターシャ魔道具店の魔道具はどれも素晴らしく、他国でも壊れにくい事で有名だ。
「王国最高峰と呼ばれるナターシャ魔道具店の魔道具ですよ?それも、一般的な魔道具じゃなくて戦闘用の魔道具。例え初心者向けに近いものだったとしても、たったの一戦でなんて……」
ウォルターさんが優秀な剣士であったとしても、たったの一戦で壊れてしまうなんてあり得るのだろうか?
「普通はそう思うわよね。でも、事実なの。ウォルター君に初めて戦闘用の魔道具をあげた時、魔境で一体の魔物と戦闘になったんだけど、その一戦が終わる前に修復不可能なまでに壊れたわ」
「それは魔境の魔物が凄いのか、それともウォルターさんの方が凄いのか分かりませんね」
私の言葉を聞いたカトリーヌさんが、確かにそうねといった表情になる。
「私はどっちも凄いと感じたわ。ナターシャの志を継いできた私たちは、魔道具の性能や耐久性に自信を持っている。そんな魔道具を簡単に壊してしまう魔物もウォルター君も、どっちも化け物だと私は思った。だから、もっと高性能で高耐久の魔道具を選ぶ必要があるわ。……愚問だけれど、予算の方は大丈夫よね?」
「これでも、貴族の頂点である公爵家の娘。多少高価なものでも大丈夫です」
自信を持ってそう答えると、カトリーヌさんはニヤリと笑う。
「了解。それじゃあ、お友達と一緒に店の奥に行きましょうか。彼女たちも、私やイザベラの仲間なんでしょ?」
「そうです。……皆を連れてきますので、ここで待っていてください」
「分かったわ」
カトリーヌさんをこの場に残して、私はクララたちを呼びに向かう。
幸いにも皆目的の売り場に残っていてくれたので、短い時間で集合する事が出来た。
全員でカトリーヌさんが待っている所に移動し、カトリーヌさんとそれぞれ自己紹介を交わす。
「私はカトリーヌ・マルソー。ナターシャ魔道具店の魔道具師をしているわ」
カトリーヌさんの自己紹介に、クララたちも自己紹介を返していく。
「クララ・ベルトーネです」
「マルグリット・ベルナールと申します」
「ナタリー・コーベットです」
「「「よろしくお願いします」」」
クララたちの家名を聞いて、カトリーヌさんが驚いた表情になる。
「男爵家の中でも裕福なベルトーネ家にコーベット家、それにベルナールっていったら公爵家じゃない」
驚くカトリーヌさんに、私がどういった繋がりなのかを説明していく。
「私たちは魔法学院の同級生なんです。最近仲良くなったマルグリット様やナタリーさんと親交を深める為に、今日は一緒にお出掛けしていたんです」
「私も魔法学院でかけがえのない友人たちを得たわ。でも、学院を卒業すると中々会う事も出来なくなる友人もいる。イザベラたちも出会いを大切にして、いつまでも仲の良い友人でいなさい」
「「「「はい!!」」」」
三人共嬉しそうに微笑んでいて、私たちの友情がいつまでも続くものであると確信させてくれる。
その事にじんわりと心が温かくなり、自然と笑みが浮かんでいた。
「皆揃った事だし、店の奥に行きましょう。店の奥にある魔道具なら、ウォルター君の力に耐えられるものや、イザベラたちの力になってくれる魔道具があるわ」
私たちはカトリーナさんの先導に続き、ナターシャ魔道具店の奥へと足を進めていく。
カトリーヌさんの自信満々の様子から考えるに、店の奥にある魔道具の数々は、ナターシャ魔道具店の魔道具師たちの自信作ばかりのようだ。
店の奥にはどんな魔道具があるのか、楽しみでワクワクしてしまう。
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