抗体 その15
更新が遅くなっていますが、話を進めていきます
「面白い。 検体よ。 たかだか神人族の娘である貴様に我を斬ることができるとでも」
ラムランドは、そう告げると手にした杖を構えた。
すると杖は赤い魔法力に包まれ一振りの大剣へと変わった。
「私が、貴方を止めるわ」
「私もご一緒します」
私が魔剣を構えたと同時にミレイ・カグラが小太刀を構えて音もなく現れた。
「もちろん、私も戦いますわよ。」
トゥエルブ・マキナも魔法銃を斬撃剣に変形させ両手に構えた。
「我達もおるぞ!」
そうロイエルが告げると私の仲間達が手に武器を持ちラムランドに向けた。
その場には屋敷に突入した十名の仲間がいた。
だが、ラムランドはそんな私たちに恐れる様子もなく指を鳴ら告げた。
「有象無象がどれだけ群れようとも無駄だと知るが良いぞ? ソレにな……」
ーーーパチンーーー
わずかな静寂のあと、ラムランドの後ろにある壁からラムランドと同じ顔の男達が現れた。
室内は広く体育館ほどの広さだったが、半分ほどが埋まった。
「ここには、わが複製体もおるのだぞ?」
複製体の数は二十は超えていた。
「貴様ら相手は我一人でも良いが、いささか多勢」
ラムランドはミレイ・カグラを見つめ告げた。
「ならば検体以外は、この我の分身たる物どもと戦ってもらおうか。 なぁ?レイ・カグラの複製よ」
ラムランドが告げると、複製体達は各々が大剣を持ち構えた。
「どうだ? この数ならば貴様らに引けは取るまい?」
クククっと笑いながら私たちを見下ろすラムランド。
私はそんなラムランドに告げた。
「私たちは、決して負けないわ」
「ならば実力で示せ。検体よ」
言葉を返したラムランドが走り出した。
ラムランドは大剣を振りかざし一瞬の間に距離を詰めた。
「くっ! 圧縮!」
「甘い。 当たらなければどうということはないぞ」
ラムランドはひらりと私の重力魔法弾を避けた。
幅の広い大剣は加重のかかる武器だ。
そんな大剣をラムランドは事もなきに扱い、身軽に魔法をよけた。
そして私の頭上で瞬時に振り下ろした。
「くっ! アヴァリーティア!」
ーーーギィィンーーー
金属と金属がぶつかり合う音が響いた。
魔法剣がラムランドの大剣と擦り合い不協和音を鳴りに擬かせていた。
「ほう、我が”縮地”を回避するか。やるな検体よ」
「ソレはこっちのセリフよ。 どうして私の魔法弾を避けられたの・か・し・ら!!」
互いの剣戟を捌くと距離をとったラムランドが嘲笑気味の表情で私に答えた。
「簡単だぞ。 貴様は気づかないかもしれんが、貴様の魔法発動には少しタイムラグがある。
わが縮地は距離を瞬間に詰める固有技術だ。秒にも満たないラグではあるが我には回避するには十分な時間だ」
ラムランドは不満そうな顔で私の魔法の弱点を説明してきた。
言い方は気に食わないけど確かに、私の魔法発動までのタイムラグを見つけて対処された。
ソレはラムランドが確かな実力者であることの証だ。
私は気持ちを切り替えた。
「ご教授どうも。」
私は息を大きく吸い込んだ。
そして魔剣を振りかざさし叫んだ。
「確かに魔法発動のラグはあるけど、私はソレを乗り越えて見せるわ」
「ほう…ならば超えてみよ、検体よ」
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