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ARIMEX イシアタマオオカミでもわかる魔法戦!

作者: Chubey

今、僕は黒牙熊より恐ろしい顔をした人と一緒にいる


「よし! それでは戦いにおける『魔法』だ! 今は確認と概要しかやらんから安心しろっ!」


今日は、この声の無駄に大きい隊長からの『魔法戦』の講義だ

この見た目が恐ろしい人は声も恐ろしい。婉曲的に、声が大きい、と何回いっても流される。こっちは新兵だからそれ以上は言えない


「サイニー! では確認だ! 魔法とはなんだっ!」


いきなり名前を大声で呼ばれ、何もしていないのに怒られている気分になる。心臓に悪い


「えっと、『加熱』とか『照明』とかの――」


「そうだ! それにより水を沸かせたり、女性のスカートの中を輝かせたりできるんだ! それじゃあ『魔力風』とはなんだ」


……ん? んんん?


「……『魔力』の風です」


スカートの中を光らせる? たまに、よくわからない変態性をこの隊長は出してくる


「正解だ! 『魔核』で創られる魔力の流れだ! 魔核から全方位に放たれる」


ただの言い換えで正解をもらえた。いいのかこれで


「では、遠く離れた女性のスカートの中に『照明』はできんのはなぜだ!」


なぜ光らせるのだろうか。スカートの中に“照明”を入れても、足が透けるなんてことないだろう。足元が照らされるぐらいか?

よくわからない


「魔力風がそこまでいかないから、ですか? 」


「うむ! 魔力風が届かんからだっ! 魔法は魔力に『情報』を送らんといかん! 離れれば魔力風が弱くなって情報が届かん!」


その通りだ


「だが近づいても実際にはできん!理由はわかるかっ!」


「…………わかりません……」


そんなに光らせたいのだろうか。まったく意味がわからない


「その女性の魔力風とぶつかるからだ! 魔力風を押しのければできるが、そんなことをしてはいけない!」


そんなことわざわざやらないだろうに……


「魔法での戦いにおいては、スカートのときと違い、敵の魔力風を押しのける必要がある!そんな時に使う魔法はなんだ!」


「光弾です」


魔力を固め、打ち出す魔法だ


「そうだ! 十分な威力がある光弾は、相手の魔力風を切り裂くっ! 」



――――――



「魔力風の『衝撃面』には破りやすいところがある! それが衝撃面の端だ! なぜかわかるか!」


「衝撃面の中心は、相手の魔力風が強いからです」


だから光弾の発射点を、体の中心から離す必要がある


「だが普通に破っただけでは相手に届かない! ある魔法を使うからだっ! この魔法は! 本当にヘタクソな奴でもない限り! 即座に展開される! その魔法こそっ! 『障壁』! だっ!」


両腕を広げながら隊長は話す。音圧がわかるほど顔が近い。歪めそうになる顔を抑える


「障壁は魔法的には強い! しかーし! 物理的には脆いっ! 銑鉄のように硬いが脆いっ! 脆いのだっ!」


どれだけ強調するのか

まあ、障壁で物理武器を止められる人は本当に少ない


「だから槍や剣で砕ける! 障壁を破壊し!敵が障壁を張る前の! その刹那に! 光弾を叩き込む!

詳細はのちほどやるがっ! 魔法を併用する一対一の格闘戦では! いかにして障壁を破るかが! 剣や盾でか魔法でか! 敵を凌ぐのだっ!」



――――――



「戦闘中では魔力風は大きくなる! 魔核の出力を上げるからだ! 強い魔法のためには多い魔力が必要だ!」


まあ、そりゃそうだろう


「だが魔核の出力を上げてはいけない時もある! わかるか、サイニー!」


「相手に自分の位置を知らせたくない時ですね」


「その通り、遭遇戦だ! 魔力風は魔法が使えない距離まで届く! その微弱な魔力風から、敵に『感知』でこちらの居場所がばれてしまうっ!」


隊長は顔を手で覆いながら叫ぶ。当たり前のことなのに、なぜそんな深刻そうに言うのか。やらかしたことがあるのか?


「戦闘が始まったら出力を上げる! だがそれには時間がかかる! よって少数での遭遇戦などの、敵味方の位置がわからない場合! より早く出力を最大に持っていける方が有利だっ! 特に眠っている時は注意が必要だ! 睡眠中は一割もいっていないからな! 」


聞くところによると、隊長は出力を上げるのがとても速いらしい。


「よってこれから毎朝! できるだけ速く最大出力にする訓練を行うっ! よろこべっ!」


「はあ、了解です」




うへえ、最悪だ。毎朝こんなのがくるのか。

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