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半端者達、現実世界と異世界をその手で救え! 〜知らんけど〜  作者: 群青 黎明
 一章 『繋がりは拒否する間も無く』
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 一章 プロローグ 『妄想の始まり』

 一章 プロローグ 『妄想の始まり』




 ーーあぁ、そうかとうとうオレはここで死ぬのか……なんてついさっき思っていたのが嘘のようだ。


 オレにとって『三本目 』の腕が、何故か生えてきている……。

 まあ一本目、二本目はもとから誰でも生えているが、三本目が生えてくる人間なんてあまりいないだろう。それもこんなにすぐに生えてくるなんて有り得ない。

 切断された右腕が回復していくのが、まさに目に見えてわかる。


 痛みもだんだんと引いてきたような気がしてきた。

 やはりオレにとっての有り得ない事が現実に。俗に言う非現実が目の前に広がりそして、生えてきている三本目の腕が痛みの回復に続き、物理的に非現実を訴えてきている。

 もう脳が追いつかん。まさにパンクしてしまいそうだ。


 ーーそれにしても物凄い破裂音、そして衝撃が体を震わせる。

 あぁ、これは確実にあれだ。変な事に巻き込まれてしまった。いや、まだ分からん。やはり諦めがつかない。

 オレの妄想やもしれないーーなんて淡い期待が脳をよぎる……そして過ぎ去っていく。


 ーー拝啓、数時間前オレ。いかがお過ごしでしょうか。いや、いかがと言うか何というか……えぇ。お前はまたしょうもない妄想でもしていたことでしょう。

 どうしてこんな事になってしまったんでしょうか。平和が欲しい私の目の前に今、非現実が広がっております。寝坊したからいけなかったのでしょうか。勉強をしておけばよかったのでしょうか。家に帰ってアニメを見とうございます。


 こういうことは妄想の世界だけにしていて欲しかった。

 望んだ事が無いかと言われれば絶対に無いとは言い切れない。がしかしだ、オレの平和が、平凡な日常が崩れる音が脳内に現在進行で響いている。


 こういう非現実に巻き込まれれば、多分無かったなんて事にはならないのだろう。むしろ飲み込まれていくのがアニメや漫画では定石というやつだ。

 あぁ、なんか感情が爆発しそうだ。


 気づくと感情のほとんどを支配していた痛みも無くなっている。

 やはり非現実だなこれは……いや実際に起こっているから現実か。今まさに目の前で非現実は現実になってしまったのか……。

 おかしい。おかしすぎる! やはりこの状況をすぐに納得出来るほど、オレの頭は良くないようだ。

 普段妄想や大好きな二次元ではこういう事はよくあるのに……。


 声を発しても誰にも届かないような爆音が鳴り響き、目の前では相変わらずの衝撃が繰り広げられている。

 現実に起こってしまったこの状況。どうにもならないと半分確信を持ちつつも自分自身を保つためにも声を張り上げて叫ぶ。


「オレの……頼むからオレの妄想であってくれ!!!」




 と、虚しい叫びは目の前に起こる爆音でもはや自分にもほとんど届かなかった。

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