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始祖の魔導書  作者: 富良斗雫
第一章
20/24

ネズミ捕り4

遅くてごめんなさい。

 そのまま30分ほど歩き続け、先ほどの路地の前に到着した。


「さ、どう仕掛けるかな」

 路地に雑穀の入った袋を置いておいて、その周りで隠れて待ち伏せすればいいかな。


「待ち伏せーー」

『ちょっとまった! それじゃつまんないだろ!?』

 唐突にアルが出てきて言った。

「つまんないとは?」

 この人は楽しむためだけに生きているのだろうか。

 いや、死んでたか。

『アレだ、勉強にならないだろう?』

「どういう事?」

『もうちょい始書の機能を活用しろって事』

「活用してるじゃん。魔術使ってるし」

『それは普通の魔導書でもできるだろ?』

「結局何が言いたいのさ」

『始書を使う練習すればって事!』

「ああ、なるほど」

 いちいち遠回しだな。

「最初からはっきり言ってくれればよかったのに」

『それじゃためにならないかと思って』

「ふぅん……」

 アルはアルなりに色々考えてくれているらしい。

 練習、練習か……。

 始書にしか出来ない事を使え、という事だろう。

 普通のじゃ出来ない事、始書にしか出来ない事……。

 普通の魔導書は魔力を込めて決まった形の魔術を使うだけ。

 じゃあ始書はーー決まった形?


「設定か」


『当たり』

 当たった。

 でも、設定をどうやって使えば?


 考え込んでいると。

『始書で設定できる魔術の要素は?』

 見かねたのか、アルがヒントを出してくれた。


 確か……。

「威力、射程、方向、展開数……じゃなかった?」


『一つ足りない』


 後一つ……。

「ええと、何だっけ」

『発動条件! 教えなかった?』


 そうでした。

 忘れてました。


『その五つをどう使えば良いか考えるんだよ』


 なるほど。

 威力……はあまり関係ないか。所詮ネズミだからな。

 射程は……、街全体に広げて全部殲滅するとか?

 ありえないな。ネズミじゃないのも殺しちゃう。

 方向……ネズミの方に向けてやれば良い。

 まあ、その方向がわからないから困っているのだが。

 展開数も必要ないか?

 あとは、発動条件だが……。

 あれ? 条件指定して何になるんだ?


 分からん。


「分からない」

『はぁ……。ネズミは普通どうやってとるっけ?』


「どうって……。ネズミ捕りじゃないの?」

『まだ分からない?』

「うん」

 さっぱりだ。

『じゃあ、ネズミ捕りの仕組みは?』

「えっと、ネズミ捕りの上にエサ置いて、ネズミがそれを取ったらバネが外れてネズミを捕まえる……じゃなかった? ああっ!」


 わかった。

 『ネズミが上に来た時』と条件を指定して、その上に餌を置いておけば……。


『分かった?』

「うん。条件を『ネズミが上に来た時』に設定して、【土棘アースニードル】とかを使えばいいんでしょ」

土棘アースニードル】とは、地面から土の棘を生やす魔術だ。

 

『うーん、惜しいな。もう少し条件を具体的にしないと上手く発動しないよ? 学校で習わなかった? 魔法陣の要素の設定は具体的にするべしって』


 習っているはずがない。

 呪文の改変、魔法陣の改変なんて技術は遠い昔に失われたのだから。

 あれ、でもここにそれを知っているアルがいるのだから失われてないのか?


 まあいいや。なんかややこしいし。

 具体的にか。

 『ネズミが上に来た時』だとダメなのか。

 何でだろう。一番具体的だと思うのだが。

 

『それは人間の考え方だろう? 魔術はそうじゃないんだ。人間なら見ればわかるけど、魔術はわからない。その状態になった時、どんな数値が変化するのか、それで決まっているんだ』


 数値……。

 ネズミが乗ったら変わるもの……。


 重さか。


『正解。まぁ、他にも魔力反応とか熱源反応とか色々あるけど。

 要するに、人間基準じゃダメなんだ。物を判別する魔術なんてめんどくさいからな。

 まあ、これが詠唱だったらもうちょい融通が利くんだけどね。

 アレは呪文の欠けてるとこを、術者のイメージなんかから補完してくれるから。

 ほら、詠唱短縮とかあるだろう? アレのことだよ』

 

 ほらと言われても。今時詠唱で使ってる人なんていないから分からない。

 今はこの人が創った魔導書の時代なのだ。


「ねぇ、やらないの?」

 ハルカがそう聞いてくる。

「ああ……。そうだね。早くしないと」

 今日が終わってしまう。

「どこにしようかな」

 罠を仕掛ける場所を探す。

 ネズミがいそうなところがいい。

 巣穴の近くとか。

 と言っても、巣穴の場所なんて分からない。

 ので、適当なところに仕掛けてしまおう。

 

 あそこの建物と建物の隙間の前にする。

 

 本当はいくつか別のところに仕掛けた方が効率がいいのだろうが……。

 ここは街中なので、それは危険だろう。

 誰かが間違えて踏んでしまったら大変だ。

 

 早速やろう。


 麻袋から雑穀を少し取って、地面に置く。


 始書を開き、【土棘アースニードル】のページを開く。


 小さな魔法陣の上に手を置き。

「《展開:土棘・威力:1・射程:1m・ベクトル:ノーマル・条件:魔力感知時・発動》」


 雑穀を置いたところに小さな魔法陣がぼぅっと浮かび上がり、そして消えた。


「あれ? 何も起きないけど」


 ハルカが不思議そうに言う。


「良いんだよ。上にネズミが乗った時に発動する様になってるから」

「へぇ、そんなのも出来るんだ……」

「後はネズミがかかるまで待てばいいだけ」

「くるかなぁ」

 知らない。来ないと困る。

「じゃあ、少し離れてようか」

「うん」


 少し離れた、路地の角に身を隠してネズミがかかるのを待つ。


 説明下手でごめんなさい。

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