ネズミ捕り3
遅くてごめんなさい。
「あれかな」
小さな店だ。
幅もそれほどない。
こぢんまりとした佇まいだ。
教えられた通り、ロクティ商店という看板が出ている。
ロクティというのは多分、店主の苗字なのだろう。
そんなことを考えながら、ハルカと店に入る。
「いらっしゃい」
店主らしき年配の男性がそう言った。
外見と違わず、中もこぢんまりとしていた。
雑穀は……と。
「あ、あれじゃない?」
ハルカがそう声をかけてくる。
「ああ、そうだね。どれくらいいるかな……」
まぁ、実際に餌として食べさせるのではなく、それでおびきよせるだけだからそんなに量はいらないだろう。
「500グラムくらいかーー」
そこであることに気付く。
袋、デカくね?
また何か失念していたようだ。
『そりゃそうじゃん。500グラムとかじゃ、一食で終わっちゃうし。最低でも、5、10キロくらいは買わないと』
アルがまた呆れたように言う。
どうやらそれが世間の常識のようだ。
なるほど……。この旅の目的である『見聞を広める』と言う意味の一端を知った気がする。
うちでは、家事の類は全てレオ兄さんがやっていたので全く知らなかった。
世間知らずが恨めしい。
『本当だよ。男の世間知らずとか誰得ってかんじ』
そんな無駄話をしていると、ハルカの声が聞こえてきた。
「あの、雑穀を少しだけ、500グラムくらい買いたいんですけど、それって出来ますか」
店主に交渉しているらしい。
少し目を見開く。
すごいな……。僕には全く思い付かなかった。
『マジか……。ハルカさんのコミュ力マジパネェぜ……!』
アルもその行動に驚いている。
…….いや、僕らがザコすぎるだけか。
そんなことを考えていると、交渉はいつの間にか終わっていたようで。
「レーブ、銅貨三枚で売ってくれるって」
「ほぉん」
この店で売ってるのが、五キロで銀貨二枚半だから少し割高か。
まぁ、せっかくハルカがやってくれたのだ。文句は言うまい。
「ありがとう」
ハルカにお礼を言い、革袋を漁って銅貨を三枚……ない。大銅貨を一枚取り出し、店主に手渡す。
「はい」
「どうも、ありがとね」
そして、お釣りと、雑穀の入った麻袋を受け取った。
店を出る。
「さぁ、路地に戻ろうか」
「うん」
長かった。準備が。
この分だと、依頼を終えて帰ってくるのは夕方になってしまうだろう。
一匹銀貨一枚だから、一匹でも仕留めれば黒字だ。
……時間的には確実に赤字だけど。
とりあえず、宿代を稼げたらいいか。
つまり、銀貨五枚だ。
五匹仕留めればいい。
問題は、この作戦が上手くいくかどうかだが……。
まぁ、どうにかなるだろ。
この後も書けているのですが、きりが悪いのでここで切ります。




