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始祖の魔導書  作者: 富良斗雫
第一章
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ネズミ捕り2

てきとーなサブタイでごめんなさい。

いつもより少し短いです。

「何がいい?」

 焼き串と一概に言っても、色々と種類があるらしい。

 大体一本銅貨一枚くらいなので、十分買える範囲だ。


「えっと、読めないのだけど」

「ああ、ごめん。えぇと……、ネルトニヒ・ディアーの肉、スノウボアの肉とか、あと野菜とか」

「ネルトニヒ・ディアー? 鹿なの?」

「鹿の魔物だね」

「魔物って食べれるの!?」

「おうとも! 普通だとあんま柔らかくはねぇが、うちは下処理してっからうまいぞ!」

 店のおじさんがここぞとばかりに押してくる。

「じゃあ、それにしようかな」

「うん。おじさん、ディアーのと、ボアのやつ一本ずつで」

「毎度ありぃ!」

 いちいち声がでかい。

 いや、こうでもしないと生き残れないのかもしれないな。客引きのためなのだろうか。


 僕が屋台業界の厳しさに思いを馳せているうちに、焼きあがったようだ。

 肉とタレのいい匂いが漂ってくる。

「はい、お待ちぃ!」

 

 ハルカも店主の威勢の良さに苦笑気味だ。

「どうも。お代です」

「毎度!」

「ああ、おじさん、この辺りで雑穀とか売ってる店知りませんか?」

「雑穀……。『ロクティ商店』っつぅ、小さな個人商店があるぞ。この通りを門の方に少し行って、右手だ。看板が出てるからすぐわかると思うぞ」

「どうも、ありがとう」

「また来てくんな!」


 最後まで威勢のいい人だったな。

 そんなことを思いながら、教えられた通りに商店を目指して歩く。


「いただきまぁす。っ! ふぅ……、ふぅ……」

 

 ハルカは、お腹が空いていたらしくすぐにかぶりつこうとするが、唇に当たった時に熱いと気付いたのか、口元から離して冷ましている。


「はむっ」


 十分冷めたと判断したのか、串にかぶりついた。


「おいひい……」


 久しぶりに肉を食べられてご満悦の様子だ。


「ん?」


 僕がじっと見ていることに気づいたのか、こちらを向いて首を傾げる。


「いや、なんでもない。いただきます」


 適当に誤魔化して、僕も食べ始める。

 うん、おいしいな。

 魔物肉にしては筋っぽくなく、柔らかい。

 下処理をしているというのは本当だったようだ。


 一本だけだったので、すぐに食べ終えてしまった。

 ハルカの方を見ると、彼女も食べ終わっていたようで、串をじっと見つめていた。


 名残惜しいのだろうか。

 僕は少し苦笑して声をかける。

「やっぱり、足りなかった?」

「え? いや、そうじゃなくて串をどうしようかと……」

 手をぶんぶん振って否定する。

 違ったようだ。

「ああ、そう。じゃあ、預かろうか、串」

「あ、ありがとう」


 ハルカから串を受け取って、自分のものと一緒に、紙でくるんで懐へしまう。

 宿に着いたら処分しよう。

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