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抗体 その16

遅筆ですが、必ず進めていきます。

私は身体強化の魔法を使い、足の義足に力を込めた。


ーーーガションーーー


義足からスラスターが現れ、粒子状の魔法力と一緒に熱い空気が吐き出された。


「ほう…ソレは機人の義足か…ソレは普通の神人族が取り扱える物ではないのだがな。 まぁ良い。 三連火炎術トラブェノス


ラムランドが私に右手を突き出して火炎魔法を唱えた。

現れたのは青い三発の火焔弾。

私はその迫り来る火焔弾に向けて魔法を唱えた


圧縮(バアル)!」 


迫り来る魔法弾に私は重力魔法を打ち出した。

’圧縮’の魔法による黒玉は火炎弾をまるで内に吸い込まれるように消えた。


「確かに先ほどより多少は早くなりましたが、連続では難しいみたいですね。 右側がお留守ですよ? 呪怨鎖カース・カデナ


「なんの! ふん!!」


私は右側から迫り来る赤い鎖を義足で蹴り飛ばした。

するとラムランドがニヤリと笑いながら呟いた。


「掛かりましたね。」


赤い鎖は蹴り飛ばされたにもかかわらず、まるで意思でもあるかの如く向きを変えて迫ってきた。

そして赤い鎖が私の右足に絡み付いた。

すると立っていられない程の急な疲労感に私は襲われた。


「体が……」


「体が重いでしょう? 動けないほどね」


足に絡みついて鎖がジャラジャラと音を立てた。

まるで何かに体力を吸い取られるかのようだった。


「貴方の足に絡みついている鎖ですが、あれはただの鎖ではないのです。 私の持つ呪術にて生み出した物ですよ。 まぁ効果は、今体感していただいている通りです」


「なんの、体重いだけなら……圧縮バアル!」


 私は右手を鎖に向けて魔法を唱えた。

 しかし何も起きなかった。


「魔法が発現しない!」

 

 本来なら、黒い玉が現れ鎖を消滅させるはずだが私の魔法は発現しなかった。

 ラムランドはニヤニヤと笑いながら私を見つめ告げた。


「無駄ですよ検体テスター。 ソレはね、状態異常カース生命吸収ドレインを起こさせるのです。 だから結果としてごらんのように。 魔法を放てなくなるのだよ」


 ラムランドは笑った顔のままと私に向かってきた。

 そして変化した大剣を振り下ろした。


「さぁ、死になさい検体テスター。 いかに彼の方がお前と王子を望んでいようとも……」


 振り下ろされる大剣に合わせて私は手にした魔剣で斬り上げた

 そして私の魔剣がラムランドの大剣を弾いた。

 一撃をなんとか弾いたものの、絡みつく鎖が体力と魔法力が奪われているのがわかった。

 ソレでも私はラムランドに問いただした。


「一体誰かしら? 彼の方って」


「まだ、それだけの力を…… まぁ良いでしょう。 いかに検体テスターが優秀とはいえ………」


 私は必死に体に残る魔法力を意識した。

 どうやら一発は放てそうだ。

 そして意識を集中して、一つの魔法を唱えた。


極圧縮テラドバアル!」


 私は左腕をラムランドの足に向け魔法を唱えた。

 ラムランドの足元に黒球が現れ右足がグシャグシャと吸い込まれた。

 だがラムランドは顔色ひとつ変えずに告げた。


「ほう。 驚いたな。 まさか魔法を放つことができるとはな……それに、またひとつ魔法の速度が上がったな。 今の魔法はラグがほぼ無い状態だったぞ。 だが未熟!!」


 ラムランドは大剣を再度振り上げ振り下ろした。


ーーーギィィンーーー


「くっ!! 何で足を一本失ってもそんなに加重をかけて振り下ろせるの!?」


「何、元々無いものが無くなったからと言って何を驚くことがある?」


「もともと無い!?」


「そうだとも、ソレよりも左側がお留守だぞ!」


 ラムランドは大剣を横凪に一閃した。


「キャ!!」


 私は壁まで吹き飛ばされた。

 壁に打ち付けられ、地面に落下したショックで頭がクラクラしていた。


「ほう。流石に頑丈だな。 だがそれもここまでだ」


「はぁはぁはぁ。 私は負けないわ!!」


 私は地面からふらつく足で立ち上がり魔剣を構えた。

 息は乱れ肩で息をしないと立っていられなかった。


「我が呪力を受けてまだ立ち上がるとはな。 それにそろそろ魔法力も底をつくだろう?」


 右足に絡み付いた鎖が鈍く輝いた。

 魔法力も気力も体力も奪われていることは分かっている。

 確かに今は魔法も放てそうになかった。

 だが私の手も足も動く

 ならばと思い、私はラムランドに魔剣を向けた。


「そうね。今は魔法も放てそうにないわ。 でもね。私にはまだ動く手も足もあるのよ。ならば答えは一つ! 魔剣で貴方に打ち勝つわ」


「クアハハ! 面白い。 面白いぞ! 体力も魔法力も奪われ立っているだけでフラフラの貴様が私に勝とうなどとは」


「勝つわ。 行くわよ! ヲルフガング流奥義”枝垂桜オロチ”」


 私の魔法力が金色に輝き魔剣に覆い尽くした。

 そして私から放たれたのは七方向からの剣撃だった。


ーーーギィン! ギィン! ギィン!ーーー


 三方向からの剣戟はラムランドが持つ大剣が弾き返した。

 しかし・・・


「まだまだぁ!!」


 この技は私がロイエルから教えを受けた剣術の中で未だ完成に至っていない技だった。

 ロイエルは言っていた。

ーーーこれは柔の剣技だ。 無駄な力が入っては成功しないーーーと

 今の体力で成功するか否かはわからない。

 でも、今なら。

 体に力が入りきらない状態で打ち出せるならば!


「……まだそれだけの体力が残っていたか!」


 四方向からの袈裟斬り、蓮撃での胸部への刺突がラムランドの皮膚と竜鱗を切り裂いた。

 そして私は、大剣を握るラムランドの右腕を剣ごと切り飛ばしていた。

 膝に力が入らず倒れそうになったが、必死に堪えた。

 そして私は呟いた。


「やった…成功した……」



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