取り入るおっさん
物乞いを始めると人間をからかってやろうと三人組の若い男の獣人が現れた
こいつら、寂れた小さな村の割には中々に小奇麗で衣服の作りもしっかりしている
小金持ちのボンクラせがれって感じか?
よしよしこいつらから小銭を巻き上げてやる事にしよう
「おお! 何と精悍な顔つきの坊ちゃんだ! 私は人間の種族の中でも落ちこぼれの落ちこぼれ。人間社会から追放され、今はこの村で家無しとして搾取されているのです。どうかお慈悲を」
そう言って欠けたお茶碗に指を指す
若者はヘラヘラと嘲笑の笑みを浮かべる
「お前の都合なんか知るかよ。金が欲しいならてめえで稼げや。いい年して情けねえ。てめえより年下の男に金をせびって恥ずかしくねえのかよ」
「そうだそうだ。自分で稼げ」
「人間は気に食わない。金を恵んでやる道理はないね」
このボンクラ共があああ! 黙って茶碗に金を入れればええんじゃ!
ここで稼げなかったらアジトでの扱いが更に悪くなるんだ
「一応働いてますよ? 宿屋の水汲みの仕事をやってます。でもそれだけでは稼ぎが少ないと家無しの頭をやってる女に怒られるんですよ」
「だったら他の仕事を探せよ」
「仕事の選択権がないんでね。ぜーんぶ家無し頭のレイが持ってきた仕事をやらされて給料をピンハネされてるって寸法ですわ」
そう言って私はポケットからタバコを取り出して口に咥える
「金をせびる家無しがタバコを吸うのか? そんなんじゃあ尚更金を払う気にはならねえな」
「タバコくらい吸わせてくださいよ坊ちゃん。そもそも金を恵む気なんてないでしょ? クソみてえな洞窟に住まされて、カチカチのカビたパンを食わされる。その上労働の給料をピンハネされてるんだぜ。このくらいの娯楽はもはや必然。ふー」
吸ったタバコの煙を若者の顔に吹きかけてやる
「ッゲホ、ざっけんなてめえ」
「そんな敵対的になるなよ。私たちは初対面だろ? 争ってもメリットがないし心に余裕を持たないとこの先の人生やっていけねえぞ。それよりどうだい君らも一本」
三人の獣人にコンビニ通販で仕入れたタバコを一本差し出す
「変なおっさんだぜ。それにしてもあまり見ねえタバコだな」
「そもそもキセルタバコが主流なのにな。これは紙タバコか植物のタバコっぽい。どちらにしろ家無しが持ってるようなもんじゃないな」
「人間だからじゃね? まあ俺は吸えねえからどうでもいいんだけどさ」
2人がタバコを口に咥えたらライターで火をつけてやる
「魔道具か? お前なんなんだよ。家無しのくせに変なもん持ってるな」
「すううう、ふうううう。中々いいじゃねえか。なんつうか爽やかなミントみてえな後味がしやがる」
メンソールだからね。男が吸うタバコにしてはちょっと女々しいイメージだ
1人だけ吸えない奴が場を持て余しているようなのでタバコ型のチョコレートを一本差し出す
「俺は吸えねえからいらねえよ」
「それはタバコの形をした菓子だ。お前もやっとけ、場を乱すな」
若者はチョコの包装紙をビリビリと破いてそれを口に含む
「ひどくあめえな」
「嫌いか?」
「いや、俺にはこっちの方がいいわ」
ポカポカとした日差しの中、タバコを嗜む若者三人とおっさん
初対面は敵対的だったが何とか体を成すことができた
餌撒き(タバコ)もしたし、そろそろ金を巻き上げてやることにするかね




