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半端者達、現実世界と異世界をその手で救え! 〜知らんけど〜  作者: 群青 黎明
 二章 『日常と魔法の交差』
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 二章 2 『最後のテストとまたしても』

 二章 2 『最後のテストとまたしても』




 学校に着いたオレと絵梨花は、教室が違い少し離れているので、オレの教室の前で別れる。


「じゃ、咲都テスト頑張りなさいよ」


「おう、多分分からなくて途中で時間余って寝るけどな」


 離れていく絵梨花がジト目で睨んできやがる……気にしない気にしない。

 少し急いで自分の教室に向かう。


 教室に入り時計を確認する。時間は八時十七分。なんとかセーフ。遅刻せずに済んだ。


「おう咲都! また時間ギリギリかよ。せめて五分前には来いよな……テストなんだし」


「まあな。少しばかり優雅な時間を過ごしていた対価かな」


 教室に入っていきなりのご挨拶だ。まあ昨日の今日だし言われても仕方ないか。


「で、勉強はしたのかよ?」


「少し事情があってな。昨日も言ったけどこう見えて忙しいんだよオレはー」


「けど忙しくなくても勉強はしないだろお前」


 言い訳としては適当か。

 しかし絵梨花といい鉄矢といい、どうしてそろってオレが勉強をしてないと決めつけてくるんだ。やれば出来る子なんだってオレは……知らんけど。


「時間だぞー。席につけ〜。」


 先生が教室に入って来ていよいよ、最終日のテストが始まりに近づく。


「じゃ、絵梨花に怒られないようにテスト頑張れよ」


「へぇへぇ」


 皆が席に着き、テスト用紙が配られテストが始まる。


 ーーテスト一時間目は数学だ。

 予想通り、ある程度の問題ならスラスラ解けていく。

 数学に関しては、解き方さえ分かっていればオレの敵ではない。少し難しい問題でもよく考えれば解ける。やはり数学は得意なようだ。

 順調に問題が解けていき、やはり時間が余る。

 けど今回時間が余ったのは、分からなかったからではなく、問題がスラスラ解けすぎて余ったのだ。適当にやった訳でもないし、寝ても誰も何も言わないだろう。

 と、いうことでお休みなさい。




 ーー起きたらテスト終了二分前。

 今回は夢を見ることもなく時間が過ぎていった。

 まあ昨日、テスト途中に見た夢のせいで少し夢を見るのが怖い気がしていたので良かったような、楽しみがなくなって悲しいような……。

 チャイムが鳴り数学の、今日一時間目のテストが終了する。後は英語のテストを一時間耐え凌げば今日のテストは終了。


「得意の数学はどうだったよ? さすがに高校のはきつかったか? また寝てたみたいだけど」


「おいおいおい……オレを馬鹿にするのもその辺にしておけよ? 数学に関しては楽勝だったわ〜。マジで。そのおかげでゆっくり寝れたしな」


「おぉ、数学に関しては相変わらず自信満々だな。確かにお前は数学は出来るしな。数学は」


 数学は、を強調するな。その他も出来ること色々あるわ。趣味とかとくにね。え? 学校での勉強? 知らん。

 もっと楽しい科目はないものかねぇ。


「そういや鉄矢『神の実芭蕉』の七話見たか?」


「おぉ見た見た! まさか七話であんな事になるなんて軽く鳥肌ものだったよな。あの対決は熱いわ〜。しかもあのバナナの使い方は卑怯だよな。絶対笑うわ」


 さすが鉄矢、分かってやがる。なんだかんだで嗜好が合うから長い付き合いなのかもな、と改めて実感。


「今期のアニメは中々当たり多いよな〜。なんだかんだで見てるわ」


「だよな〜。特に『神の実芭蕉』は面白いわ」


 こうしてたわいもない話をして、テストの間の十分休憩は過ぎていく。


「おーい最後のテスト、英語始めるぞ〜」


 またしても皆が席に着き、最後のテスト開始が近づく。

 さあ、まずはリスニングからか。なんとかなるだろう。サッパリ分からないと思うけどね。


「じゃあリスニングのCD流すからなよく聞けよ。五分はあるからな」


 ーーリスニングの音源が流れ出す。


「ーーah,hold me tihgt.」


 ん? 今最後に「アホみたい」って言わなかったか? なんかムカつくんだが。


「ーーchuck,i tall you.」


 おい、今「チャク開いてるよ」って言っただろ! ヤバい、多分違うんだろうけどさっきから空耳で変な日本語に聞こえすぎる。集中出来ないわ!


「ーーcan you ski?」


 最後「巨乳好き?」って聞いてんだろこれ! はい! 好きです大好きです!

 でも巨乳だけじゃなくて貧乳にもそれにはそれで魅力があるので大好きです。どちらも立派なステータス! ……じゃねぇ!

 リスニングなのに何も意味が分からん。特に、日本語に聞こえるやつはもうそれにしか聞こえなくなっている。ダメだこりゃ。


 ってな感じでリスニングは終わり、後は筆記に移る。

 英語に関しては分かるのは分かるが、分からないのは分からない。

 喋れたらカッコいいなとは思うが、勉強してまで喋りたいとは今の段階では思わない。

 情けない話だが、興味のない勉強はほんとダメなんだよなオレは。なので数学がなぜ出来るのか、自分でもよく分からない。


 で、皆さんお気づきかもしれないが、時間は当たり前の如く余る。暇だしまた妄想でもしておくか。

 今回はなんの妄想をしようかなー、と色々考える。たまには変わった妄想でもしてみるか……。




 ーーオレはスナイパー。命中率は今のところ百パーセント、一撃で相手を仕留めるので敵からは『戦場の死神』として恐れられている。

 敵との距離は約一キロってところか。人数は三人。風は幸いにも出ていない。

 スコープをあわせ……撃ち抜く!


 バンッ!


 見事に命中。そして即座に次弾装填。敵は慌てて隠れていく。一人、頭が丸見えだぜ。その見えている頭めがけて引き金を引く。


 バンッ!


 またしても見事命中。残るは一人。完全に隠れてられたようだ。が、影ははっきりと見えている。壁一枚挟んだ裏側にいるのは確実。後ろに敵がいるであろう壁に照準をあわせ……


 バンッ!


 ……当たったか? と、数秒して影が倒れる。

 なんとか命中したようだ。今回のミッションもこれで完了だな。


 場所はガラリと変わり町の中。まさに景色は摩天楼。ビルの屋上から窓越しに標的を狙う。

 ーーと標的の部屋の隣に美しいブロンド美女が! しかも今まさに服を脱ごうとしているではないか! これは男として見過ごす訳にはいかない。そう自分に言い聞かせ覗きを正当化する。

 おぉ……素晴らしいスタイルだ。後ろ姿なのが惜しいが。何とか前を向いてくれ! 妄想だがあくまで焦らしは大切だ。

 よし! もう少しで見え




 キーンコーンカーンコーン




 タイミング!!!

 なんで昨日に続き、チャイムのタイミングがこうも悪いんだコンチキショー。


 こんな感じで最後のテストは終わりを告げる。

 今回のテスト五教科……中の理科は落としたから実質四教科か。は、まあある程度点数は取れただろうと願う。数学に関しては確実に大丈夫だと思うが。


「よーしテストはこれで終了だ。帰ってよーし」


 先生の掛け声で皆の緊張が一気にほぐれる。

 勿論オレも一応例外ではない。


「よっしゃー終わったー」


 座ったままだが軽く伸びをして体をほぐす。そのまま首を回して……


 ゴキッ!


 ……今首からヤバい音がしたぞ。あまり痛くはなかったが少し視線を集めてしまった。


「なんだ今の音……。で最後のテスト、英語はどうだったよ?」


 いちいち聞いてくる鉄矢。ここはひとつカッコよく返してやるか。


「楽勝だったわ。三人とも仕留めてやったしな。最後は惜しかった……ほんとタイミングが悪いチャイムだよ」


「……なんの話しか分からんけどさ、それお前の妄想の話なんじゃね?」


 ハッ⁉︎ それもそうだ。妄想の話がまたしても感想として出てしまっていた。


「じゃあオレ部活あるから遊ばずに帰れよ」


「ガキじゃないんだから帰りに遊ぶなんてしねぇよ。絵梨花もいるし」


 なんて感じのいつもの挨拶を交わして鉄矢とは別れる。

 さて、絵梨花を校門で待ちますか。帰り支度をして校門に向かう。

 帰ったら空いた時間、ゴロゴロしたいが今日はお生憎様、バイトを入れている。今になって、テストの後ぐらいバイトを入れなければ良かった、と軽く後悔。


 今日の天気は中々に良い。ますます、バイトに行くのが嫌になってきた。

 天気のいい日はやはり遊びたくなりますよね〜。

 天気が良いから綺麗なお姉さんが来てくれるはず。そんな謎理論でテンションをなんとか上げて校門へ歩く。

 まだ絵梨花はいなかった。


「ふ〜ふんふ〜ん〜〜」


 鼻歌でアニソンを奏でながら絵梨花を待っていると、目に風に乗ったゴミが入ってきた。痛さのはずみで両目を瞑り、




「えっ? オイオイ、マジかよ……」


 ーー目を開けると昨日と同じ、門をくぐった時と同じように周りに、聴こえていたはずの音が消え景色が、時間が停止していた。

感想、ブクマなど励みになります。ありがとうございます。

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