設定集 アルト村のみんな
あの噂は本当だったのか。ブルム地方の奥地に、とんでもなく強いヒューマンの住む集落があるという噂は……。一説ではかつての大戦での英雄の仲間が生き延び、ブルムの森の中で暮らし始めたということだった。もう私には何も分からない。ただひとつ分かるのは、森の守護神と呼ばれる強者に絶体絶命のピンチを救われたということだけだった。
―――出典:とある冒険者の手記
剣士テオン 15歳・男・ヒューマン
主人公の転生した姿。鍛冶屋ジグのひとり息子。1歳のときに母セーラをなくしている。元々同年代の子どもの中では強い方。明るい少年だったが12歳の誕生日にロイが目覚め、「消滅の光」を引き起こした。ショートソードの長さの片手剣と光の力を使う。好物はチェリーパイ。
鍛冶屋ジグ 34歳・男・ヒューマン
テオンの父。剣を打つことが多いが、実は刀も打てる熟練鍛冶士。錬金術で合金を生成できる。戦士としてのレベルも高く、ハンマーの達人。口数が少なく、昔は眼光の鋭さも相まって村の子供たちから怖がられていた。14年前に突然死した妻セーラの死因を密かに調べ続けている。
村長アルテ 64歳・男・ヒューマン
アルト村の村長で39年間村最強の戦士の座についている。得意武器は杖。四人の子供がおり、長男ユズキ38歳、次男アスト28歳、長女ハナ20歳、次女ユウ11歳。妻であり初代村長アルトの娘ユナはユウを産んだときに亡くなっている。アルト村の門を通った人間を察知する能力、ゲートセンサーを持つ。
村長補佐ユズキ 38歳・男・ヒューマン
村長の長男で、村有数の実力者でもある大剣使い。状況に応じて大盾も扱える。若い頃に隣町まで建築技術を学びに行っており、大工仕事のほか建物の設計や建築の指導なども行っている。村の戦力である門番と狩人を取りまとめる役も担う。村長補佐としてよく働くが、昔は女遊びが激しかった。
教師ハナ 20歳・女・ヒューマン
村長の長女で、すらっと背の高い清楚系黒髪お姉さん。村長の杖術、体術を受け継いでおり、村長に次ぐ力を秘めている村の最終防衛ラインでもある。子供たちの教師である傍ら、村の生産物の管理を担うしっかりもの。彼女に恋する生徒は多い。恋人だったキューが行方不明になって以来、遠くを見るような顔をすることが多かった。
巫女ユウ 11歳・女・ヒューマン
村長の末娘。見た目は5歳児で知能の発達も遅れているが、驚異的な魔術の素質を備えている。相手の魂の姿を見たり、確定している運命の一部を覗くことができる。古代文字も読める。十分すごいがまだ巫女の力に完全には目覚めていない。幼い子供たちから同年代と思われているが気にしていない。
狩人ハイル 51歳・男・ヒューマン
村一番の狩人で美丈夫。51歳だがその輝きは健在。食べ物の調達だけでなく、成人したばかりの戦士の教育も行っており、多くの弟子を抱える身。厄災級の魔物を易々と退けることから近隣の町にも知られており、本人の知らないところで森の守護神と呼ばれている。狩人デミとの間に息子ディンを設けるが浮気が原因で離婚。デミは隣町に嫁いでいってしまった。
門番ディン 18歳・男・ヒューマン
村一番の色男として名高い。ハイルとデミという二人の名狩人を親に持つサラブレッド。同い年のアム、その妹のララとは幼馴染み。元々狩人として剣と弓を得意としていたが、槍も器用に使いこなす。キューがいなくなってから不足した門番を引き受けた。二刀流の素質もあり、紛れもなく天才なのだが、本能的に恐怖した相手には逆らえない弱さも持っている。
宿屋・治癒士クラ 41歳・女・ヒューマン
村唯一の宿屋の女将。といっても来訪客などほとんどいない。母親のいない子供たちの世話を引き受ける他、怪我人の治療などをしている。治癒士としての腕は超一流。ユズキとの間にアム、ハイルとの間にララを設けている、未婚の強き母である。実は三姉妹の二番目で、長女は遠い昔に村を出ている。
狩人アム 18歳・男・ヒューマン
村長の息子ユズキと宿屋クラの息子。同い年のディンと共にテオンの兄貴分を自称しているが、テオンが覚醒してからはちょっぴり気後れしている。腕っぷしが強く剣の腕も確かだが、ジグのハンマーに密かに憧れている。表ではハナ一筋だが、密かに妹のララのことが気になっている。
宿屋の娘ララ 16歳・女・ヒューマン
狩人ハイルと宿屋クラの娘。村一番の美人と評判な快活な娘。テオンに恋している。門番のディンと付き合っていたが、15歳のときディンとは腹違いの兄妹である事を知って別れた。かなり高度な気配察知能力を持ち、森の中でも悠々と長剣を振るう剣士でもある。治癒士としての素質もある。料理の腕は絶望的だが、チェリーパイだけはクラ並み。
仕立て屋サラ 34歳・女・ヒューマン
クラの妹。スレンダー巨乳のお姉さんでララと並ぶ美人だが、なんとジグと同い年。未だに未婚なのは冒険者として旅に出てしまった村長の次男アストに操を立てているから。仕立て屋として獣の皮や麻のような植物から衣服や小道具などを作っているが、武闘家として優秀で素材は大体自家調達。
八百屋エルモ 46歳・男・ヒューマン
村唯一の八百屋をやっている陽気なおっちゃん。8年前に妻ミルナを亡くし、娘のエナナと共に隣町ポエトロからやって来た。町には前妻との息子エミル26歳がいる。戦闘は苦手だが娘のためならハウンドを素手で仕留める底力を持つ。何かとお節介だが人情に篤い憎めないキャラ。
八百屋の娘エナナ 14歳・女・ヒューマン
引っ込み思案な少女。小柄だが発育がよく、村の男にしょっちゅう言い寄られている。村に来て初めて心を開いたテオンに、密かに思いを寄せている。普段は家の八百屋を手伝っているが、薬草の知識に詳しく治癒士のクラに一目置かれている。手首に赤いリボンを巻くようになってから、少し明るくなった。
門番トウ 22歳・男・ヒューマン
15歳から門番を務める真面目な茶髪の青年。元々王都に住んでいたが、6歳の頃流行り病を患った親と共に追い出され、村に流れ着いた。幸いトウに病の気はなく、宿屋クラのところで養われ15歳で門番となった。キューの先輩。いいやつなのだが色恋の話には縁がない。槍一筋の重戦士で今では村防衛の要となっている。
狩人アル 31歳・男・ヒューマン
弓使い。パッとしない青年だが手先が器用で、狩りに出ていないときも率先して村の雑事を引き受けている。時々サラを手伝って仕立て屋の店番をしていることもある。妻のサンには頭が上がらず普段は尻に敷かれているが、サン曰く、アルが酒に酔ってサンに強引に迫った姿にきゅんとして結婚したらしい。
教師サン 29歳・女・ヒューマン
ハナの先輩の教師。ハナが教師になってから暫く手伝いに回り、村の雑事を優先して担っていたが、「消滅の光」以降仕事に身が入らなくなったハナに代わり復職した。アルト村では子供の数に波があり、エナナが成人すると暫く生徒が自分の子供であるロク、ムックだけになる。
双子の兄ロック 6歳・男・ヒューマン
元気のいい双子の兄弟の兄。狩人アルと教師サンの子。母親に似て活発。やんちゃ盛りで皆を困らせる姿が幼いテオンに似ているとよく言われている。エナナのことが好きだが、彼女からはすぐに意地悪してくるやんちゃな子と思われている。いつも後ろを付いてくるムクを子分のように思っている。
双子の弟ムク 6歳・男・ヒューマン
元気のいい双子の兄弟の弟。狩人アルと教師サンの子。父親に似て臆病。人見知りが激しくいつもロックの後ろを付いて回る姿が、村に来た頃のエナナに似ているとよく言われる。ロック同様にエナナのことが好きだが、ほとんど話しかけたことはない。彼女からは大人しくて優しそうな子と好感触。
狩人セット 28歳・男・ヒューマン
弓を作るのが上手い。扱いはそこそこ。手先が器用で時々サラの仕立て屋の商品作りを手伝わされている。村長の息子で冒険者として王都で活躍するアルトとは幼馴染であり、彼の活躍を鼻高々に自慢している。少しおっちょこちょいな性格で、弓を持たずに狩りに出かけてしまったことがあるが、森の中で即席の弓を作ってリトルボアを仕留めてきた。
狩人チー 22歳・女・ヒューマン
タラの姉。主に森で果実や木の実の採集を行う。暫くナナの子育てのために村に籠ってることが多かったが、最近は再び森に出るようになりセットと一緒に行動している。魔法が使える。得意な属性は水。少し治癒魔法をクラに習ったことがあるが、集中力が足らずに投げ出してしまった。攻撃魔法ではかなりのもの。
ナナ 4歳・女・ヒューマン
セットとチーの娘。大人しい女の子。魔法の才能があり、物覚えもいい。クラからはおっちょこちょいのセットと飽き性のチーからよくこんな子が生まれたものだと評価されている。未来の治癒士の卵。よくハチの手を引いており、本当の姉弟のように仲が良い。いつもタラのことを遠くから見ているが、近づくことはできない。
調理師タラ 19歳・男・ヒューマン
村一番の美食家で料理の腕も一流。炊事場のほか、村での畑仕事や掃除、木々の管理などで生活している。戦闘に向いておらず、村の外に出ることは滅多にない。魔法が使えるが攻撃には適さない。得意な属性は土。~でやす、という特徴的な語尾で話すのは幼い頃に狩りでなくした父親の真似。
狩人デュオ 19歳・男・ヒューマン
ハイルの弟子で寡黙な男。ハードボイルドな雰囲気が村の女たちから人気。特に年上に受ける。敏捷性を生かしてナイフで狩りをするが、その早業は村でも指折り。戦闘スタイルがデミと似ているため、ハイルに特に気に入られている。タラとは幼馴染で、幼い頃はデュオがタラの後ろを付いて回っていた。
スー 26歳・女・ヒューマン
デュオの妻。姉さん女房だが、自身の幼い見た目とデュオの大人びた雰囲気によりそうは見えない。おどおどとした性格のスーを見かねたデュオが世話していたのが交際のきっかけだった。食料の配分を手伝って、毎日の家事をこなして、畑仕事して、ハチの面倒を見てで精一杯。
ハチ 3歳・男・ヒューマン
デュオとスーの子供。元気な3歳児で常にナナの後ろを付いて回っている。本人は臆病なナナを守ってあげているつもり。口数は少ないが好奇心は旺盛で、よく大人たちの作業をじっと見つめている。母のスーが炊事場に立つとひやひやしすぎて泣き出してしまう。そしてスーがハチを宥めている間にタラがスーの分の作業を終わらせるのだ。
フィア 23歳・女・ヒューマン
スーの妹。姉と一緒に毎日村の仕事で精一杯。ドジっ子なスーを常に影で支え続けたため、村でもかなり仕事の出来る方になった。実は彼女もデュオのことが気になっていたのだが、姉にはデュオが必要だと思って身を引いた。最近ではアムもいいなと思い始めているが、特に進展はない。
狩人フカ 36歳・男・ヒューマン
ベテランの域に達し始めた狩人。剣と弓を使うが、罠の扱いにかけてはハイルを凌駕するほどで、大体罠で仕留める。そのおかげで最も安定して村に食料を届ける名狩人である。そのスタイルから毎日狩りに出る必要はなく、休みの日によく畑作業をしている。狩りよりもそっちの方が好き。
門番ハム 43歳・男・ヒューマン
ベテランの門番。特に夜間を担当することが多い。よく鼻唄を歌っている。キューと交代で門番をしていたころは、彼が当たり前のように遅刻を繰り返すため寝不足になることが多かった。トウと組むようになって彼の体調は頗る良い。非番の日は村の掃除や木の管理をしている。鳥を飼っている。
スタ 43歳・女・ヒューマン
ハムの嫁。畑仕事と村の仕事で毎日忙しい。基本的に夜勤のハムとは会話する機会が少なくなってしまっており、夫婦仲が冷めているんじゃないかと本人は気にしているが、周りの意見はどう考えても杞憂。寝起きの彼女が夜勤明けのハムのもとに迎えに行き、抱き着いていちゃいちゃしながら家に帰るのは、最早朝の名物となっている。
以上、テオンを含め31人が現在の村人である。
村の外にいるもの、及び故人―――
冒険者アスト 28歳・男・ヒューマン
村長の次男。長剣使い。ユズキを超えるため10年前に冒険者として旅に出たきり音沙汰なし。村にいた頃はしつこく仕立て屋サラに言い寄られていたが、本人は旅の一団として村に寄っていた娘に一目惚れしていた。強く美しい剣技でたちまち有名になり、今では王都の冒険者ギルドで『竜殺しアスト』の名で通っているS級冒険者。
狩人・踊り子デミ 32歳・女・ヒューマン
アマゾネスな格好のセクシーお姉さん。ナイフ二刀流で舞うような狩りを行う。村の祭りで踊り手を担っていた。ハイルとの間にディンを設け、次の年に結婚したが即離婚。ディンが8つになった22歳の時に隣町の商人ゼオンのもとに嫁いでいった。町では踊り子として活躍し、幻のアイドルと呼ばれる。二人の娘、ルーミ9歳とミナ4歳がいる。
門番キュー 享年23歳・男・ヒューマン
17歳の時にやってきた隣町の冒険者。槍の使い手で、草原でハウンドの群れに襲われたところをハイルに助けられて村にやって来た。村長のところでそのまま厄介になり、アルト村に住むことを決める。しばらくはハイルと共に狩りに出ていたが、18歳のときから門番として働くようになった。
村長夫人ユナ 享年44歳・女・ヒューマン
先代村長アルトの娘。当時25歳の村の戦士アルテと16歳で結婚、17歳で長男のユズキを出産。抜群のスタイルはハナをも凌ぐが、きつい性格が難点だった。高齢出産でユウを産んだ直後に亡くなった。生前は生産物の管理をしていた。簡単な魔術機構の付与ができ、村長のゲートセンサーは彼女によるもの。
巫女セーラ 享年18歳・女・ヒューマン
テオンの母。絶大な巫女の力をもつ小柄な少女。ジグと結婚し17歳でテオンを産むが、テオンが1歳のときに謎の死を遂げた。巫女の力を持つものは成長が遅く知能の発達が遅れるものもいるのだが、セーラは寧ろ類稀なる頭脳を有し村長を補佐して村の運営に積極的に携わっていた。
[2019.4.3追記]本編の一話分よりも長くなってしまいました。これにて第1章改稿作戦は完了です。今まで以上に楽しめるものになっていれば幸いです。





