第23話 世界を創る者
おまたせしました23話です!
今回で準決勝1戦目は終了です!
それではどうぞ!
スケッチブックに黒ペンを走らせるエレノア。描かれた線は繋がって輪郭となり、黒白の直剣となる。紙の中から描かれたままの武器がエレノアの手に納まり一閃。その切れ味に嘘偽りは無く、紗百合の髪を数本散らした。
使う魔法はそのまま。絵を描く媒体と形式が変わっただけ。移り変わる攻防の中、紗百合は冷静に状況を把握することで波打っていた精神を落ち着ける。エレノアの重心の移動、視線、タイミング。それらをインプットし、攻めの緩急を調整することで剣の振り下ろしを弾き、短く持ち直した柄尻で殴打。続け様に回し蹴りを喰らわせ、吹き飛んだエレノアに対して魔弾を掃射。だが、その攻撃はスケッチブックから現れた盾によって防がれてしまった。
紗百合の視線の先。エレノアは平然と立ち上がる。服に付いた土埃を払う所作は軽く、まだまだ余裕を感じさせるものだった。
「……ふむ。線画も良いが、少し味気ないな」
ベルトに装着されたカラーペンを手に取るエレノア。白い世界に蒼い焔が生み出されると現実世界で産声を上げる。一直線に地面を走り抜け壁に到達した瞬間、燃え盛る蒼が凍り付き結晶と化した。
寸でのところで横に跳び回避した紗百合は転じて駆け出す。それに合わせて迫り来る剣弾。これをすかさず魔弾を撃ち出し相殺。大きく一歩を踏み出すと掛け声と共に放つ一突き。しかしそれはエレノアが半歩身を引くことで回避されてしまった。
空かさず後退することで杖を引き戻し、先端を回しながら再度突きを放つ。今度はエレノアの脇腹を削ったが、一歩前に踏み込まれたことで穂先で捉えることは出来ず威力は低減されてしまった。
エレノアはスケッチブックを一枚切り離す。機械仕掛けの脚甲が右足に装着され、放つ前蹴りが紗百合の身体の芯を捉えた瞬間、爆発的な魔力が注ぎ込まれる。紗百合の身体が闘技場を横断し、壁へと叩きつけられた。
「大筆を使って創り出す絵は躍動感に溢れ、描く姿のパフォーマンス性も高い。しかし、小さなペンで創り出す絵も負けていないとも。繊細で丁寧に、小さなものでも描くことができる。どちらも真っ白な場所に、自分が想像したものをそのまま産み落とす。絵画はまさしく神秘に満ちた芸術。そうは思わないか?」
エレノアの視線の先に紗百合は居た。口から流れ出た赤は顎を伝って地面を濡らす。されど踏め締める足には確かな力と意志を持っていた。放り出された言葉を切っ掛けに両者の視線が激突する。
「ごほっ。申し訳ないですけど、芸術に関しての学はあまり無いんです。……まぁでも、思ったりはしますよ。周囲の環境を描いて、生き物を描いて。まるで神様みたいって。凄い絵が描ける人を神絵師って言ったりしますし」
「それはただ祀り上げられているだけだろう。一種の偶像崇拝だ。絵画に限らず文学、彫刻、音楽。それらを作るということは、1つの世界を創造することに等しい偉業。有名無名、貴賤なんぞ関係ない。芸術家は誰しもが創造神であり、生命を生み出す母であり、現実へと切り込む雄々しき勇者であり、道無き道を進む探求者でもある。それが芸術の魅力であり、私が目指す先にあるものだ」
エレノアの魔法、源泉は真に迫るその思想にあるのだろう。紗百合は少しだけ分かったような気がした。
しかし尚の事この戦い、負けるわけにはいかない。1戦目の敗北はチームの士気にも関わる。そして何よりも真っ直ぐに理想を追い求めるエレノアに、紗百合の心は打ち震えていた。
「私の名前は柊紗百合! 15歳! メモリーズ・マギアの一番槍として、全力でアナタを打ち倒す!」
突然発せられた自己紹介。エレノアは面食らうも、次には小さく微笑んだ。
「エレノア・シールエンタ。年齢は17。私の創る世界は、強いぞ?」
「……! 勿論、そうでなくちゃ意味が無い!」
笑い返した紗百合は杖を一度構え直し、短く息をつく。『チャージ』を発動させると杖の蓄積ゲージが3段階上昇し、身体に満ち始める倦怠感。それは魔力残量がかなり減ってきている証拠だった。
今まで喰らった攻撃も大きい。メモリーズ・マギアには攻撃の威力を一定量緩和させる装甲機能が備わっているが、エレノアの魔法はその上でダメージを与えてくる。強力な魔法から繰り出される戦法の多さ、そして本人の技量の高さ。優勝候補のチームを倒したというのも納得だった。
生半な攻撃は通用しない。かと言って明らかに強力な攻撃は防がれる。エレノアの防御を抜くとなると、それこそ持てる力の全て……6段階の『チャージ』を開放したメモリアブレイクが必要となる。だが、発生する反動を耐えられない。故にこの戦法は不可能だ。
隙が無いなら作るしかない。そこにもう1度メモリアブレイクを叩き込む。その為にも、出し惜しみをしている場合ではない。
杖のゲージが4段階目へと突入。それに合わせて半身で杖を構え、地に足を食い込ませる。音声コードの入力と同時に魔法陣が展開され、眩い黄色の光が溢れ出す。4段チャージと連結させたメモリアブレイクによる正面突破だ。
「いいだろう、受けて立つ!」
スケッチブックの上でペンが躍り、描き上げられた作品が現出する。ビルほどの体長、青白い鱗、大きな翼、四足の脚に揺らめく野太い尾。爬虫類にも似たその生物は、ドラゴンだった。
大きな顎が開かれ、鋭い牙を覗かせる。パチパチと撃鉄を鳴らす口内は白熱、渦巻き集う紫電が漏れ出していた。
「エクスセリオン・スマッシャーッ!」
「裁きの轟砲ッ!」
極大の魔力砲と霹靂の雷撃砲が鬩ぎ合う。その威力は同等。数秒の拮抗の後に大爆発を起こし、両者が闘技の端へと弾き飛ばされた。
紗百合は覚束ない足に喝を入れ駆ける。同時に『チャージ』を発動させ、ゲージが1段進む。
ケースから『フライ』のメモリアを抜き出し装填すると『プロテクション』が排出。杖を右手で掴むと全力で踏み出し投擲した。
まさかの攻撃にエレノアの対処が遅れる。杖は右手首を抉り闘技場の壁へと突き刺さった。
煮え湯を直接流し込まれたかのような熱と痛み。握られていたペンが地に落ちる。急いで拾おうとするも上手く指が動かない。紗百合の接近も視界に映った。ペンを拾ってから絵を描くには間に合わず、攻撃を喰らってしまうだろう。
だが、そんなことはエレノアにとってどうでもよかった。その心を占めていたのは、絵を描く手を封じられたことによる憤り――ペンに手を伸ばした自分自身に対する怒りだった。
私、エレノア・シールエンタは掃き溜めで育った女だ。
育ったのは科学汚染が進んだ国。加えて貧富の差が激しく、私は貧民の側で生まれた人間だった。
父親は来る日も来る日も酒に溺れ、母親は常に他の裕福な男と遊んでいた。住んでいた家はそれなりに広いが、母親が他の男に貢がせて買わせた家。アルコールと葉巻と化粧水の匂いが織り交ざって作られた臭いはえずくほど不快だった。だけど、食事だけはそれなりに与えられていた。だが、真っ当な教育などされるはずも無かった。
6歳になった時、両親が破局した。母親の方に付いていったが、数日と経たずに新しい男を作ると邪魔者扱いされ捨てられた。なんで自分を生んだのか、小さいながら疑問に思った瞬間だった。
そうして、私の掃き溜め生活が始まった。
常に周囲に気を配った。腕が爛れた違法薬物中毒者、枯れ木のような四肢の老人が地面に転がる。昏い路地裏からは濡れた音と泣き叫ぶ女の声が聞こえ、同じほどの下卑た男たちの笑いが聞こえてくる。まさにこの世の終わりのような光景だった。
一度だけ、優しそうに微笑み助けの手を伸ばして来た中年男性の手を取ったことがある。しかしその実、彼は私が油断したところを力で押さえつけ犯そうとしてきた。懐に忍ばせていた小さなナイフで男の目を潰すことでその場を切り抜けた。その時聞いた男の叫び声が鼓膜から離れることは無く、数日間身体の震えが止まらなかった。
だが、人間というものは不思議な生き物で。生きようと思えば、どんな環境でだって生き延びることが出来る生物だと実感した。
食事は廃棄物を漁って得た。水は工業廃水に細心の注意を払う。情報は独自のコミュニティに盗んだ金を払う事で得た。かなりのぼったくりだったが、自分の身を守るためには仕方の無いことだった。
そうして1年。周りの人々にもそれなりに認知され、出歩くにも少し自由になった。聞いたところ、私のような女児がこれだけ長い間生き残るのはかなり珍しいらしい。故にまだまともな大人にはそれなりに木にいられもしていたのだ。
ある時、私は稼ぎのため少し遠くへ出歩いていた。小さな身体を活かして隙間を通り抜け、様々な物が散乱する廃棄場を漁る。
なるべく値段になりそうなものを物色していた時だ。私が運命に出会ったのは。
「――なに、これ」
それは額縁に入れられた1枚の絵。中央には安らかに瞼を閉じる赤子が柔らかな座で寝そべる。その周囲では従者と思わしき存在が複数、全員が違う楽器を手に演奏している。背景には爽やかな空の色、雲の切れ間からは光が差し込んでいた。
私は意識が吹き飛ぶほどの衝撃を受けた。
それは確かに絵だ。造り物だ。こんな世界は存在しない。だが、この光景が脳内でひとりでに動き出すのだ。私は塗料で彩られた平面の向こう側に、別の世界を見た。
「……なにこれ。なにこれ! なにこれ!!」
同時に、私の世界が色付いた瞬間でもあった。
稼ぎなど意識から弾き飛ばされた。胸に湧き上がる感動が何よりも優先された。絵を持ち帰り、四六時中観察した。飽きることなど無かった。
――私も、こんな絵を描きたい! 誰も知らない世界を創りたい!
そこの想いを抱いてからは早かった。壁や地面を削って絵を描くことから始まった。食事など後回し。稼ぎは塗料を買い込むための資金として溶けていった。そのせいで死にそうになることも数多くあったが、自分の気持ちを裏切ることは出来なかった。
そうして3年。ある日、私の絵が中級階層の人間の目に留まった。私の元にやってきた男は仕切りに絵の感想を述べ、感動のあまり大きく武骨な強く手が私の手を握って上下に振った。少し痛かったのを覚えている。
そこで言われたのだ。どうかキミのパトロンにならせて欲しいと。
そこからはまさに鰻上りだった。徐々にではあるが中級階層の人々の目に留まり、すると芋づる式に上級階層の人間の目にも入るようになった。この世とは思えない幻想的な光景は多くの人々からを支持を得て、画家として有名になった。
そこで、更なる運命に出会う。宇宙を旅していたノエルと出会ったのだ。
そんな彼女は大層私の絵を気に入ったらしく、絵を対価として宇宙旅行を体験させてくれるという提案がされた。そんな夢のような出来事に私は舞い上がった。同時期、私を捨てた両親が言い寄ってきて鬱陶しかったのもあり即座に承諾。そうして私はサブテラーという星に降り立った。
数多の科学技術に、空想でしかなかった魔法。これらを取り込めば、私の芸術は更なる広がりを見せるだろう。図書館に通いつめ沢山の本を読み込み、全て独学で吸収していった。
そうして生み出された魔法が『虚構現出』。空想と現実を繋げる神秘の術だった。
確かにペンは便利だ。紙と合わせればどこでだって絵が描ける。今までもそうやって絵を描いて生きてきた。まさに自身と一心同体とも言えるパートナーだった。
では、ペンが無ければ絵は描けないか?
―――否! 断じて否! 様式も形式も糞喰らえ。道具など無くとも絵は描ける。それを私は最初に学んだ筈ではなかったのか。10年前のあの日に。
―――そう、エレノア・シールエンタは芸術家。持てる全てを用いて、新たな世界を創造する者。ならば、ペンを取れない程度どうということは無い。過去の記憶から、燻ぶりかけていた心の火が再び吹き上がる。
「芸術家をォ、舐めるなァァァッ!!」
地面を見やり、傍にあった白の塗料溜まりに右腕を擦り付ける。血の赤と塗料の白が混ざり合って桃色を成す。腕をスケッチブックに押し当て描かれたのは一振りの刃。断頭台の処刑刃が空に出現し、紗百合目掛けて落下する。タイミングは万全。今から避け初めても間に合わず、無手である紗百合に防ぐ手段は無い。
「ロードッ!」
【Loading, FLY】
擦れた叫び声と同時、壁に突き刺さった紗百合の杖から機械音声が発せられる。小刻みに震えること数瞬杖がひとりでに浮き上がり、紗百合の手元へと綺麗に舞い戻った。
「セット! コネクトブレイク、ディスチャージ!」
【MEMORIA BREAK. Count CHARGE:1. Full Burst】
逆向きに持たれた杖の先端、紗百合から見て背後に魔法陣が展開。収束した魔力が解放されると同時に地面を蹴り前へ跳ぶ。魔力砲が推進剤となり、突き進む姿はまさに流星。煌めく尾を引く紗百合の一撃はエレノアの断頭刃から逃れ、その胸部に突撃の全威力が乗せられた。
紗百合の耳に届いたのは鈍い破壊音。杖から伝わる感触からエレノアの骨が折れたと察するのは早かった。体感で相当に長く感じたこの戦いがようやく終わる。そんな思考が頭に過ぎり―――
―――その腕が、掴まれた。
「い、ってぇ……ほんと、バカみたいに強いな。お前……」
「な……」
紗百合が浮かべる表情は愕然という他ない。見開かれる目は信じられない出来事が起こったということを如実に表していた。
エレノアの胸は先ほどの攻撃で陥没。口元からは大量の血が零れる。僅かに開かれた目は死人かと思うほど光は無い。今にも吹けば飛んでしまうような意識。しかし、そこには明確な意志が宿っていた。
「だが……わた、しの勝ち……だ!」
エレノアの震える手に納まるスケッチブックには血を使った絵画が描かれていた。
空気に触れることで徐々にその色が褪せ黒ずむ。先端は鋭く、荒々しく切り出された返しが獲物を捕らえて離さない。
それは赫い槍。エレノアが今描ける中で最高の絵だった。
直ぐに紗百合はその場を離れようと足に力を籠める――瞬間、足が地面に飲み込まれ身体が沈んだ。
やけに緩やかに感じる時間の中、紗百合は足元に視線を向けるとそこは沼のように変質していた。
エレノアは1つ、布石を打っていた。
罠として作った様々な塗料の溜まり場。赤、薄青、緑、黄。どれも派手で、嫌でも目に付くのは当たり前だ。エレノアは意図的に、闘技場の地面と比べて目立つ色を撒き散らしたのだから。
その中に散りばめた、地面とほぼ同じ色に調合した塗料を溶け込ませる為に。
人間は五感から得る情報の内、その実80%以上を視覚に頼っているという。その情報に誤りや勘違いがあれば、それは致命的な状況へと陥ることになるだろう。
今の紗百合がまさにそうだった。
空中に現出した槍から逃れるためには脚力では足りないことを悟った紗百合。メモリアブレイクによる魔力砲撃の反動で離脱しようと音声コードを口にしようとした時、意識が急激に遠退いた。
紗百合は今回の戦い、『チャージ』を連結させたメモリアブレイクを何度も放っていた。その消耗は尋常では無く、エレノアのダメージも合わさって紗百合自身が思っていた以上に身体と精神をすり減らした。
それでも一瞬の隙を見逃さない集中力と即座に動き出す決断力は凄まじいの一言に尽きる。魔力の大量消費も合わさり、紗百合の身体は遂に限界を迎えた。
そして、勝敗を別った原因はもう1つ。
紗百合の勝利を求める心よりも、エレノアの画家としての意地が強かった。
「……ありがとう。またな」
轟! 風を薙いで、真紅の槍が紗百合を貫き、反対側の壁へと突き刺さる。その身体は戦闘不能と判断される既定の時間を過ぎても動くことは無かった。
「き、決まったー! 準決勝1戦目、勝者はエレノア選手ー!」
司会者の宣言の瞬間、エレノアの身体がふつりと糸が切れた人形のように地面へと崩れ落ちた。
次々と医療班が決闘の場へと参入し、手際よく2人が搬送されていく。
担架に乗せられたエレノアが浮かべる表情は、穏やかな笑顔だった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
紗百合ちゃん、敗北です。準決勝は1敗からのスタートとなりました。
いやぁ……やばいですね。作者も断腸の思持ちで見届けておりました。
異世界の魔法使いは強敵揃い。今までは運が良かっただけ。それを如実に感じていただけたかと思います。「絵を具象化する」というザ・魔法使いなエレノア相手に、紗百合ちゃんはよく戦いました。仲間を信じてゆっくりと身体を休めて欲しいです。
さて、2回戦は桐花となります。同じ双剣使いにどういった戦いを見せるのか。幸先が悪くなってしまったチームの流れを変えることが出来るのか。お楽しみください。
では、あとがきもここまで! 最後まで読んでいただきありがとうございました!
誤字、脱字を見つけた場合はご報告をお願いします。読者の皆さんと共に、より良い作品を作っていきたいと考えています!
感想、評価、ブックマーク。どしどし募集しています! 特に感想は気軽にどうぞ! 必ず返信させていただきます!
これからも著作「メモリーズ・マギア」をお願いします!
それでは、また次回でお会いしましょう!
【ミニ設定コーナー】
『エレノア・シールエンタ』
17歳、職業画家。身長は150センチほど。髪色は生え際から毛先に行くに連れて黒→青というグラデーション。これは染めているからで元々は黒髪。様々な星を旅しながら、実際に目にした光景などを絵に収めている。また、自分が新たに作り出した世界観の絵も描いており、多くのヒトの支持を得ている。
スラムで幼少期を過ごす中、7歳の時に絵画に出会ったことで絵師として生きる道を選択。依頼は絵を描くことを生業としている。ノエルと出会った後はサブテラーを主な拠点とするようになった。ストリートパフォーマンスとして絵を描いており、道路で妙に人だかりがあるならば彼女がいることもあるかもしれない。
壮絶な人生を送ってきたエレノア。その性格は穏便で、実は子供好き。ストリートパフォーマンスを見に来た子供には無料で絵をプレゼントすることもしばしば。「凄い絵を描いてくれるお姉さん」として子供達の中で人気者でもある。だが、そのネーミングセンスは独特で奇怪。彼女の魔法の名前も自分で付けたものだ。同じチームでもノエル位しか理解を示すことはない。ただ、肝心のノエルも「なんかカッコいい!」と言うだけである。
また、歩んできた人生からか食にはトコトン無頓着。「食えれば良い」の精神で基本的に何でも食べれる。ただ毒を含んだ食材などへと嗅覚は異常なほど高く、それが役立つことも極偶にあったりする。
「虚構現出」
それはエレノアが思い描いた世界を創り出す魔法。絵に描いたものを現実へと引っ張り出すという「現実と虚構を繋ぐ」を体現する能力。
勿論、限界も存在する。まずエレノアが絵として描き下ろせない。即ち認識することが出来ないもの、視覚化できないものを創ることは不可能。しかし逆を言えばエレノアが絵に描けるものは全て具象化可能ということ。まさしく神の如き魔法である。
実はこの魔法、描いた絵を巨大化させて具象化させるには途轍もない身体的負荷がかかる。2回戦目で隕石を降らせたとき、ノエルに注意を受けたのはこれが原因。しかしエレノアとしては自身が芸術家というプライドから、表現したいと一度思えば止まることはない。




