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イゼル動乱 その10

仕事がいそがしく遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

無事に更新できました。まだまだ続きます。


「私が貴方に依頼したいことはただ一つ」


フランは下から覗き込みようにマイルーズを見上げた。


「ある場所に案内してほしいのよ。そう結晶ウィンドリンにね」


 フランがそう告げるとマイルーズは首に冷たさを感じた。

 いつの間にか魔人族の女性が、マイルーズの首筋にダガーを押し当てていた。


「…ことわったら?」


 マイルーズがフランを見つめ、問いただした。

 フランは瞳を細めこう告げた。


「そうねぇ、貴方と大事な副官ヒトが死ぬだけよ。私はそれでもいいけど…せっかくなら私としては有意義に事を進めたいのよねぇ」


 フランはマイルーズの視線を外すことなく告げた。

 マイルーズは瞳を閉じて天井を見上げた。


―――俺の力ではコイツ一人にも勝てる気がしねぇ―――


 首筋の魔鎌が少し進められた。


「いてぇ」


 チクリと首筋に小さな痛みが走った。

 フランは小さくため息を吐いて、マイルーズに告げた。


「はぁ…でっどうするの? 無言サイレント拒否ノーとして受け取るけど?」


 フランの瞳と唇が歪に歪んで見えた。

 マイルーズはフランを見つめ、冷静に自問自答した。


―――くっ… どうする… こんなとこで死ぬしかないのか―――

―――しかも、あんな上司ヤツの失態で―――

―――いやまてよ、今更奴に義理だてする理由なんてないしな―――


 マイルーズは、深いため息をつくとフランに告げた。


「フー。わかった。貴女の言う通りにしよう。それで相子チャラだ」


 マイルーズが上ずった声でフランに告げた。

 そう告げた瞬間に首筋のダガーは外れた。

 マイルーズは膝から地面崩れ手をついた。


「貴女の部下は優秀だな」


 マイルーズの首筋からは。冷や汗が大量に流れた。


―――この女たちは俺たちとは次元が違う―――


「貴方がお利口で助かるわ。ただ念のために言うけど…私をダマしたらわかっているわよねぇ」


 フランの瞳は細く歪んだまま、マイルーズを見つめ告げた。


「ふん、仕方ないさ。どっちにしても俺の場合は六家出身のバカ上司を守れてないってことで、神人国ウィルヘイムでは死刑だ。貴女達に協力して失敗しても結局は死刑だ。死ぬことに変わりないなら、俺は少しでも生きる確率を上げたいだけさ」


 マイルーズは本心を告げた。

 子供のころから魔人族は敵だと教えられてきた。

 その考えを今更変えられるわけではないが、この場所で肌で感じた事はそんな常識を覆すには十分だった。

―――コイツ等は強い。化け物みたいにな―――


「それに俺は実力主義なのでね」


「まぁ貴方の判断が正しいことを教えてあげるわ。目の前でね」


 フランが歩きながら告げた。

 倒れている部隊長ゲイトに近づくとフランは、平手打ちを繰りだした。


―――パパパン!―――


 乾いた音が響いた。


「なっふがっ……」

 目を見開いた部隊長ゲイトが口を開いた直後、フランは口を足で踏みつけた。


精神回復マインドヒール!」


 フランの足元に魔法陣が現れた、そして青い光が部隊長ゲイトに入り込んだ。

 部隊長ゲイトの瞳から光が消え、そしてフランを押し倒すように急に起き上がった。

 膝を折り曲げ、フランにのしかかりながら告げた。


―――ゴチン!―――


「ぎゃぁ! いったぁぁぁ!!」


 地面に頭を打ち付けたフランは思わず叫んだ。

 魔人族の女性達に引きはがされた小太りの部隊長ゲイトは、鼻息荒く叫んだ。


「ブヒブヒィィ!! ああぁ我が女王よ、私にその御身脚でご命令をくださいませぇ!!」


 打ち付けた頭を押さえながらフランは、汚物をみるかのように冷たい瞳でみた。

 そして鼻息荒くブヒブヒ言ってる部隊長ゲイトをみつめながら思った。


「…あれ? なんで、こんなことになるのかな?」


 ゲイトは明らかに錯乱していた。

 もしくはただのドMな変態ヤロウになりさがった。


「はぁ、本当にだいじょうぶなんだろな?」


「ええ!ちょっと手違いでおかしくなっただけだからね!そんな軽蔑の目で見ないでね!?」


 マイルーズは、おかしくなった部隊長ゲイトを縄で括りつけるとフランを案内した。

 イゼルの最重要拠点。ダム湖の水門ウィンドリン結晶のある部屋へ。

次回の更新はひと月後の予定です。

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