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始祖の魔導書  作者: 富良斗雫
第一章
11/24

朝食

 チュンチュン、ピュルル……

 

 小鳥のさえずりで目が覚めた。

 清々しい朝だ。

「よう、レーブ。おはよう」

 アルが始書から出てきて言った。

「おはよう」

 そういえば、アルは僕が寝ている間、何をして過ごしているんだろう。

 そんな疑問が頭に浮かんだが、すぐに消えていった。


 ベッドから出て、普段着に着替える。

「あぁ……。洗濯もしないとだめか……」

 宿でやってくれたりしないかな。


 部屋から出て、ハルカの泊まっている部屋へと向かう。……といっても隣の部屋だが。



 部屋の扉の前に立つと、ノックをした。

「ハルカ、起きてるか?」

 もう7時なので起きてるとは思うが。

 少し時間が経って。


 ガチャーー


 扉の鍵の開く音が聞こえた。扉が開き、

「だれ……?」

 寝ぼけ眼のハルカが目を擦りながら出てきた。まだ寝ていたらしい。

 彼女の服はしわくちゃで、さらに着崩れてしまっていて、少し際どくなっている。

 僕の顔が少し熱を帯びる。

「おはよう、ハルカ」

「ぉはよう」

 呂律が回っていない。昨日も思ったが、朝に弱いのだろうか。

「あの……、服が……」

「んぅ? ……きゃあっ!」

 一気に覚醒した様子で、悲鳴をあげると部屋の中に引っ込み、ドアをバタンと勢いよく閉めた。

「おーい」

「ちょっと待って!」

 なにやら部屋の中からどったんばったんと音が聞こえ、しばらくして再びハルカが顔を出した。

「ご、ごめん。お待たせ」

 今度はしっかりかっちりと服を着ていた。

「それじゃ、下に朝食食べ行かない?」

「うん……いいけど、私お金持ってないよ?」

 うん、知ってる。

「いや、奢るよ。昨日一緒に歩いた人が、いつの間にか餓死してました、なんて寝覚めが悪いだろ?」

「でも……、何もかもやってもらうのは……」


 見かけだけではなく、本当に申し訳なく思っているようだ。


「大丈夫。後で返してもらうから」

「後でって…‥もしかして!?」

 ハルカは両腕で自分の体を守るように抱きしめると、警戒した様子でこちらを睨んでいる。


 なんかとんでもない勘違いをしているらしい。


「ち、違うんだ。そういうのじゃなくて。肉体労働っちゃ肉体労働だけど……」

「そ、そうだったの……。ごめん、早とちりしちゃって。それで、その仕事って……?」

「冒険者だよ」

「冒険者?」

「あぁ……。わかんないか。えっと、冒険者ギルドってとこからの依頼を受けて、その依頼をこなす職業……ってとこかな。魔物退治したり、素材採集したり」

「魔物退治って……。危なくないの? 昨日の狼みたいなのと戦うんでしょ?」

「そりゃまぁ……、危ないけど。でもこれが一番手っ取り早く稼げるんだよね。幸い、戦う力もあるし。それに、冒険者なら身元がアレでもできるから」

「ふぅん。それなら……。レーブも一緒なんでしょ?」

「うん」

「じゃあ、やる」

「んじゃ、朝食べてから、登録行こうか。何食べたい?」

「じゃあ、とびっきり高いのにしようかな」

 ハルカが笑って言う。

「そ、それは……。」

 財布がきつい。

「冗談冗談。お任せでいいよ」

 そんなことを話しながら、宿の食堂へ向かう。

 

 宿の食堂は、宿泊客で賑わっていた。

 ハルカを連れて、適当な席に座る。

「おはようございます!」

 昨日の受付の少女だ。今日は給仕をしているらしい。

「えっと、メニューとかって頂けますか?」

「あ、はい。どうぞ!」

 少女からメニューを受け取り、それをみる。

「ありがとう」

 メニューを見る。

 品数はそれほど多くはない。

 

 懐も寂しいので、一番安いものを頼む。


「黒パンとスープを二つずつで」


 奢るとか言っといてこれかよと思うが、しょうがないのだ。金がないので。


「はーい、分かりました」

 給仕の少女はそう言うと、厨房の方に戻っていった。


 ハルカの方を見ると、微妙な顔をしていた。

 朝から硬いパンなのが少し嫌なのだろう。

 僕だって嫌だ。柔らかいパンが食べたいし、肉も食べたい。

 こんな状況に置かれて初めて、自分がどれだけ恵まれていたかが分かった。

 

「ごめん、奢るとか言ってこれで。昼はもっとマシになるはずだから」

「ち、違うの、そういうわけじゃなくて……」

「でも、黒パンは嫌なんだろ?」

「そ、それはまぁ……。どうせならふわふわの方がいいし……」

 ハルカが目を泳がせ気味に答える。

 やっぱり。そのためにも金を稼がねば。

 

「硬くてすみませんね!」


 ドンッ!

 

 そんな音を立てて、料理の乗った皿が目の前に勢いよく置かれた。

「うわっ!」

 横を見る。

 給仕の少女だ。

 腰に手を当てて、怒っている様子だ。

「ち、違うんだ! やっぱ柔らかいのもいいけど硬いのもいいよねっていう話を……」

「そもそも硬いのはあなたが安いのを選んだからでしょう!?」

「はい、スミマセン……」

 尤もだ。

「ふわふわがいいならお金を稼いで下さい!」

 まったく……!とぼやきながら、少女は他のテーブルの方へ向かっていった。


「ふぅ……。じゃ、食べるか」

「ええ……、何というか、すごい人だったね」

「うん。あんな怒るとは思わなかったよ」

 その後は特に話すことも無く、料理に手を伸ばす。

 

「硬い……」


 ハルカが顔を顰めながら、黒パンをもっきゃもっきゃと咀嚼している。

 いや、女性相手にこの表現はちょっとアレか?

 まあいい。

 ともかく、黒パン相手に苦戦しているようだ。


「硬いならスープにつけて食べたら?」


 そう教えて、実演してみせる。

 ……パンはともかく、スープは美味いな。


「でも、少しその……、下品じゃない?」

 少し言い淀んでそう言った。

「庶民の作法なんてこんなもんさ。そもそも、黒パン自体がそうやって食べるものだし」

「そうなんだ……」

 

 ハルカはパンを少し千切ると、少し躊躇ってから、スープに浸した。

 そして、スープが十分染みこんだ頃合いで、取り出し、口に入れる。

 

「……柔らかいっていうか、ベチャベチャ?」

「まぁ、それは。でも、硬いよりはマシでしょ?」

「うん……」


 その後は、特に話さず食べ終わった。


「ごちそうさま。……会計お願いします!」


「はぁい!」


 そうして小走りにやってきたのは、先ほどの給仕の少女だった。

「えっと……。会計お願いします」

「はい。黒パン二つとスープ二つで、銅貨六枚です」

 銅貨六枚。えっと、大銅貨一枚と銅貨一枚か。

「はい」

 少女にお金を手渡す。

「ひい、ふう……、ピッタリですね。ありがとうございました」

 少女は軽くお辞儀をして、戻っていった。


「じゃ、行こう」

「うん」

そのままの題名でごめんなさい。

また期間が開くと思います。

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