表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

五話


 真波が借りている部屋は近場の駅から二駅程先にあった。

 電車に揺られながら思い出す。

 真波の部屋に初めて行ったのは、まだ付き合って間もない頃の事だった。

 当時の俺は、それまで恋愛沙汰とは無関係だった事もあり、真波と付き合い始めた事に関してまだ飲み込みきれておらず、どこか現実感を感じていなかった。

 どこか真波らしい、近代的で小綺麗なアパートの一室で、俺たちは色々と、話し込んだ。

 その中で、真波も今までの人生で恋愛とは無縁だったと、俺と同じ様な事を明かした。

 驚いた俺は、耐え切れず聞いた。


「なんで俺と、付き合いたいなんて思ったの?」


 その時はまだ、真波も曖昧な笑みと答えを返すだけだった。





 真波のアパートに着いた頃には、一時を回っていた。

 真波はそこまで寝起きが悪い訳ではない。むしろ良い方だ。

 こんな時間まで寝ているとすれば、それは相当珍しい事だった。


「真波?」


 ドアのチャイムを鳴らすも、返事がない。そこで、もう一度電話をかけた。

 ドアの向こうから、微かに着信音がする。真波が好きなアーティストの歌だ。

 ここで聞こえるという事は、真波が寝入っているとすれば相当大きな音量で聞こえているはず。

 嫌な予感がして、慌てて合鍵を使い、ドアを開ける。

 久しぶりに入った真波の部屋は、どこか懐かしさすら覚える様で、しかしあの頃の匂いや生活感は薄れているなと、慌てた頭でそんな事を思った。

 ベッドを見ても、そこには俺の想像していた真波が寝入った姿はどこにもなく、枕元に置かれた携帯がいやに目立っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ