第十八話
輝くプラチナブロンドのロングストレートに、グリーンの瞳。
どちらかというと可愛らしい顔立ちをしており、マルグリット様と同じくプロポーションの方も良い。
外見だけで言えば、可愛らしいお姫様と言える。まあ、実際に王家の血がその身に流れているから、お姫様という表現も間違いではないけど。
対するマルグリット様はというと、同じくプラチナブロンドのポニーテールにグリーンの瞳だが、顔立ちはローラと真逆の綺麗系であり、プロポーション抜群のお姉さまといった感じ。
前世の日本で言えば、某歌劇団の男役にピッタリのカッコいい女性。現に学院の女生徒たちの何割かは、マルグリット様の事をお姉さまと呼んでいるほど。
そしてナタリーさんはといえば、ブラウンのショートボブにブラウンの瞳をした、男顔の綺麗系な顔立ちをしている。
彫が深く目鼻立ちがハッキリとしていて、ザ・芸能人といった感じのクールビューティ―な美人さん。プロポーションに関しても抜群なのは間違いないけれど、マルグリット様に比べると、お胸様が少しばかり小さい。
そんな事を思った瞬間、ナタリーさんがギロリとした視線で私を見てきた。
なので、私は自分のお皿からスフレパンケーキを一枚、ナタリーさんのお皿へとスッと移動させる。
すると、厳しかった視線が和らぎ、何時ものナタリーさんに戻ってくれた。事なきを得てホッと胸を撫で下ろしていると、何時の間にやらマルグリット様とローラの雰囲気が険悪になっている。
「お姉さまこそ、いい加減ナタリーさんを苛めるのは止めてくださいな。栄えある公爵家の者が、そのような低俗な真似をしているなどと知られたら、いい笑い者ですわ」
ローラの一方的な言葉に、マルグリット様は冷静に返す。
「私とナタリーさんは仲の良いお友達よ。そんなナタリーさんを、苛めた事もなければ嫌がらせをした事もないわ。ローラ、貴女こそいい加減にしてほしいわ」
「何をいい加減にするというの?」
「その、何でもかんでも私がやったかのように触れ回る事よ」
「何を言っているのよ。全部本当の事じゃない」
ハッキリと断言するローラに、マルグリット様は呆れてしょうがないといった雰囲気になる。
「……はぁ~」
「何よその態度は⁉私はお姉さまの事を思って――」
「……何が私の為を思ってよ。全部自分の為でしょうが」
ローラの言葉に対して、マルグリット様が小さく呟く。喋りつづけているローラには聞こえていなかったようだが、私たちにはハッキリと聞こえた。
そんなマルグリット様には一切気付く事なく、ローラはマルグリット様に一方的に難癖を付けている。
マルグリット様は努めて冷静に会話をしているが、徐々にフラストレーションが溜まってきているのが分かる。このまま会話を続けていると、本当に爆発してしまう可能性がある。
それを感じていたのは私だけではなく、クララやナタリーさんも感じとっていた。特にナタリーさんは、自分の存在がこの騒動の発端の一つであるという事から、この場を静ようと二人の会話に口を挟もうとする。
しかし、ナタリーさんが言葉を発する前に、この口論の場に新たな者たちが乱入してきた事で、さらに場が混迷していくのを確信した。
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