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抗体 その17

あと少しで竜人国編が終わります。


「……まさか、我が竜鱗を破るとはな……」


 私の枝垂桜オロチを受けたラムランドは倒れた。

 腕や胸からは赤い血が流れていた。


「はぁ…はぁ…はぁ…ギリギリだったわ。 あと貴方には聞きたいことがあるわ! 魔人族の少年を知っているでしょ!!」


「あぁ、厄災カラミティか……そいつならレイと同じように封印に閉じ込めた……厄災カラミティの知識があれば、私の魔法生物は更なる進化が……」


 ラムランドは力なく呟くように告げた。

 私はそんなラムランドに苛立ちながら問いただした。


「そんなことはどうでもいい!! 少年を! ルルカッタを解放する方法を教えなさい!!」


「くくく。 よほど厄災カラミティに執着があるようだな。 良いだろう。 この部屋にあるあの黒い次元結晶に我を認証させれば封印は解ける」

 

 ラムランドは横たわりながら右手で黒い巨大な結晶体を指さして告げた。


「なら、認証の方法を教えなさい!!」


「くははは。 それはお断りだ。」


 ラムランドは笑いながら告げた


「なぜ!?」


「ソレはな……」


「こういうことですよ!」


 ラムランドの声に重なるように若い男の声が響いた。

 そして鈍い金属の光が輝きラムランドを切り裂いた。


ーーーキィィン! ザシュ!!ーーー


 ラムランドの体がバラバラに切り刻まれ、流れ出た血が黒い結晶に触れた。

 直後、黒い結晶体は光り輝いた。


「ラムランド!! 貴方は!?」



「ふぅ……私たちのオリジナルだからこそ生かしていましたが、わが主人の計画に害をなすというのは到底、看過できませんよ」


 若い竜人はローブを脱ぎ素顔を見せた。

 その顔は、まるでラムランドを若くしたように見えた。


「貴方は……ラムランド?」


「ええ。 私は確かにラムランドです。 まぁ簡単に言えば、そこの男の複製体ですよ。 最初のね」


 私は整った顔のラムランドに向けて訪ねた。


「なぜ……」


「なんですか? 検体テスター?」


「なぜ、殺したの!? 貴方を作り出した人なんでしょ!? なぜに」


 ラムランドは、気だるそうに大きなため息を吐いて答えた。


「はぁ…先ほども言いましたけど……わが主人の計画を邪魔するからですよ。 そう我が主人グラマナスのね。」


「! グラマナス…ということは……」


 私はラムランドの言葉に引っかかった。

 そう彼はグラマナスを主人と言ったのだ。

 と言うことは……


「申し遅れました。私はラムランド・ワン。 気軽にワンとお呼びください。 検体テスター


「ラムランド・ワン…」


 片腕を曲げ軽く会釈したラムランドは告げた。


「あと感謝してほしいですね。 何せ封印解除の為の認証……血の認証を行なったのですから。」


ーーーーキィィンーーーー


 先ほどから輝いていた結晶体が一際大きな音を立てた。

 そしてさらに結晶体が鈍く輝き、黒い鉱石で出来た扉が現れた。


ーーーギィィィーーー


 黒い扉が開き中が見えた。

 扉の中は黒い霧に覆われていた。

 そして黒い霧の奥は先が見えなかった。


「あの中を行けば厄災カラミティを救うこともできるでしょう…最も無事ならですがね」


 ラムランドは扉を指さして告げた。

 私は魔剣アヴァリーティアを鞘に仕舞い、ラムランドに訪ねた。 


「貴方は敵なの? 味方なの?」


「そうですねぇ……あえて言うならば貴女達の敵ですよ」


 ラムランドは意なことを聞くと言った表情で私を見つめ答えた。

 私はさらに訪ねた。

 そう……とても大事なことを。


「ならなぜ、私たちを助けるようなことを?」


 ラムランドは私の瞳を見つめ意外なことを告げた。

 ラムランドの答えは私の想定外だった。


「これはこれは…私は主人グラマナスの為になることしかしていないですよ。 オリジナルを屠ったのは狂人を始末する機会と思ったからですよ。 何せ、自らが殺した男の幻影をいつまでも追い続けるようで役に立ちませんからね」


 ラムランドは肉塊とかしたオリジナルを一瞥すると軽いステップで私と距離をとった。

 そして指を鳴らした。


「では私はこれで失礼しますよ。 目的は果たしたのでね……次に会い見えるのはおそらく戦場ですね」


 直後、みんなと戦っていた複製達が苦しそうなうめき声を上げた。

 そしてうめき声と共にひとつの魔法を唱えた。


爆裂エクスプロード


ーーードォォンーーー


 十体以上の複製体は爆裂魔法を告げて弾け飛んだ。

 その場所には血飛沫と共に煙幕が広がった。


「では…検体テスターまた。 転移パルバラ!」


 ワンは、転移魔法を唱えて消えた。

 煙幕が晴れたときにはワンの姿はなく、そこには黒い扉が開いているだけだった。


「ワンは逃げたか……それよりも、ルルくんを連れ帰らなきゃ!」


 私は黒い扉に向けて走り出した。

 そのとき急に白い腕が伸びて服を引っ張る感覚と共にトゥエルブの声が響いた。


「ちょいとお待ちくださいな!」


「グェッ…ゲホッゴホッ!」


 私の服が引っ張られ走り出した私の首を絞めた。

 そして思わず嘔づいた。

 振り返った私がみたのは、トゥエルブだった。


「ちょっとアイコさん! いきなり飛び込まないでくださいまし!  これでいいですわ」


 トゥエルブは腰元からロープを出して愛子の腰にくくりつけた。


「これの端をワタクシが持っておきますから、戻るときには引っ張って合図してくださいね。 引っ張るので」


 トゥエルブは愛子に告げて右目でウィンクした。

 私は、トゥエルブと別れて黒い扉の中に向けて駆け入り込んだ。


「ありがとトゥエルブ。 ルルくん必ず連れ帰るからね!」





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