表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

3話 ワシ、助かる

 どんどんと息が苦しくなっていく。

 呼吸の臓器がシードラゴンの体へと変わっていくにつれて、呼吸ができなくなっていく。



 手や足もヒレのように変わってしまい立っていられない。

 このままでは死んでしまう!



 なんてことを考えていると、玄関のドアが開く大きな音が聞こえてくる。

 この時間にくるのは助手のパプルに違いない!



「……クァ」



 こ、声が出ん!

 ワシはこんなところで、こんな事で死んでしまうのか!?

 いやじゃ、いやじゃ!



 廊下をカツカツと歩く音が響いているが、陸に打ち上げられた魚が死んでしまうまでは数分程度のこと。

 助手がこの部屋に来て、ワシに気が付いて、処置するまでは間に合うか!?



 ガチャリと部屋のドアが開く音が聞こえたが、ワシの目はもう見えなくなってきた。

 は、はやく来てくれ! ワシが窒息するまで時間がないぞ!



「あら?」



 お、気付いたか! 姿は見えんが……

 おそらく、いつもの紫色のローブを纏って、伸ばした髪を後ろで一つにまとめた、研究に全力で振っている服装で入ってきているだろう。

 ワシが死ぬ前に気が付いてくれるのか?



「所長、何で死にかけてるんですか?」



 ワシの頭から魚心の指輪が外される。部屋に入った瞬間にワシの事を認識して、対処をはじめてくれておる。さすが優秀な助手じゃ!

 パチャパチャと何かかけられている感覚もある、これは解呪の聖水に違いない!

 これで元の姿にも戻れはずじゃ! 至れり尽くせりじゃの!



「クェ~クアクェ(ふ~、たすかったわい)クァ~クァ(ありがとなパプル)」


「いえ、どういたしまして」


 

 だんだんと呼吸が楽になってきて一安心、視力も戻ってきたわい。

 さて、滅茶苦茶にしてしまった部屋の片づけに、竜に変化させられた原因や術式を調べねばならん。やることは山積み……

 


 ん? ちょっとまて、パプル?

 お前、よくワシの事が分かったな? 竜になった上に魚心の指輪の2重変化していたのだぞ?



「ククァ(ちょっとまて)クァック、クァ~クエ?(パプルよなぜ、ワシじゃと分かった?)」


「一目で分かりましたよ、魂は人間ですし、この部屋にいるのは所長だけじゃありませんか」


「クァ!(なるほど!) ククァクァ(冷静な分析と判断じゃな)」


「いえいえ、ここで働いているなら当然です。ですが……」



 パプルは何か言い淀んでいるような様子じゃな。

 何を隠しているのかの?

 ワシは腕を組んでみるが、何かおかしい、肌がザラザラ鱗みたいな……



「解呪の聖水が効いてないみたいですね」


「クァ?(ん? どういうことじゃ?) ククァ!?(ああっ!!)」



 聖水が全く効いておらん! 緑の鱗に鋭い爪、角もしっかり残っとる!

 ワシの姿は竜のまま……

 ワシ、元にもどれるんじゃろうか?



 パプルよ、解呪の聖水が効いてない割りに妙に冷静じゃの?

 聖水が効かない呪物なんぞ、数年に1個程度しか出てこんのだぞ?



「聖水効かないなんて、所長は人間をお辞めになられたのですか? それは驚きです」


「クァ!!(違うわ!!)」


「あら、そうですか、その姿もお似合いですのに」



 優秀なんだが、どっかずれとるんだよなぁ……

 さて、聖水も効かないなら、別の方法を考えねばなるまい。



 ん? そういえば、パプルよ、なぜ竜の声しかでないワシと会話できとるんじゃ??

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ