二章 8 『晩ごはんは行きつけの店』
二章 8 『晩ごはんは行きつけの店』
家に財布を取りに帰りオレ、絵梨花、瞳姉の三人でまた外を歩く。
家から五分ほど歩き小さい頃からよく通っているラーメン屋へ。このラーメン屋はオレ、絵梨花、瞳姉ともに慣れ親しんだ場所でもある。
チェーン店の内の一店ではあるが昔からいるおじさんが今も変わらず働いている。
ウィーン
「いらっしゃいませ! おっ、咲都くんと絵梨花ちゃん、それに瞳ちゃんか。よく来たね」
「こんちは。また来ちゃいました」
「いいよいいよ、昔から三人とも常連さんだからね。いつでも大歓迎だよ。じゃあお席へどうぞ」
三人で来る時のいつものお決まりの席に座る。
店内はラーメンのいい匂いでまさにお腹が減る。
「咲都くんはいつものでいいかい?」
「はい。いつものセットでお願いします」
このラーメン屋でのオレのいつもの、とはこってりラーメンに明太子ご飯のセットだ。麺を食べ終わったこってりスープに少し残しておいた明太子ご飯をインして食べるのが最高に美味しい!
太るかも知れない組み合わせだが今のところ大丈夫なのでまあ大丈夫だろう。まあ毎日やればデブへの道は間逃れられないだろう組み合わせだ。
「絵梨花ちゃんと瞳ちゃんはどうする?」
「私はこってりラーメンで」
「じゃあ私もこってりラーメン葱多めで」
「はいよ!」
さて後はラーメンが来るのを待つだけだ。
……あー腹減った。
「そういや咲都と絵梨花、学校はどうなの? 友達とか彼女彼氏とかはできたの〜?」
「まだあんまりわかんねーかな……友達はボチボチ。彼女は出来るわけないですよねー。絵梨花は?」
「私も同じような感じね。友達もそれなりに出来たは。彼氏は……この前告白されたけど振ったわ」
ぴえぇぇぇぇぇぇ!!! 耳初だ! まあ確かに絵梨花は可愛いがまさか一カ月ちょいで告白されていたなんて……。
「なんだ振ったんだ。相手どんな子だったの?」
「知らない。他のクラスの人だったし」
いいな〜告白されるなんていいな〜。オレには夢のまた夢の話ですわ。ある意味さすが絵梨花さんといったところか。
オレも誰か可愛い子にアタックしてみようかな……。
「まあ私の事はいいけどさ、瞳姉は彼氏とかいないの?」
「私はいいかな〜。今はこう見えて忙しいしねぇ……彼氏より彼女の方が……ゴクッ」
おい最後百合がチラリズムしてるぞ。ほんとなんでこんなに綺麗なのに百合なんだか。絵梨花もちょっと引いてるぞ。
というか絵梨花に可愛い子紹介して貰えばいいんだよ、そうだ、そうしよう。
「学生の青春……いいねぇ。おまたせしました、明太子ご飯セット、こってりラーメン、こってりラーメン葱多めです。ごゆっくり」
待ちに待った晩ごはんがきた。いい香りが鼻腔を通り食欲を擽る。よっしゃ! 食うぞ〜。
「じゃあいただきます!」
「「いただきます!」」
まずはスープを一口……うぅ〜ん美味い! そしてご飯を口に含みメンマとスープを口に運ぶ……はい、最高!
あぁマジで美味い。何度も来ているが何度来ても飽きない美味さ。絵梨花も瞳姉も夢中で食べている。
麺とスープの相性ももちろん最高だ。
オレのハマっている食べ方はレンゲにスープをすくいそこに麺を少し入れレンゲ上でミニラーメンを作りスープごと麺を口に含む! はぁ美味ぇ。
「相変わらず美味しいそうに食べてくれるねえ〜。チェーン店だけどおじさんはほんと嬉しいよ」
「マジで美味いっすもん。何回食べても最高ですよ」
「ほんと美味しいですよ」
「うんうん。葱との相性抜群だわ!」
もちろん三人とも絶賛だ。
確かにチェーン店なので別店で食べても味はさほど変わらないかもしれないがおじさんのいるこの店で食べるから美味しいんだ。
順調に食べ進め残りも少しになってきた。
スープに明太子ご飯を入れ軽く混ぜて食べる。ここで完全に混ざるのではなく、軽く混ぜて少しご飯とスープが分かれているところをすくい食べるのがオレ的に美味しく食べるポイント。
あえて残しておいたチャーシューでスープに少し浸ったご飯をくるんで食べる……美味ぇ!
「はぁ幸せですわ〜」
「相変わらず咲都はごはんを美味しいそうに食べるわね。将来奥さんに喜ばれるわよそれは」
「そりゃ嬉しいけど奥さんを手に入れるためにはまず彼女欲しいですなぁ」
「まぁそれは頑張ってとしか言いようないな〜。絵梨花と付き合ったらいいのに」
何という爆弾発言。両者揃い踏みのところでそれを言うか瞳姉さんよ。
まあ軽く流す感じで話を進めるか……。
「絵梨花ねぇ。可愛いしまあな……てか絵梨花ってごはん作れるの?」
「えっ⁉︎ ……あぁ、失礼ね。ごはんぐらい作れるわよ。瞳姉にもたまに教えてもらってるしレパートリーも絶賛拡大中よ」
ほー、以外に作れるようだ。てことで絵梨花には今度なにか作ってもらおう。
てか最初の反応は何だったんだ? まさかオレの可愛いの一言で動揺したのか? 絵梨花も可愛いところがあるじゃねぇか。なんて上から目線で思う。
スープまで飲み干し満腹感に浸る。スープを飲み干すのは健康に良くないと言われるかもしれないが若いうちにしか出来ない特権だと思っている。
歳を重ねると健康に気を使わなくちゃだし今のうちに、だ。
「ご馳走さまでした。あ〜美味かった」
「ご馳走さまでした。ほんと美味しかったわ」
「ご馳走さま。じゃあお会計行こうか。今日は瞳お姉さんが可愛い二人の分、奢ってあげよう」
「よっ! 瞳姉可愛い!」
「ありがとう瞳姉」
「うむうむ。よきにはからえ」
ラッキーなことに瞳姉に奢ってもらえる事になった。
美味しいごはんをタダで食べれるなんてバイトをしているから分かる、これまた最高だ。
「じゃあおじさんお会計お願いします」
「はいよ。えー三人で二千三百円です」
「じゃあちょうどで」
「ありがとうございました! 三人とも、またいつでも来てね〜」
「「「ご馳走さまでした」」」
はぁ……今日もなんだかんだで色々あったし疲れたなぁ〜。軽く空に向かって伸びをする。
まあラーメン奢ってもらえたし良しと割り切るか。
ほんと絵梨花に友達紹介してもらうの忘れないようにしないとな。
鉄矢に先を越されたくはないし高校生にもなったんだ。彼女の一人ぐらいオレにも出来るだろう……ポジティブポジティブ!
「瞳姉ご馳走さま。ありがとう」
「ご馳走さま。オレは彼女作るの頑張るよ」
「いいよいいよ。三人で食べると楽しいしね。基本一人だからたまに三人で食べる時ぐらいお姉さんになりますよ。咲都はよく分からんが頑張れ」
てな感じで晩ごはんは食べ終わりまだ少し肌寒い夜を歩く。
後は帰るだけだ。
「じゃあ二人ともすぐそこだけど気をつけて帰ってね。おやすみ」
「「おやすみ〜」」
瞳姉とは分かれ絵梨花と二人、家に向かう。
ごはんを食べ終わると眠たくなるな。まあ家に帰って風呂に入ると眠気は覚めるだろうけど。
絵梨花と話をしていると家の前に着く。
「じゃあおやすみ。月曜日テスト返却あるんだから寝坊しないようにしなさいよ」
「おう、おやすみ。腹出して寝るなよ」
「あんたねぇ一言余計なこと言わないと気が済まないの? 咲都こそ妄想のしすぎでバカにならないようにしなさいよ! じゃあおやすみ!」
言葉の勢いのまま絵梨花は家に帰っていった。
家に着きすぐ風呂に入る。帰ってすぐ風呂に浸かるのはかなりの癒しだな〜。
眠けは覚めてきたが疲れてはいるしこの分だとまたすぐ眠たくなるな。
明日日曜日だし早く起きなくていい。気が楽だ。
風呂を上がり歯を磨き部屋の布団へ。まだ早い時間だかやはりすぐ眠たくなってきた。この感じだとすぐ眠れそうだ。
八時過ぎか。久しぶりにいい夢見れるといいな〜。
ーーこうして虹夜咲都の異世界、アーウェルサに関わって二日目の夜が幕を閉じる。
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