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半端者達、現実世界と異世界をその手で救え! 〜知らんけど〜  作者: 群青 黎明
 三章 『待ち受ける夏への予兆』
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 三章 4 『魔法の進化ーー動き出した影』

 三章 4 『魔法の進化ーー動き出した影』




 この前、イーアさんの所で魔法を練習したラッキースケベの日以来のここ数日、バイトがない日、オレはイーアさんの所に通って魔法の練習をしてい……させられていた。

 ちなみにこの前のラッキースケベは結局見ていたのをまた瞳姉が気づき絵梨花にバレてお決まりの腹パンを一発入れられた。

 暇児の瞳姉には擬似空間に入るのについて来てもらわないといけないが絵梨花もなにかとついて来ていた。


「あぁ〜疲れた。ちょい休憩で」


「了解。じゃイーアに言ってお茶でも入れてくるわ」


 現状は絵梨花に教わりつつ魔法を早く構築して発射する、という練習をただひたすら繰り返していた。

 やはりオレにも少しは才能はあったらしく着々とそれなりに魔法構築のスピードは早くなって来ていた。

 本当はイーアさんに教えてもらうのが一番いいらしいのだが今はとある用事で忙しいらしくそれならという事で絵梨花に教わっている。

 ちなみに教えるのが下手な瞳姉は見て横から口出すだけの人になっていた。

 そして意気揚々とお茶を取りに行く瞳姉。揺れてますねぇ……何がとは言わないが。


「咲都はいつも何かと器用にこなすけどまさか魔法までこうも簡単に出来るなんて少し嫉妬ものねこれは」


「それはどうも。でもそろそろ他の魔法も覚えたいなーなんて思ってるんだけど……。てか魔法って決まった型か何かがあるのか?」


「ん〜そうね……」


 絵梨花の話を要約すると魔法にはある程度決まった型があるにはあるということだ。

 現にオレが今使っている魔法『アクアブレット』え〜手のひらに属性魔法を集中させて放つ、は全属性共通の初歩的な攻撃魔法らしい。

 まあ初歩的と言っても極めれば凄いレベルまでいけるらしい。

 瞳姉がこの前見せてくれた魔法もこれの究極形だとか。

 ただし決まった技名は無く各個人が自分の好きなように技名をつけるらしい。この情報には厨二心が少し擽られた。


 でだ、あるにはあるらしいという曖昧な表現をしたのは皆そこからアレンジを加えて自分の魔法にしていくらしい。とはいってもアレンジにもある程度幅はあるらしい。

 そして魔法の強化には他の属性を多少は使えるようにならなければならい。

 分かりやすく言うと水魔法の温度を上げようとしても限界は自分の体温までらいし。そこから先の高温にもっていくには火魔法を使って、ということだ。

 かといって得意な属性以外は覚えられてもしれているらしいので他の六属性を使えるかは運らしい。


「そうか……ならある程度自分で考えて魔法を強化していくわけか」


「そういう事ね。人の技を真似る事も勿論出来るけど基本は自分ね。だから魔法には全体を通してイメージが大事なの」


 自分でイメージしてそれを形にしていくわけか。そして技名は自分でつけると。

 でも先人がある程度型にしてはいるから自分でイメージしても結局は今までにあった型に似るから決まった型があるにはあるか。的確な言い方だな。


「お待たせ〜ってまたイチャイチャ邪魔しちゃった?」


「「だから違うって!」」


 今のやり取りをどこからどう見たらイチャついているように見えるんだか。


「魔法について教えるのが下手な瞳姉に変わって咲都に教えてただけよ」


「グサッ! うぅクリティカルヒットよその言葉。で、咲都は何か魔法のアレンジについて掴めたの?」


 話してた理由分かってんじゃねーか。なんでイチャイチャしてないと分かっててそう言ってくるのやら。


「まあなんとなくは、かな。それじゃあ一つ、今考えたのをやってみようかな」


 オレは二人から少し離れ手のひらに魔法を集中させそれを球体にではなく刃状にしてそれをブーメランを投げるような感じで少し先の地面に放つ。

 放たれた魔法は直径五十センチほどの切り口を地面に開けていた。


「どうよ。名付けて……ん〜『アクアカッター』かな」


「名前そのまんまね。でも技自体はいいんじゃない? 今までの魔法は一点集中だからね。範囲で言えば今の魔法のほうが広いわけだし」


「でもその分命中までの速度は遅くなるわけだからそこをどうするかね」


 とまあ我ながら微妙な名前をつけた技は新しくオレのレパートリーに加わった。

 こんな感じでイメージして形にしていけばいいのか。案外簡単だな。


「まあ今の技もさっき私が言ったように似たようなのがもうあるんだけどね」


 ……さようですか。

 なんとなくは分かっていたけどやっぱ完全オリジナルの魔法はそう簡単には作れなさそうだな。


 瞳姉が入れてくれたお茶を飲みつつたわいもない話へ。


「そういやさ絵梨花は瞳姉に料理教えてとか言ってたけど教えるの下手な瞳姉に聞いて大丈夫なのか?」


「私こう見えても料理教えるのは上手いのよ」


「料理だけはね」


「絵梨花辛辣……私何かしましたか?」


「一昨日私が華絵と一緒にいる時に私の胸をいきなり後ろから揉んできたのは何処の誰なんですかね⁉︎」


 マジかよ瞳姉。やるな。そのシーンは是非おがみたかった。


「その事については謝ったじゃない」


「謝られても華絵を安心させようと瞳姉を知り合いって説明した時一瞬引かれたんだからね! まあ百合だって説明したら納得してたけど」


「えっ! あの子にバラしたの⁉︎ 可愛いかったから狙おうかなぁとか思ってたのに」


 百合だって説明で納得する華絵ちゃんも凄いけど狙おうと思ってた瞳姉はもはやヤバイんじゃないか。


「瞳姉に私の華絵は絶対渡しません〜」


「ちょっ、流石に冗談よ冗談……アハハ」


 瞳姉が言うとまったく冗談に聞こえません。

 てか私の華絵って……。この前も言ってたけどまさか絵梨花まで百合とかじゃないよな?


「そういや咲都、まだ少し先だけど七月にある祇園祭り一緒に行かない? 華絵は行くって言ってるんだけどどうする?」


「まあ予定無かったらいいけど。オレにももしかしたらその時には彼女が出来てるかもしれないしな。ふふ〜ん」


 少しドヤ顔で言ってやる。根拠はない。


「予定も彼女もないと思うけど」


「うるせぇよ瞳姉」


 一番暇そうな瞳姉には言われたくはない。


「って私から誘っといてだけどその時期ちょうどテストあるじゃない。ちゃんと勉強しなさいよ」


「へいへい分かってますよ。てかさ、それを言うなら華絵ちゃんもだろ?」


「確かにそれもそうね。でも華絵とは勉強会する予定だし大丈夫よ。咲都も来れば?」


 なんか嫌な予感がする。


「魔法の練習はどうするんだよ」


「テスト週間は流石に休みね」


「……考えとく」


「いや、来なさい」


 やっぱりな。拒否権なしですかい。こういう時の感は嫌という程当たる。


「ほんと咲都と絵梨花は仲がいいわね。瞳お姉さんは咲都に嫉妬しちゃうわ。私も可愛い女の子と幼馴染なんてことがあればなぁ」


 何に嫉妬してるんだよこの百合は。


「ーーさて、そろそろ練習再開しますか」




 ーー時を同じくしてアーウェルサ某所。

 背中に羽を生やし空を飛ぶ鳥ーーではない。人間のような体の背中には黒や茶色の大きな羽。そして顔はまさしく凶暴な鳥のような見た目。そこには天族の者達が四人、視線を交わしていた。


「もうじき裏の世界であるあの祭だったか? の時期だな」


「そうだな。去年も一昨年もその前の年もあの爆発女に邪魔されたからな。今年こそは目にもの見せると同時に人間どもを食い散らかしてやる!」


「ああ、あの二つ名をいくつかもってる半端者の女か。あいつをどうにかするためには……今年はバカの鬼族とは同盟は結ばんぞ。あいつらは力はあるが頭がダメだ。団結力というものがまるでない。今年はワシら天族の精鋭だけで行くぞ」


「だな。そうと決まれば人数集めだ。セントラルと組んだ腐った同族さえいなければあの爆発女に一泡吹かせてやれるのに……ああクソ!」


「過ぎた事を言っても仕方ない。いずれセントラルに媚びた同族には天誅をくだしてやる。さあワシら四人を筆頭に作戦会議だ。三怪者の……一人はセントラルに媚びたから実質ニ怪者か。あの方達の力はまた貸しては貰えんだろう」


「あの方達さえ助力してくだされば……まあこれも言っても仕方ない。ワシらセントラルにくだらなかった真の天族、残った同族のみで今年こそはあの爆発女を討ち滅ぼし人間を食らう!」


「「「異議なし」」」


「ではそういう事で各自作戦を考えなくてはな」


「ああ。では今年こそ」


「「「「ーー我ら天族に勝利あらんことを!!」」」」

感想、ブクマなど励みになります。ありがとうございます。

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