ヴィスタ奪還 その16
―――バシュ!―――
グリモアが掲げた右腕の魔剣に、ルルカッタの放った召喚魔法による星炎が吸い込まれた。
「くはは! なかなかどうして! 魔法力が少なくてまともな魔法が、放てないという情報だったんだがなぁ!厄災よ!」
グリモアが叫んだ。
「それにしても……我が魔剣’血化粧’に濃厚な魔法を食わせることが出来るとは、俺も思わなかったぞ?」
左手に持つ魔剣に赤い魔法力が満たされた。
「さあ、今度はこちらの番だ!!」
グリモアが、左手に持つ魔剣を握り直して構えた。
「くらうがいい! 一の太刀’飛龍’!」
グリモアの左手の魔剣が赤く光り輝くと振り下ろした魔法力の刃がルルカッタに向けて放たれた。
「くっ!」
ルルカッタが愛歌鍵を構えた。
――ザシュ!―――ポタポタ―――
「ルル!」
右腕から流れるルルカッタの血を見てライラックが叫んだ。
「ふふははは! 健気よなぁ。 その場から逃げれば、お前の姉たちが切り刻まれてしまうのだからなぁ!」
グリモアがルルカッタに告げた。
「どうした?その程度か?なぁ厄災!」
「’零体回復’」
ルルカッタが唱えると腕の傷が消えた。
「ほう……それが、貴様の開発した魔法の一つか?」
「貴方に答える義務はありません! ’真滅氷結’!」
ルルカッタが唱えるとグリモアの背後に魔法陣が具現化し氷結弾がグリモアに襲い掛かった。
「二の太刀’双龍’!」
グリモアが両手に持つ魔剣を同時に放つと赤い魔法力の刃が重なって顕現した・
――バキィン!――
氷結弾が砕かれた。
「まだまだ! ’真滅電撃’ォ!」
さらにグリモアの頭上に魔法陣が描かれそこから青い雷が爆音と共にグリモアに放たれた。
「三の太刀 ’滅龍’!」
グリモアが十字に魔剣を揮うと現れた雷を消し去った。
初めから何もなかったかのように……
「魔法強制消滅術の類ですか……」
「ほう……初見で俺の’滅龍’を見破るとは…さすがは天才と称されただけはあるな」
グリモアが魔剣を構えてルルカッタに叫んだ。
「さぁ! これで貴様の魔法は終わりか? なぁ厄災!」
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