古の神殿 その6
親子感がでればいいな
「さぁルイカちゃん、彼の所にいきましょ」
愛子は馬車から降りるとルイカの手を引いた。
「アイコ〜私は手をひかれなくても降りれるで……子供扱いはやめてんか?」
「まぁそう言わずね。こけたら危ないでしょ?」
「それが子供扱いしてるっちゅうの!!」
ルイカが顔を真っ赤にして愛子に文句をつけていたが、愛子は無視した。
そして腕に付けている魔道具を操作した。
「あっルルクン? ルイカちゃん連れて今王都に入ったわよ?」
「アイコ様! そのまま王城にお越しください。 門兵には愛子さまが戻ったことを伝えておきます」
魔道具越しにルルカッタの顔が見えた。
愛子の顔が少し綻んでいた。
「アイコは本当にルルカッタのことが好きなんやな……」
「えっそんな顔してた?」
「そんな顔してたらすぐ分かるで〜」
ルイカに茶化さられながら愛子達は王城に向けて歩き始めた。
「さぁルイカちゃん行きましょう!」
「ちょっと待ってよ!もうアイコは足が早いわ~」
ルイカは愛子に置いていかれないように頑張って走った。
その姿は、若い母親とは娘のように周りから見えていたようで所々で
『あらあら、可愛い娘さんね~』とか『若いお母さんね~』と言った
言葉が聞こえていたが愛子は全力で無視した。
愛子とルイカが大通りを抜けるとヴィスタ城が見えた。
「わぁ、これがヴィスタ城…あれ?」
「どうしたのルイカちゃん?」
「ウチ、この城見たことあるで。 これは父上様の…アビス城や!」
「えっそれはどういうことなの? このお城が昔から…それこそルイカちゃんの時代からあるということなの?」
「う~ん…うちも中を見てみんとわからんけど…外観は間違いないで」
「まぁ、まずはルルカッタくんの所にいきましょ?皇帝からルイカちゃんに話があるということだったし」
「せやな。 こんな場所で二人で悩んでても埒が明かんわ」
そして二人は確実に王城に近づいていった。
二人が王城の前にある堀の桟橋を超えると大きな門があった。
門前に二人の魔法師が長い杖を持ち立っていた。
「そこの二人、止まれ! 所属と名を名乗れ」
「私は愛子です。 所属はクライクラスト商会です」
「何用でこの城に来た?」
「皇帝ギンゲムからの依頼で重要人物を護送してきました。確認と取り次ぎをお願いします」
「しばし待たれよ。 確認する」
そう告げると一人の魔法師が魔道具で中に確認をするために橋の左にある建物に入った。
少しの時間がすぎ建物から先ほどの魔法師が出てきた。
「確認がとれた。クライクラスト商会のアイコ様。 中でルルカッタ様がお待ちです」
―――ギィィィ―――
大きな音をたてて門が開かれた。
「さぁルイカちゃん、行きましょ」
そう告げると愛子はルイカの手を引いて門の中に入っていった。
「あっアイコ様!おかえりなさい。 ルイカ様も遠路お疲れさまでした」
「おおっルイカ姫! ひさしぶりですね。 お変わりないようで何より!」
門をくぐった先でルルカッタとミッタマイヤが愛子とルイカを待ち構えていた。
「ミッタマイヤ! 久しぶりやね。 アンタはなんも変わっとらんね。 それとルルカッタもひさしぶりやなぁ」
「ルイカ様、お久しぶりです。 今日はお越しいただきありがとうございます。 兄王さま……皇帝ギンゲムがルイカ様をお待ちです」
ルルカッタは深いお辞儀をするとルイカの手を取り玉座の間に繋がる大階段を上がった。
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