ヴィスタ奪還 その6
少しづつ進めていきます。
「なんの、この程度の槍なら躱せるわよ!」
愛子は、足に力を込めて横に飛びのいた。
「ふっ甘いわ!見せてやろう’真獄炎槍’の本当の怖さを!」
そうラフタが告げると、炎の槍は愛子に向けて弧を描きながら向きを変えた。
「噓でしょ!なんでこっちに飛んでくるの?」
愛子は驚きの声を上げた。
その表情を見たラフタは、大声で叫んだ。
「ふははっ!この魔法は相手に当たるまで自動的に追尾するようになってるんだよ。簡単には逃げられねぇんだよ。ばぁかが!」
愛子をニタニタと笑いながら、ラフタはさらに唱えた。
「そら、追加だ。よーく丸焦げになりやがれ!真獄炎槍!」
ラフタの剣の前に先ほどと同じ赤い魔法陣が現れた。
魔法陣からさらに6本の炎槍が愛子に向けて飛びだした。
「くっ!本当に離れないわね!このままじゃジリ貧だわ」
愛子は迫りくる12本の炎槍に向けてつぶやいた。
そして腕を上げて、迫りくる炎槍に向けて唱えた。
「いつまでも付いてくるなら、押しつぶすまでよ! ’圧縮’ !!」
愛子の右手の前に紫色の魔法陣が現れた。
そして魔法陣から黒い玉が現れ、迫りくる炎槍に向けて飛び出した。
―――シュウウ―――
黒球は炎槍に当たると膨張した。
そして、周囲を飛んでいた11本の炎槍を飲み込み急激に縮んだ。
「なにっ!なんだ、その黒球は!?」
「私の魔法よ!いまだ隙あり!!」
――ジャキ!フィィィン!―――
愛子は義足の放熱板を展開しラスタに近づくと勢いはそのままに中段蹴りを繰り出した。
―――ドゴォ―――
「ぐはっ!」
愛子の飛び蹴りを受けたラスタは壁まで飛び、壁にめり込んだ。
――ドサッ―――
めり込んだラスタは、壁から剥がれ落ちると動かなかった。
「ちょっとやりすぎたかも。うんと脈は……うん。脈はあるね。なら大丈夫でしょ」
そういうと愛子は、ラスタの剣を持ちながらその場を去った。
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