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始祖の魔導書  作者: 富良斗雫
第一章
12/24

冒険者ギルドと、トラウマ

期間開くとか言ってごめんなさい。嘘でした。

 宿を出た。

「冒険者ギルドってどこにあるの?」

 知らない。

「宿の人に聞くか」

 宿に戻る。


「いらっしゃいませ! ……って、どうかされましたか?」

 出てすぐに戻ってきた僕らを訝しく思ったのだろう、少女がそう聞いてきた。

「あの、冒険者ギルドって何処にあるんですか?」

「はぁ」

 そんなことを聞きにいちいち戻ってきたのかと、呆れるような顔をされた。

「えっと、冒険者ギルドでしたら、街の東門を入ってすぐ右手にありますよ?」

 昨日通り過ぎてたっぽい。

「そうだったんですね。ありがとうございます」

「いえ、お客さまですので」


 また宿を出た。

 言われた通り、街の東に向かって歩く。

「小さいのに、しっかりしてたね、あの子」

 あの少女は多分、十二、三歳くらいだろう。

 ハルカは十五歳らしいが、見た感じは十三歳くらいに見える。

 そんなハルカがあの少女を小さい子、と言うには少し違和感が感じられた。

「うん。そうだね」

 しかし、そんなことを言ってしまうと少し失礼だと思うので、取り敢えず頷いておく。


「何か変なこと考えてた?」

 鋭い。

「ぃ、いや別に何も考えてないよ?」

「ふぅん?」


 道の先に、剣と杖が交わったような形をした看板が見えた。

「ああ、見えてきた」

 案外近かったようだ。

「あれがそうなの?」

「うん。冒険者ギルドだよ」

「へー。なんか……、思ってたのより普通」

「どんなのだと思ってたのさ」

「もっとこう、なんていうか……、冒険って感じ?」

「冒険って感じって……。ま、取り敢えず入ろうか」

 

 チリンチリンーー


 むくつけき男達が集う建物には、およそ似つかわしくない、爽やかな音が鳴る。

 その音に釣られたように、中にいた男達が一斉にこっちを向いた。


 怖っっ!


「オイオイ! ここぁガキの来るとこじゃねぇぞ!」


 その中の一人が、そんなことを言ってきた。


『おおう……。なんともテンプレな……』


 唐突に、頭の中にアルの声が響いた。

 なんだこれ。


「コラテメェ! 無視してんじゃねーよ!」


『アレだ、念話ってやつ。まぁ、そんなもんだと思っといて』


「テメェッ!」

 大声に驚いて、前を見る。


 そこには、拳を振り上げているハ……、スキンヘッドの男がいた。


「きゃあっ!」

 ハルカの悲鳴が響き渡る。


「ロドリゴさん! 流石にそれはマズイっすよ」

 周りにいた冒険者がとっさに制止する。

「チッ。スカしたツラしやがって」


「ふぅ……、怖かったぁ」

「じゃあ、さっさと用事済ませて出るか」

 受付に向かって歩く。


「二人分の登録、お願いします」

「は、はい! 名前と、種族などの記入をお願いします。代筆は必要ですか?」

「いいえ、大丈夫です」

 自分の分と、ハルカの分も書く。

 翻訳魔術は、文字までは翻訳できないらしい。

「はい」

「はい、ありがとうございます。レーベンス・グリモワルさんと、……グリモワル!?」

 やっぱ消しといたほうがよかったか?

「あの、これ本名ですか?」

「本名ですが」


「グリモワル?」

「グリモワルだって?」

「おい、グリモワルってなんだ?」


ーーあいつがグリモワルかーー


「お前知らねぇのか? アレだよ、『始祖の一族』」

「ああ……? あれか! 魔術と剣術の名門の!」

「そう、そのグリモワルだよ。だからきっと、あいつも凄腕なんだろうぜ」


ーーお前も、『始祖の再来』とかと同じくらい凄腕なんだろ?ーー


「マジか……! ロドリゴさんよぉ、運がよかったな! ボコされずにすんで!」


 ギャハハハハハッーー


「チッ、うっせぇな。いや……、おかしくねぇか? あいつ、剣も持ってないし、杖も持ってないぞ?」

「杖? 魔導書じゃないのか?」

「馬鹿! お前そのくらいしらねぇのか!? グリモワルの魔術師は、魔導書をつかわねぇんだよ!」

「んじゃ、どうやって魔術を?」

「聞いたとこには、自力で魔法陣を描いて使うらしいな。与太かもしれんが」

「んじゃあいつ、ニセモンか?」

「いや、キャメロンの近くでそんなことするやついねぇだろ!」

「じゃあ何で?」

「そう言えば、聞いたことがあるな……。グリモワルの三男は、魔術も剣術も使えない落ちこぼれのミソッカスだってよ!」


ーーお前、魔術使えないのか!?ーー


「名門に生まれたくせしてそれかよ! とんだ笑い種だな!?」


ーーお前は始祖の面汚しだーー


 ギャハハハハハッーー


 ギリッーー


 耳障りな音が聞こえた。


 気がつくと、僕は歯を強く噛み締めていた。


「大丈夫? どうかしたの?」

 ハルカが心配している。

 そんなに自分はひどい顔をしているだろうか。

 普通の顔をしているつもりなのだが。


 周りの喧騒が、段々と遠のいてゆく。


 別にいいのだ。

 馬鹿にされたって。


 所詮、自分はその程度の人間であるから。


『おい、あんま気にすんじゃないぞ。雑魚どもが騒いでるだけなんだから』


 あのアルにさえ心配されるなんて。


 自分は、大丈夫だというのに。


 すると、奥の方から壮年の女性が出てきた。

「貴方達! こんなとこで駄弁ってないで仕事しなさい! 仕事!」

「げぇっ、バルバラだ!」

 冒険者たちが騒々しく散っていく。


 「ごめんなさい。この子、新人でして。申し訳ございませんでした」

 そう言って、深々と頭を下げた。

「ほら、貴方も謝りなさい!」

「も、申し訳ございませんでしたっ!」

「いえ、別にいいですよ」


 何もかも。


「では、手続きの続きをさせていただきたいのですが」

「ええ、どうぞ」


 勝手にしてくれ。


「はい、手続き完了しました。これで、貴方たちは冒険者です。このカードは、貴方が冒険者であることの証明となるものです。無くさないようにしてください。

 他の説明もお聞きになりますか?」

「いえ、大丈夫です。知っているので」

 

 自分がカスだってことは。 

 存在する価値もないやつだってことは。


 十分、知っているから。


 もう、やめてくれ。


「ねぇ、レーブ、本当に大丈夫? 顔色、めっちゃ悪いけど」

「大丈夫です。では、帰りましょうか」


 キャメロンへ。


「うん……」

次の更新は未定です。

ここら辺は多分鬱展開?ってやつになると思います。

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