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スキル獲得

好きな言葉ってみなさんありますよね?


 愛子たちの行く手には、血の染まった長剣をもつ男がいた。

 目の前の人物は、口元をニィッと吊り上げた。

 その瞳二人は、殺気を感じた。


 愛子は自分の体が硬く、足元は震えているのを感じた。

 そして手に汗を握り、口の中が乾くのが分かった。

 愛子は手を強く握りながら、ルルカッタを見た。

 ルルカッタも震えていた。


 目の前の男が、二人を殺そうと迫ってくる。

 ルルカッタは手を離さず、愛子の強く握りしめていた。


 ―――ドンッ!―――


 ルドルフが恐怖に動けなくなっていたルルカッタと愛子を、肩で押しだして叫んだ。


「二人ともワシが、ヤツを相手するからその隙にいくんじゃ! 」


 そう叫んだルドルフは、手に剣を構え、呪文マジックスペルを唱えた。


「 ”雷撃ボルド” 」


 ルドルフが唱えると剣先に赤い魔法陣が現れた。

 そして魔法陣から稲妻が爆音とともに、一直線に男へむけて放たれた。


 目の前の男はそれを避けようともせず、剣を横薙ぎに払った。


 赤い稲妻は剣に導かれるように、払った方向に流れていった。

 ルドルフは険しい表情で、眼前の敵を見つめたままだった。

 

 目の前に立つ男の剣先が、ゆらりと揺れた。

 そして剣先をルドルフにむけ、言い放った。


「ふっ!この程度の魔法など効かぬ。暗き神の下僕に神聖な魔法を見せてやろう。”光撃ブレイ”」

 

 男の剣先に魔法陣が現れ、中から光が飛び出した。

 光はルドルフの左肩を貫いた。


 攻撃を受けたルドルフの肩から、赤い血が流れ出た。

 肩を手で抑えながら、ルドルフは倒れない様に剣を支えにして立ち告げた。


「ルル!巫女殿と一緒に逃げるんじゃ!おぬしらが死んでは元も子もないんじゃ!!」

 

 ルドルフが剣を左手に持ち直し、神人族の男性に向かって走り出した。


「 ”雷撃ボルド” 」


 ルドルフの魔法陣からは、先ほどと同じ赤い雷が放たれた。


魔法師ソーサラーなら、もっと考えて放つべきだな。轟音で素直にこちらに向かって来る魔法など、獣相手の威嚇にしか使えん。魔剣を持つ私の敵ではない」


 剣を横薙ぎに払い、男は告げた。


「それに私の光魔法には、貴様は勝てん。おとなしく死んだらどうだ」


 男はそう告げると長剣を構えルドルフに近づいた。

 そしてルドルフの剣に、自らの魔剣を力強く斬りつけた。


「そうは言うがの、こちらも意地があるんじゃよ。まだまだ尻の青い小僧には負けられん」


 ルドルフは息を整え、男の剣に対応した。男の魔剣が力なら、ルドルフはそれを流して対抗した。

 剛剣と柔剣。そして男は休む暇も与えず、容赦なく剣を振り下ろした。


―――ギィン―――


「神人族にしてはやるのぉ!……くやしいが、剣も上手いわい!!」


「私のスキルは魔剣師ソードスターだからな。そろそろ終わりにしてやろう!力を示せ”神食い”!さぁ無様に死ね!老いぼれ!!」


 男が”神食い”と叫ぶと、男の剣が光り輝いた。


「そうもいかんて!若造!」


 ルドルフは剣を構え、男に向かって斬り付けた。

 すると男はルドルフに向けて、光り輝く剣で横薙ぎに斬り返した。


「神鉄斬!」


「ぐうぅ!!」


 ルドルフの左腕が切り飛ばされた!!

 その隙を逃すまいと男は斬撃を繰り返した。


「なんのぉ!」


 迫りくる剣圧を逃すとルドルフは、男に斬りつけた。

 高速で斬りあう音が混じり、周りには高い金属音が響いた。


 剣を流していても防戦一方のルドルフは徐々に追い詰められていった。


「くやしいが、この老いた身ではまともな戦いにすらならんか。」


 ルドルフの剣と男の剣が、何十回と交差まじわった。

 体力、剣の技術では、明らかにルドルフが負けていた。

 そして男の横薙ぎの斬撃により、ルドルフが体勢を崩した。

 男はルドルフを蹴り飛ばした。


「ぐあっ!」


 ルドルフが壁まで吹き飛んだ。

 そして神人族の男は、ルルカッタと愛子を見てつぶやいた。


「ほう。アレが情報に合った貴様らの切り札か。では死んでもらおう。虫けらと共にけ。”光撃ブレイ”」


 男が剣先を愛子とルルカッタに向けた直後、魔法陣からまばゆい光があふれた。

 そして光は愛子たちに、襲い掛かってきた。

 愛子はルルカッタを護るよう、にギュっと抱きしめた。


 ――死んだ―――


 愛子はそう思った。

 直後ルドルフが壁から走り、愛子たちを突き飛ばした。


「ゴフッ!!」


 光に胸を貫かれたルドルフは、口元から血を吐き出し倒れた。

 息も絶え絶えで、口元からはヒューヒュー音が聞こえてくる。

 肺をやられたのか息も苦しそうに、血を吐きながら何か声をしぼりだしていた。


「……にげ……ろ……ルル………」


 手をルルカッタ達の方に向けたルドルフはさらに続けてつぶやいた。


「…巫女……どの……頼む……ルルを……たす…け…く……れ……」


 そうつぶやくとルドルフの手は力が抜けて地面におちた。


「はっ貴様らが他者の心配など虫唾が走るわ。むしけらごときが! 」


 男はルドルフの胸に、魔剣を突き刺した。

 そして絶命したか確認すると、興味なさげにルドルフの身体を蹴り飛ばした。

 男は血塗られた魔剣を右手にもち、愛子たちに向かってゆっくりと近づいてきた。


「神の偉大なる裁きにて、貴様ら魔人族は死ね。これは運命だ。命ごいは無意味だ。潔く滅せよ」


 そういうと男は、剣先をこちらに向け歩みを速めた。

 死の刻限が迫ってきた。

 震える膝をルルカッタは、抑えながら男を睨み告げた。


「僕はまだ、死ぬわけにはいかないんだ。どうかアビス様、我らをお救いください」


 男はルルカッタに向けて、言い放った。


「はははっ。情報では第三皇子は、たしか司祭だったか。司祭らしい他人頼み、神頼みだな。では先ほどの老いぼれと、同じように滅するが良い!」


 魔剣を向けた男が一人歩き始めた。

 ルルカッタは思った。

 奇跡は願ってもかなわない。だから奇跡なのだ。

 彼自身ルルカッタはそのことをよくわかっていたはずだった。

 それでも願わずにはいられなかった。


 愛子はルルカッタが、震えているのを感じた。

 愛子は握っていた手を振りほどき深呼吸をすると、ルルカッタの前に立ちふさがった、。

 男は面白そうに言った。


「ほう、娘!殺される覚悟はできているという事か。」


 愛子の脚は震えていた。

 死が目前に迫っていた、それでも愛子は力強く告げた。


「私は”看護師ナース”だから!」


 胸に有る想いのままに愛子は、さらに声を大きく叫んだ。

 

「私は!約束したの!ルルカッタを助けると!ルドルフさんと約束したんだ!!」


 愛子の心にある想い。自分は看護師だと!

 例え自分の身を危険にさらしても、護るべき者の為に戦う!

 それが看護師である自分ができる事だと!。

 そう想った直後、愛子の胸元のステータスプレートが淡く光り始めた。


「いいだろう。二人仲良く死ぬがいい。”光撃ブレイ”」


 男がそう告げた。

 魔剣に魔法陣が浮かび、光が愛子に向ってきた。


「私は!ぜったい!護るんだ!!」


 周りに聞こえるくらい大きな声で、愛子が叫んだ。

 すると首にかけたステータスプレートが、まぶしく光り輝いた。

 そしてステータスプレートに、新たなスキルが書き込まれた。


  スキル 看護師。

 固有魔法 深淵の魔眼’完視ヴィジョン

      深淵の守護’絶躰ゼアペス

   技能 ’闇連脚シャドック

 重力魔法 ’圧縮バアル

エクストラ ’深淵の狂気’



―――キィィィン―――


 愛子のステータスプレートは、光り輝いた。

 そして一瞬甲高い電子音みたいな音が響いた。

 それを愛子が聞いた瞬間、男の魔法陣から放たれた眩いばかりの光が愛子を襲った。


 やられた! 私、死んだかも!やっぱりゲームみたいに、いかないかぁ!! 

 そう思い死の覚悟をした瞬間、愛子の体は薄紫色の光に包まれていた。


―――キィイン―――


「えっ!うそ死んでない! 」


 男の放った光は愛子に当たった直後、紫色の光に弾かれ消失した。

 無傷の愛子が、そこにいた。

 

「馬鹿な!なぜだ!そんなこと、ありえない」 

 

 男からは、驚愕の声があがった。

 愛子自身も驚いていた。


「ならば、我が”神食い”の餌食になれ!」


 男は魔法が、聞かないと分かると魔剣を構え斬り付けた

 愛子は両腕を交差しながら、魔剣をその身体で受けた。


「斬られる!! 」


―――キィン!―――


 男の剣が、愛子の腕に弾かれた。

 まるで硬質な金属が、ぶつかり合うような音をたてて。


「ばかな!ばかな!そんなばかなことがあるか!!」


 男は剣を愛子にがむしゃらに斬り付けた!


―――ギィン、ギィン、ギィイン―――


 愛子の身体に当たる直前、魔剣は弾かれた。

 魔剣も魔法も聞かないことがわかった愛子は、男に向かって走り出した。


「私が、託されたんだ!」


 愛子が叫ぶと、体の周りの紫色の光は強くなった。


「はあぁぁ!!」


 そして愛子は男に向けて蹴り付けた。


―――ドゴォオン―――


「ガハァッ!」


 男は壁まで吹き飛んだ。

 愛子は、趣味キックボクシングの"師匠コーチ"の言葉を思い出した。


「いいですか!愛子さん、リングに上がったら目の前の者は敵です!敵を倒すための秘策を、教えましょう」


 愛子は、この"師匠コーチ"が少し苦手だった。

 特に師匠コーチとのレッスンで、相手をしてもらったときのことだった。

 教えられた言葉と表情は、愛子の脳裏から離れることはなかった。

 師匠コーチはにっこりと満面の笑みで、愛子に近づきながら告げた。


索敵サーチ & 滅殺デストロイです。」


 師匠コーチは笑顔で告げた。めっちゃ!怖かったなぁ。 

 そして師匠コーチは告げた。


「技に悩むくらいなら、とにかく蹴りなさい!」


 愛子は思い出しながら、男に向かって走った。


「くるな!化け物!」


 壁に打ち付けられた男が、立ち上がり愛子に素早く剣を振り下ろした。


「神鉄斬!!」


 愛子は左腕でガードした。


―――キィイン―――


 剣は先ほどと同じように愛子の身体にぶつかる前に、高い金属音を奏で弾かれた。

 その瞬間を見逃さず愛子は、男の腹を蹴り飛ばした。


―――ギィン――ドガァン!―――


 男のメタルプレートに愛子の蹴りが当たった。

 金属がぶつかる音があたりに響いた。さらに畳みかけるように愛子は蹴りを繰り出した。


 男のバランスが崩れた瞬間を愛子は見逃さなかった。


「ぐぅ!やられるかぁ!!」


 男は悔し気に叫んだ。

 愛子は男を、全力で蹴り飛ばした。

 それを受けた男は、壁に打ち付けられた。


「ぐはぁあぁ!」


 男は鈍い痛みを感じ、壁にぶつかると床にずり落ちた

 顔を上げ立ち上がろうとするが男の脚は、痙攣して立ち上がることができなかった。


「うがあぁぁ!」


 男が大声で威嚇した。

 このチャンスを逃さず愛子は、ひたすら倒れた相手を蹴り倒した。

 主に顔を!


 大事なので、もう一度伝えます。


 愛子は顔を、重点的に狙った!

 心なしか愛子の顔が、紅潮し熱を浴びだしているように感じられた。

 それを見ているルルカッタは思った


「アイコ様、やりすぎなのでは」


 その声に気が付くことなく男が、動かなくなるまで蹴り続けた。

 男が動かなくなったことを確認した所で愛子の蹴りは止まった。

 そしてルルカッタの方を見ると笑顔で言い放った。


 「 滅殺デストロイ! 」


 笑顔で師匠コーチと、同じセリフを言い放った愛子。

 ルルカッタは少し後ずさりした。

 愛子はそんな空気を無視して、ルルカッタの元まで歩き抱きしめた。


 そして告げた、想いを。


 「私は、ルルカッタを守るね。ルルカッタを託された人間として」


 その言葉は、ルルカッタの心に響いた。

 先ほどまで心を占めていた、恐怖感が薄れていくのを感じた。

 そして笑顔で愛子に答えた。

 

 「はい。アイコ様」


 愛子は、ルルカッタの手を取り告げた。


 「さぁ、ルルカッタ君、逃げるわよ!」


 愛子たちは、走り出した。

 倒した男を踏みつけた愛子達は、ヴィスタ城から逃げ出した。

 

 


一応これで、愛子とルルカッタの出会い編は終わりです。これから少しずつこの世界のことを書いていきます。あとこれから愛子の服装はどうしようか悩み中です。次回は来週の火曜日までに仕上げたいと思います。

9月28日

少し構想を練り直して加筆しています。

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