ヴィスタ奪還 その17
次回からルルカッタのターン!
「くっ…」
苦しそうにルルカッタは呟いた。
「どうした? もう無いのか?」
グリモアが告げると魔剣を構えた。
「そうか…残念だが、貴様を排除できれば我ら第四騎士団の役目は終わりだ。その首を置いて逝くがいい」
二振りの魔剣が赤い魔法力を浴びた。
そして告げたのは死の宣告。
「四の太刀’絶龍’!」
赤く輝く刀身が動いた時、ルルカッタに七つの刺突撃をくり出した。
―――ザッザザザザザザン!―――
「うわぁぁ!!」
ルルカッタは頭部、両腕、両胸、両足を刺突され仰向けに倒れた。
「ふふははは。やはり天才と言えど、魔法力が無い魔法師など…!?」
グリモアが倒れたルルカッタを見た。
確かにさっきまでは倒れていた。
しかしそこに倒れていたはずのルルカッタが居なかった。
「なっ…ばかな! 俺の必殺の’絶龍’を受けて無事なはずがない」
グリモアは周囲を見渡した。
そこにルルカッタの姿はない。
「一体どうなっているんだ!?」
グリモアは叫んだ。
そして周囲の温度が下がったかのような悪寒を感じた。
「…くっ!?」
グリモアが特に魔法力が濃く感じた場所に振りむいた。
濃密な魔法力が周囲との境界を創っていた。
「良い夢は見えましたか?」
ルルカッタが傷一つない姿で、其処に立っていた。
その手には愛歌鍵を握り、青い魔法力を纏っていた。
「ばかな! 確かに俺は、貴様に7つの刺突撃を与えたはずだ。 肉を絶った感触を、俺は覚えているぞ!!」
「そうですね。確かに僕は貴方に刺し貫かれました」
「ではなぜ!? そこに立っている! しかも無傷ではないか」
グリモアが叫んだ。
確かに刺し貫いた。
そして貫かれたとルルカッタは告げた。
「簡単なことですよ?」
ルルカッタは、涼しい顔でグリモアを見た。
「どちらも僕だからですよ。」
悪い顔でグリモアを見つめてルルカッタ答えた。
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