ダンジョン攻略 その14
修正しています。
―――ゴトッ!―――
「中身に手紙が……これは!」
木箱の手紙は茶色く変色していた。
中身は…
『はーい! よくこのオーガ倒せたね? こいつそこそこ強いはずだったんだけどー? ところでオーガと掛けて嫉妬に狂った女性と説きます。 その心は? どちらも鬼の形相でーす。オーガなだけに!』
手紙をにぎるルルカッタの手が小刻みに震えた。
「ほう…この手紙は…いささか…」
「はぁ!? なんやの手紙(これ!) 腹たつぅ!!」
「……イラっとくるものがあるな……」
手紙の内容に姫様と二人の獣人も怒りが沸いたらしい。
『オーガを倒したことは本当にほめたげるよ。そこでそんな君には素敵な贈り物をプレゼントだ! イエェーイw』
そこまで読むと木箱から音がした。
―――ゴトン!ゴトン!―――
「なんやろか? こっ…これは!」
姫様が木箱を覗いた。
そこには、見慣れない杖があった。
「やーん! かわいいやつやん!! 杖!」
二つの杖があった。
一つは柄がピンクで先端には鳥の羽をあしらった飾りと丸い宝玉が付いた物。
もう一つは柄が淡いブルーで先端は同様に鳥の羽をあしらった飾りとマルイ宝玉が付いた物。
まるで魔法少女が持つ例のあれの如くな存在だ。
杖には同じような古い手紙が付いていた。
『この杖は神代の魔法使いが使っていたものだよ。そんな素敵アイテムを君にプレゼントだ…ただし』
「……ただし?」
『詳しくは使ってみてからのお楽しみだw』
「ふふふっ……相変わらず、この手紙の主はふざけてますねぇ……!」
ルルカッタの眉間に縦皺が刻まれていた。
そんな様子を知ってか知らずか、ルイカがその杖を取り出し眺めた。
「ほぉ…これ中々ええやつやな。 魔法力も結構な貯留れるみたいやしな。 せやルルカッタ! あんた魔法使いやろ? これ一つはあんたがもちいぃ、もう一つは私がつこうたるわ! 私も魔法使いとしての戦えるしな!」
そういうとピンク杖の柄をもち構えるルイカ。
ワンピース姿でヒラヒラと風に舞うミニスカートが可愛らしい。
その姿は、愛子が見ればおそらくこういう感想を持つだろう
―――魔法少女がそこにいる―――と
ルルカッタは聞いた。
「ルイカ様は魔法師だったんですか? 」
ルルカッタはルイカのことを魔人族の姫でお転婆で脱走癖があることしか知らなかった。
そんなルルカッタにルイカは答えた。
「せやで、私は魔法使いや。こっちで言う魔法師とは少し違うけどな」
ルイカが、どや顔でルルカッタに告げた。
「ルルカッタよ。姫様は、あのように言うが…」
「はっきり言っておくぞ。姫様は’煉獄の悪魔’という呼び名があるくらいの魔法使いだ」
二人の獣人は、顔をヒクつかせながらルルカッタに伝えた。
「知らんかったんか? これでも父様に直接教えてもらったから……結構いい腕なんやでぇ」
杖を右手に握りった姫は、ルルカッタに言った。
「昔な……姫様は魔法を使って山を消滅させたくらいだからな」
「それに魔物大発生があった時に、高笑いを上げて嬉々として魔物を蹂躙し駆け回っていたくらいだ」
さりげなく恐ろしいことをいうミッタマイヤwithロイエルの獣人コンビ。
そんな歩く武器庫みたいな存在が目の前に居た。
ルルカッタは盛大に顔が引きつった。
「ほな! 行こうか? ルルカッタ」
ルイカが先頭を歩きながら、ルルカッタとミッタマイヤwithロイエルは奥の通路を歩き始めた。
「この通路は周りに光石をしいているのだな」
「わかるのか! ロイエル?」
「うむ、昔な機人族の知りありに教えてもらったことがある。 曰く、光石という特別な石があり、それは一見すると普通の石だが、魔法力を通すと光る物だと」
「ということは、この遺跡は魔法力が覆っているということか」
「そうだ。ミッタマイヤ」
そんな話をしながら4人は歩いていた。
通路を進むと奥にさらに広い空間があった。
「ここは、先ほどの場所よりも広いですね」
「そうだな。 こんな空間があるということは……また何か出てくると考える方が妥当だな」
ロイエルは拳を握りしめた。
「次出てきたら、私がかるぅく、しばいたるわ! 」
ルイカが杖をビシッと構えた。
「姫様、そういうことはあまり声にしない方がいいですよ」
ケラケラ笑うルイカ。
その瞳には闘争に対する渇望が浮き出ていた。
「言霊ということもあるのだぞ。姫様」
ミッタマイヤがやれやれという表情で伝えた。
「はぁ、もうフラグが立ったようなものですよ」
そうルルカッタが告げると、目の前で魔法力が凝縮された。
「っ魔法陣! 来ます!!」
ルルカッタが告げた。
大きさは2メートルくらいの異形は、ルイカの平常心をぶん投げさせた。
―――カサカサッーーー
その黒光りする生き物は最も恐怖すべき生き物。
現れた魔虫の大きさは、ルイカの予想をはるかに上回った。
そして理性に戦いを挑む敵だった。
そう”G”である。
「イイイイヤァァァァァァァァァ!」
顔面蒼白になり絶叫するルイカ。
おもむろにステッキを眼前の巨大生物に向けた。
「消す! 地上から消してやるわ!!」
カサカサ動き始めるG。その動きは嫌悪感を催すものだった。
ルイカがステッキを構えてGに敵対する。
そのステッキにピンク色の魔法力が蓄えられた。
「重爆魔法’極獄炎龍’」
ステッキの先端の宝玉が輝き魔法陣が現れた。
そして魔法陣から火炎の龍が敵に向かって放たれた。
「燃やす! 徹底的に! やつに地獄を思い知らせてやるでぇ!!」
ステッキを向けられた敵は高温の火炎を体に受けた。
さらにルイカが唱えた。
「極獄炎龍’(ジオヴェノス)!極獄炎龍’(ジオヴェノス)!極獄炎龍ゥ’(ジオヴェノス)!」
さらに三匹の火炎龍が燃え盛るGに放たれた。
―――ヴォォォォォ!―――
ホールの天井まで届きそうな火炎がGにみまわれた。
魔法が消えた後には黒い煤以外に何も残らなかった。
「……兄様……煉獄の悪魔の意味わかりました……」
「「……だろ。」」
ルルカッタと二人の獣人は顔を見合わせてつぶやいた。
「私をなめるなぁ!!」
黒い煤が付いた地面に向かってルイカが叫んでいた。
そして、さらに地面に魔法陣が10個現れた。
―――カサカサ―――
「ひぃぃ! ’極獄炎龍’’極獄炎龍’(ジオヴェノス)’’極獄炎龍’(ジオヴェノス)’’極獄炎龍’(ジオヴェノス)’’極獄炎龍’(ジオヴェノス)’’極獄炎龍’(ジオヴェノス)’’極獄炎龍’(ジオヴェノス)’’極獄炎龍’(ジオヴェノス)’’極獄炎龍’(ジオヴェノス)!」
ルイカが魔法をさらに放った。
9匹のGが燃えつくされた。
「んでぇ最後や!!’極獄炎龍ゥゥゥゥ’!」
極太の火炎龍がGに放たれた。
これまでで一番の火柱が上がった。
「はぁはぁ! どや! これが私の真の力やでぇ!」
ルイカが放った魔法でGを完膚なきまでに燃やしつくされた。
そして広場の反対側にさらに光る通路が現れた。
「さぁこんなところに長い無用や!いくでぇ」
ルイカが3人に向けて叫んだ!
「さあ! ハリー!ハリー!ハリィー!!」
3人は通路をすすんだ。
そして奥に動く人影を見た。
「あっ!あれは!!」
それは、遠く離れていても彼にはすぐにわかった。
歩きに合わせて揺れ動く髪、自分より高い身長であるが、スタイルの良い身体。
なにより、その手にもつロングウィップはダンジョンで自分を何度も救ってくれた。
「あの姿は!」
「あっ!まて、ルルカッタ!」
ルルカッタは、足早に歩みを進めた。
腕に光る腕輪型伝達魔法具が、その人を裏付けた。
ルルカッタが、逢いたくて仕方なかった人物がそこにいた。
「アイコ様ぁ! 僕です! ルルカッタです! 」
ルルカッタは叫んだ。
絶対に相手に届くように持てる力を籠め声を張り上げた。
「えっ! この声は!!」
目の前の人物は、ルルカッタの方へ振り返った。
「ちょ!ルルカッタ、まちぃや」
「弟よどうしたのだ?」
走り出すルルカッタ。
それにつられて一緒に走り出すルイカと獣人二人組。
その後、思い焦がれたその声から届いたものは意外な返答だった!
「えっ! だれぇ!?」
そうルルカッタは忘れていた。
自分の姿が分かれた後に変わっていることを……
「へっ?アイコ様?」
しかも自分とうり二つの美少女と獣人が増えてることも……
いつも読んでくださりありがとうございます。
感想、ご意見、誤字脱字があれば報告お待ちしています。
やっと愛子と再会できました。
ここから二人と三人がこのダンジョン攻略に向けて動き出します。
次回更新は金曜日18時までに行いたいと思います。