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イゼル動乱 その4

インフルエンザで倒れていました。

まだ完全ではないですが、なんとか熱も引きました。

作品を待っていただいたかた本当にありがとうございます。

今後も作品は続けます

11月25日


すこしずつ修正しています


―――ドガァァン―――


 雷鳴と爆音が静寂の街に鳴り響いた。 

 

「行くよ! グラミス! ロシル! 魔槍マジックランス装備!」


「ロシル、前みたいにヘマはしないでよね!」


「グラミス五月蠅い!! 隊長!私達の力を見せつけるときです! 総員、魔法戦だ! 目視したら解き放つぞ! 街の破壊者には正義の鉄槌を下すのだ!!」


「オォォォ!」 


 騎士たちの雄たけびが響いた。

 ケイトの顔が緊張と不安の色を帯びていた。


「さて…これでどう出る? 破壊者バーバリアン


 街の正門ゲートを破壊した化け物たち。

 ケイトは心の中で葛藤していた。

―――自分たちの力が届く相手なのか……―――

 ケイトが自問自答しながらも邂逅の時は迫っていた。


「!」


 手綱を握るケイトの頬を風が撫でた。

 魔馬の鼓動と自らの鼓動が重なるようだった。


―――ダッダッダツ―――


 魔馬の足音が静寂に木霊した。

 そしてケイトは目撃した。

 赤い毛色の獣人の姿を


「赤い獣人………閃紅の獣騎士レッドウェアウォルフ……?」


 ケイトが少女時代に祖母から聞いた、お話を思い出した。

 ケイトにとってとても好きなお話だった。

―――閃赤の獣騎士の冒険譚―――


「はははっ……まさかね? よし!愚痴っても仕方ない、奴らに私たちの力見せつけよう!」


「ケイト様のおっしゃる通り、正義は我らにあり! あの不埒な者どもをとらえよ!」


「総員魔槍を構え、雷撃魔法展開!!」


 ロシルは騎士たちに号令を飛ばした。

 魔法師たちは赤い毛の獣人にむけて詠唱を始めた。

 

真極電撃テラヴォルド!!」


 魔法師たちの前に魔法陣が描かれた。


「ぬっ! この気配は……総員! 耐衝撃防御陣形!!」


「ハッ! マスター!!」


 その殺気とも言うべき気配を感じたミッタマイヤは魔人族の騎士たちを下がらせた。

 向けられた殺気を一身に浴びた後にミッタマイヤは大きく息を吐いた。


「はぁぁ……くかかか! 良いぞぉ! 血が滾るわ!!」


 そしてミッタマイヤもまた一つの策を講じた。


真滅電撃テラヴォルド!! 」


 魔槍を構えた魔法師たちがミッタマイヤ向けて無数の雷撃を放った。

 その光景を一人目の前で見つめるミッタマイヤは小さくつぶやいた。


「我をこの程度の雷撃で滅ぼせると、馬鹿にしておるのか?」


 そして小さな息を吐き一つの技を繰り出した。


「ヲルフガング流決闘術”亀硬術”」


 ミッタマイヤの身体に薄い赤い魔力が幾重にも折重なった。


 ヲルフガング流決闘術が一つ『亀硬術』 

 この技は己の魔力を身体に付加するための技であった。

 鍛えられた鋼のような肉体を持つミッタマイヤに薄い魔力の壁を複数展開する魔法との複合技術だ。


―――ガガガッ!ガガガガ!―――


 騎士たちの雷撃がミッタマイヤを貫いた。

 白煙を上げているミッタマイヤ。


「どうだ! これで生きていられる化け物など居るわ……け……がぁ!!!? 」


 クロスした腕の奥に赤く光るミッタマイヤの瞳は激しい怒気を孕んでいた。

 そしてゆっくりと腕が下ろされた。


「馬鹿な! あの雷撃をくらってなんで立っているんだ!?」


 ケイトは白煙を上げてゆっくりとこちらに向かい歩いてくるミッタマイヤを見つめた。


「赤き閃光の獣騎士は鋼鉄の肉体を持ってかの地平に進撃した…か……まさに閃紅の獣騎士の話どおりね…」


 それは昔、祖母から聞いた話に出てくる獣騎士たちの物語。

 神の使いとして描かれた赤と青の獣人が幾多の敵を屠り、時に破壊神として描かれる物語。

 ケイトは今この場に向かってきている獣人こそ、おとぎ話の主人公だと実感した。


「みんな、落ち着いて撤退を! グラミス、ロシル、中央まで退却を! 私はこの場に残り殿を務めます」


 ケイトはグラミスとロシルに向けてウインクをした。

 二人はケイトが何を言っているのか理解できなかった。


「なっ! ケイト様それはあまりにも無茶ではありませんか!? 」


「そうですよ、ケイト様も引きましょう 」


 しかし優秀な副官である二人はすぐにケイトの意図していることが理解できた。


「ふふふっ……ありがとうロシル。 でもたぶん誰かが残らないと逃げられないわ……あとを二人に任せます。 さぁ行って!! 早く!! 」


 二人はケイトも一緒に連れて生きたかったが、ケイトの覚悟を無下に出来なかった。

 


「ケイト様!ご武運を」


「必ず戻ってきてくださいね!約束ですよ?」


「わかったわ……」


 魔馬が宣戦を離脱したことを目視で確認したケイトは赤い獣人をみた。

 体からの白煙がまだ出ているミッタマイヤ。

 ケイトは思わずため息をついた。


「はぁ、副隊長って損な役割よねぇ……」


 ケイトは、ゆっりと歩いている赤い獣人を見つめ呟いた。


「……どうか、あの獣人が話の通じる相手でありますように……」



いつも読んでいただいてありがとうございます。

感想、ご意見、誤字脱字があれば報告お待ちしています。


次回更新は来週の金曜日の予定です

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