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ダンジョン攻略 その15

話は少し戻ります。


10月23日 修正しています。


話は、ルルカッタ達に出会う直前にさかのぼる。

ダンジョンに戻って通路の先にある大きな扉を愛子は開けた。


―――キィィ―――


「また通路かぁ」


扉の向こう側には、新たな通路が広がっていた。


愛子が新たな通路に一歩踏み入れた。


「キィィ!!」


とある魔物が愛子に襲い掛かった。


「はぁはぁはぁ……もう!なんの!あれは、グリフォンじゃん! 絶対にグリフォンだよ! 」


 鷲頭の四足の獣。

 羽は鷲のようだった。


「ヒイィィィギィィ」


 その獣は鳴き声を愛子に向けた


「うっ! あっ頭が!!」


 その高音ボイスと空気の振動が愛子を襲った。

 魔物の鷲咆哮グリフォックロアーが放たれた。


「ギィィィ!」

「くっそぉぉ!」


 愛子は、後ろに引いた。

 そしてウィップを持ち直し魔物を睨んだ。


「こんなことになるなんて……」


 愛子は、愚痴った。

 その時、頭に声が響いた。


―――バーウルフ! 打撃に弱い!!―――


「へっ」


 愛子は思わず振り返ったが、そこには誰もいない。

 急に頭の中に聞こえた言葉

 そしてつぶやいた。


「私、幻聴聞こえるようになったのね……」


 さらに頭の声は告げた。


―――右から突進がきます!上段蹴りをしてください!―――


 さながらAIの指示のように告げる声

 

「こう?」


 愛子は左足を軸足に右足でハイキックをかました。


―――シャキ!―――


 そう、ただの蹴り(ハイキック)をかましたはずだった……

 右足を上げた瞬間、義足のふくらはぎが真ん中で縦に割れた。


「えっ!ええええっ!!」


 排熱機構を有するスラスターが出現した。

 スラスターから噴射される熱気を帯びた突風。

 それは愛子の蹴りを加速させた。


―――ギュン! ザシュ!―――


 そしてその加速された蹴りはバーウルフに当たった。

 バーウルフは真っ二つになった。

 

「ははっ……本当、なによ。これ……私はロボットか!?」


 どこか現実感が消失した愛子は力無くつぶやいた。


「また復活されたら厄介だから、結晶石取らないとね」


 そして真っ二つになったバーウルフから結晶石を取り出した直後!


―――グニャリ―――


「フシュルゥ………」


 二体目の魔物が天井から落ちてきた。


「たっ……たこさん?」


 天井から落ちてきたのは1mくらいの赤い軟体生物。


「これは! 間違いなくタコさん!」


 ただ違うのは足の数。

 足の数が20本あった。


「「「「「フシュルゥ!フシュルゥ!」」」」

 

 それは五体現れた。


―――オークトパ。焼くと美味しい―――


 愛子の頭に声が響いた。


「ああっもう! 本当に何なのよ! 確かに美味しいわよねぇ!」

 

 愛子はそう叫んだ。


―――コムーギと一緒に円形に焼くとさらに美味しい!―――


「タコパかぁ?これはタコパをしろってことかぁ!?」


 愛子の口から涎が垂れた。

 それを見たオークトパが下がった。


「フシュルゥ?フシュフシュルゥゥ!?」


 愛子が溜めを作り回し蹴りを放った。

 ふくらはぎが先ほど同じように開きスラスターが展開された。

 

―――カシャン!ゴォォォ!!―――


 しかし相手は吸盤と軟体を持つ魔物。

 愛子の蹴りは目の前の一体を上下に切り裂いた所で止められてしまった。


「だめか! 」


 蹴り上げた左足を引き戻した。


「それなら踵落としで!!」


―――ガシャン! フィィィン!!―――


 その時再度スラスタ―が現れた。

 ただし足底から!

 踵の前で高熱の刃が現れた。


「うっそぉん!? こんな機能もあるのぉ!? マキナァ……この脚は何なのよ!? 」


 空に笑顔でサムズアップしたエクスナキナが愛子には見えた。

 いい笑顔だった。


―――ジュゥゥゥ!―――


「「「「フシュフシュルゥゥ!?」」」」


 残りのオークトパは、愛子の義足から繰り出された高熱の蹴りで分断されながら焼けた。

 あたり一帯に香ばしい良い匂いが漂った。


「腹が立つほどおいしそうな香りね」

 

 愛子は焼けたオークトパから結晶石をとりだした。


「少し…少しだけ」


―――ガブッ!モグモグモグ…ゴクン!―――


「おっ…美味しい!!」


 愛子は叫んだ。美味しかった。

 塩味の効いたほど良い弾力を感じる食感は噛みしれば噛み締めるほどに旨味を感じた。

 愛子はオークトパの脚を切ると、ウエストバッグに7本ほど入れた。


「うふふ。これはタコパをしなくちゃね」


 そして通路を再度歩きはじめた。

 すると懐かしい声が突如聞こえた。


「アイコ様ぁ!!」


 愛子は耳には懐かしい男の子の声が聞こえたような気がした。


「ふふふ。まさかね…」

「アイコ様!!」



 大きく聞こえたその声!

 誰よりも優しく、この世界に招かれたときに自分を気遣ってくれた魔人族の少年。

 愛子は振り返った。


「アイコ様!!」


 そこにいるであろう魔人族の少年をさがした。


「えっ!?」

 

 だが……そこにいたのは高校生くらい少女。

 しかも同じ顔が二人。

 後ろには獣人の男性二人。


「あなた達……一体だれぇーーーー!?」


 愛子は力の限り叫んだ。

 きこえてきた声はたしかにルルカッタであった。

 だがそこに居たのは、同じ顔の魔人族の少女。

 しかも二人絵がで、こっちにむかってくる。


「あ…アイコ様!?」


 肩まで伸びた髪が走る動き合わせてに左右に揺れていた。

 愛子が驚愕の表情をしている間に、ルルカッタは勢いのまま愛子に近づいた。

 そして告げた。


「はぁはぁ。 あっアイコ様……逢いたかったですぅ! 」


 愛子はルルカッタを受け止めきれず押し倒された。


―――ゴチィィン!!―――


「あいたぁ!」


 地面に頭をぶつけた愛子は衝撃で目に星が散った。

 その衝撃は愛子の意識を急激に現実に戻した。

 そして見ると抱きついたまま涙を流す髪の長い少女? が居た。


「あいたたた…ちょっと! えっl? もしかしてルル君?」


 恐る恐る愛子は涙を流すその少女? に聞いてみた。


「はい!ルルカッタです! アイコ様、逢いたかったです」


 涙を右の指で拭う仕草は完全に女子である。

 愛子はその姿に、仕草に驚愕した、そして叫んだ


「えええええ! ルル君が女の子、いや男の娘になってるぅ!?」


「えっ!?違いますぅ!!」


 全力で男の娘疑惑を否定するルルカッタ。


自分ルルカッタ、何してんの?」


 そのやり取りを近くで聞いていたルイカwith獣人たちはつぶやいた。


「弟よ…このご婦人は?」


 ミッタマイヤ、確認した。


「はい! ぼくといっしょにダンジョン攻略をしているアイコ様です」


 3人はこの女性こそ、ルルカッタの逢いたかった人であることを確信した。

 ということだった。

 そして三人は理解したのだった…この現状を。 

 

「あっどうも…って!ルルクン? 誰?この人達はぁ!?」


 ルルカッタは愛子に話した。

 愛子と別れてから起きたことを…

 

「えっと、ルル君? すこし整理させてね」


「はい! アイコ様」


 ルルカッタは笑顔で答えた。


「ダンジョンで私と別れたあとに敵に殺されそうになって、木箱から拾った年代不明の魔力回復薬をのんだら、魔法力マナが増えて、さらに髪がのびて成長したと……」


「はい……そうです!」


 そう告げると立ち上がってくるりと回転して体を愛子に見せた。

 肩まである銀髪が動きあわせてふわっと遅れて動いていた。

 確かに身長と髪が伸びていた。


「それで、敵を倒すと別の世界に転移させられて、そこにいるルイカちゃんや獣人の人たちと過ごしたと……」


「その通りだ、ルルカッタの母君よ」


「うむ! ミッタマイヤの言う通りです。ルルカッタの母君」


 獣人の二人組が腕を組み、大きくうなずいた。


「そして……その後にまたこのダンジョンに転移したのね……そこの三人と一緒に?」

「はい。 そうです。 母上様」


 笑顔で愛子に返答しているルイカ。

 さすが王族である魅力的なスマイルを愛子に向けていた。


「それで…一つ聞いていいかしら?」


 愛子は口がヒクヒクしながらロイエルに聞いた。


「なんでさっきから、母とよばれているのかしらぁ?」


「それはルルカッタから貴女が、母のように慈しみにあふれた人だと言っていたからだ。 おそらく貴女はルルカッタの義理の母上なのだろ?」


「ふぅ…オーケイ……わかった…よーくわかったわ……」


 愛子は深呼吸をするとロイエルに向かって大きな声で叫んだ。


「私は独身だぁ!!」


 そしてロイエルに愛子は告げた。


「いい? 私は独身! シングル! オーケェイ? たしかに! たしかにね、ルル君を護ると決めたよ? でも彼の母親では無いぃ!!」


「「「わ… わかった(わ)……」」」


 三人は愛子が母親では無いということを理解した。

 そして愛子はルルカッタを抱きしめるとこう言った。


「それでルル君!? なんで、男の娘になったの!?」


「アイコ様!? 僕の話をちゃんときいてますぅ!? 」


 愛子は明らかに容姿の変化したルルカッタみて動揺していた。

 

「まさかルル君が心に深い闇を抱えていたなんて…看護師としてわかってあげられなくてごめんね」


 「それにいままで言えなかったのね? 心の性と体の性が不一致ってことを!! でも安心して。 性別不適合なんてよく起こりえることだからね」


 愛子はルルカッタが性同一性障害だと勘違いした。

 いままで言えなかっただけど、心の中は女性だった。

 ダンジョンという場所で一人になったことで本来の姿を現したと…

 そう女装を始めたのだと盛大に勘違いした。


「私は、看護師として理解あるからね。 たとえルル君がMTFであっても受け入れるわ! それに私は男の娘って理解あるからね? 安心してね」


 愛子は別に男の娘や男装の女性が嫌いではない。

 それを言うと、明らかな差別だという考えが愛子の中にはある。


「私の病院でもMTFやFTMの人はいたからね。 異世界でもちゃんと理解できるわ!」


 胸を張って愛子はルルカッタに告げた。


「だからね。これからは私に言ってね? ちゃんと性別適合手術まで持って行ってあげるからね」


 愛子がルルカッタの両肩をバシバシ叩きながら涙ながらに伝えた。

 ルルカッタは固まっていた。

 そしてルルカッタは問いただした……


「ねぇ…アイコ様……本当に理解してます!?」


 ルルカッタは再度、泣きそうな顔で訴えた。


「ええ!もちろんよぉ!!」


「絶対勘違いしてるぅ!!」

 

 ルルカッタは叫んだ。 


「僕は、男です。お・と・こ!」


 そして女装疑惑並びに性別不適合疑惑を完全に否定した。


「いいのよ。ルル君。本当のあなたでいいのよ」


 愛子は混乱したままだった。

 そして、ルルカッタは思った。

 もともと着ていズボンが成長した体に合わずショートパンツになっただけ。

 しかも上のシャツも腹部がさらけ出されているだけで別に女装をしているわけではなかった。

 それでも女子と間違うのはその童顔と体格のせいであることはルルカッタ自身理解していた。


―――ああぁ父様ぁ! なんで僕はここまで童顔で華奢な体なんですかぁ!?―――


 思わずルルカッタは心で亡くなった父を思い返した。

 なぜかサムズアップしている姿が浮かび殺意が沸いた。

 ああ父様にげてぇ! 全力でそこからにげてぇ!!


 そしてそのやり取りを聞いていたルイカが唐突に愛子の脚を見て声をかけた。


「なぁ、あんたのそれ、もしかして機人のエクス・マキナ様の脚ちゃうの?」


 愛子の義足を指さしそう告げた。

 ルルカッタは涙目でその脚をみた。

 金属的な光沢を放つメタリックの脚。

 そして自分と別れた時と明らかに違う劣情を喚起するその服装。

 それをみたルルカッタはひとつの考えに行きついた。


「アイコ様! 僕がいないからってそんな露出癖全開の服装をしなくても……さびしいなら僕がいくらでも慰み者になりますからぁ!? 」


「ちょっ! ルル君、今慰み者って言った? それに露出癖? ちがっ―――」


「アイコ様! もとのあの可愛く優しい愛子さんにもどってぇ! 」


「だから、ちが――― 」 


―――ゴチィン!―――


 愛子はまた抱きしめられた。そしてまた押し倒された。


「あいたぁ!?」


 再度、目に飛び散る星たち。

 愛子は頭をさすりながら体を起こしてルルカッタの頭を軽くこずいた。


―――ポカッ!―――


 そんな音がする感じで頭をたたかれたルルカッタは我に戻った。


「ちょっとルル君? 落ち着いてね? ね? 」


「はい……」


 そして愛子は話を始めた。

 ルルカッタと別れた後にわが身に降りかかった暴力と凌辱のすべてを 

いつも読んでくださりありがとうございます。

感想、ご意見、誤字脱字があれば報告お待ちしています。


やっと愛子たちは出会えました。

次回更新は金曜日18時までにしたいと思います。

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