表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始祖の魔導書  作者: 富良斗雫
第一章
21/24

ネズミ捕り5

少し短めです。

 10分経った。

 ネズミはまだ現れない。

「来ないね……」

 流石に待ちくたびれたのか、ハルカがそう言う。

「うん……。しっ!」

 

 建物と建物の隙間から、ピンク色のものが見えた……気がした。

 

 どうやら見間違いではなかったようで、白い頭と、真っ赤な目が続いて出てきた。


 スノウラットだ。


「来た……!」

 ネズミが仕掛けた魔法陣に乗るまであと少し。

 もう少し前、もう少し前に行け!


「案外可愛いかも……?」

 ハルカがそんな感想を漏らす。

 だけどもうすぐ串刺しになるのだ。

 多分。


 ネズミは辺りをキョロキョロと見回して、何もいないと思ったのか、目の前のご馳走へ向かい、一歩足を踏み出す。


 そして、その足が地面についた瞬間。


 仕掛けられた魔法陣がネズミの微弱な魔力を感知し、条件が満たされた魔法陣が起動する。

 

ーーザシュッ!


 地面から勢いよく伸びた何本もの土の棘が、ネズミを串刺しにした。

 辺りに血が飛び散る。


 ネズミはなんとか逃れようともがくが、かえって傷口を広げるだけだ。

 

「ッ!」

 ハルカが思わず目を瞑る。


 まぁ、確かに凄惨な光景だ。

 ネズミが串刺しにされてもがいているのだから。

 もがくのが止んだ。

 どうやら、息絶えたようだ。

 今度はピクピクと痙攣している。


「やった、かな」

 立ち上がり、ネズミの方へ行く。


「【土崩(アースカラプス)】」


 再び地面が光り、魔法陣が出現する。

 ネズミを刺し貫いていた土の棘が土塊へと還り、ドサリと音を立ててネズミが落ちた。

「討伐証明部位は、尻尾だったかな……」

 ナイフを取り出し、ネズミの細い尾を切り取った。

「やっと銀貨一枚か……」

 一日かけてこれだ。

 明日からはもっと効率良くやらないと。

「死骸はどうするの?」

「どうするか」

 街中だから、燃やすわけにもいかない。

 しかし、放置するというのもあり得ないだろう。


『冒険者ギルドに持ってけば? 換金してくれるよ、多分』

 らしい。


「じゃあ、とりあえず冒険者ギルドに行くか」

「また戻るのかぁ……」

 お疲れの様子だ。

 まぁ、今回戻るので、ひい、ふう……、二往復。

 ネルクはそれなりにでかいので、疲れるのも無理はないか。

「宿で待ってる?」

「ううん。一緒に行く」

「そう」


 にしても、持ってくのは良いがどうやって運ぶべきか……。

 この血だらけグロネズミを剥き出しで持ち歩くのは少し、いやかなり気が引ける。

 入れる袋とかもないし……。

 いや、雑穀の入った麻袋があることにはあるが、まだ中身が入っているし、そもそもサイズ的に入らない。

 

 本当にどうしよう。

 もう、埋めてしまおうか。

 だけど、換金できるのだったらそうしたい。

 今は金欠だから。

 

 剥き出しで持って行ってしまおう。

 しょうがないさ。

 裏道を通っていけば、人にもそんなに会わないだろ、多分。


 よし、そうしよう。

 

「よっこらせっ、と」 

 服が血で汚れないように気を付けながら持ち上げる。

 案外重かった。

 きっと、そこら辺の倉庫からいつも盗み食いしていたのだろう。丸々と太っている。


「えっと、そのまま持ってくの?」

 ハルカが遠慮気味に聞いてくる。

「うん。入れるものもないしね」


「そ、そう……」

 なんだか引かれてしまったような気がする。

 しょうがないのだ。入れるものがないので。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ