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抗体 その14

少しづつ終わりが近づいています

「おやぁ? これはこれは? 驚きですねぇ。 検体テスター


 司祭の衣服に身を包んだ竜人は私達をみながら、大きな素振りで驚いてみせた。

 私は少し苛立ちながら室内を見渡した。

 司祭ラムランドに前には黒い水晶が三つ並んでいた。

 あれは、エクス・マキナの国で見た水晶と色は違うが少し似ていると私は思った。

 その時、トゥエルブ・マキナが黒い水晶を指さして声をあげた。


「どうして…どうしてソレが……’次元結晶封印ダスシュタルテン システム’がココにあるんですの? あれは…エクス・マキナ様が作られたはずなのに…」


「ほう。これを知っているか…ふむ。 機人よ、お前は先程、エクス・マキナの名を呼んだな。 ならば貴様はアイツの同類か?」


ラムランドは首をコキコキと鳴らしながらトゥエルブ・マキナを見つめ問いただした。

トゥエルブはラムランドを見つめ魔法銃を構えて告げた。


「ええ。 私は機人国エンドアートの女王! トゥエルブ・マキナ。 貴方はなぜ叔母上様エクス・マキナの名を知っているの? それにどうしてコレがココにあるの。 答えなさい」


ラムランドは、目を見開きトゥエルブを見つめ答えた。


「貴様が女王ということは…そうか! エクス・マキナは! あの女は死んだか! ははは、滑稽だぞ、滑稽だぞ。 機人よ」


「なっ! きさまぁ! わが叔母上を愚弄するか!」


 トゥエルブの怒りが大気を伝って私にも感じられた。

 そんなトゥエルブを尻目にラムランドは話を続けた。


「まぁ待て機人よ。 確かにこの次元結晶は、エクス・マキナが開発したものだ。 だがな……それをさらに改良した者もいるのだよ。ソレがそう私だ! 」


 目を見開き大きく両手を掲げたラムランドが告げた。

 そして首をグリンと動かしトゥエルブ、マキナを見つめた。


「ソレにな、私は何もエクス・マキナを愚弄しているわけではないぞ?  むしろ畏敬の念さえ抱くほどだ。 まぁ私はな羨ましかったのだ。 息を吐くように幾つもの発明をするエクス・マキナ。 その発明はどれもこれも素晴らしいものだ。 そして発明したことを気にもせずいる佇まい。 そうまさに女神だ、機械の女神。 衆人からも崇められてさえいたんだぞ」


 ラムランドは息を吐くようにエクス・マキナを褒め称えた。

 だが突如声のトーンが下がり、ラムランドは地面を見つめ呟いた。


「かたやどうだ? 私は? 同じように羨望の眼差しで見つめ囚人の一人になっている私。 科学者として奴と私の差………私の奴に対する畏敬と共に心に渦巻く劣等感。そして憎しみ……貴様に、機人の貴様にわかるか!? この気持ちが」


 ラムランドはさらに目を見開き、トゥエルブに話を続けた。


「そんな奴があっけなく死んだとな。 コレが滑稽でなくてなんなのだ! もう奴を超えることはできない。 では私の怒りは、憎しみはどこに向ければいい」


 ラムランドは瞳を閉じて言葉を続けた。

 そんなラムランドにトゥエルブは告げた。


「そんなのは貴方の勝手な思い込みじゃない。 それを私たちに伝えてどうなるというんですの? 目の前の壁と思ったのなら、乗り越えればいいじゃない」


 トウエルブは真っ直ぐな瞳でラムランドを見つめた。

 ラムランドは、トゥエルブの視線から目を逸らし黒い水晶を叩き叫んだ。


「ゲヒャヒャヒャ! レイ・カグラも同じことを言っていたな。 それにその目だ…エクス・マキナと同じような、その目がうっとおしいんだよ! ……フハハハ、だが見よ! 大層なことを言っていたレイ・カグラもこの次元結晶に封じた。 それにエクス・マキナも死んだ。 誰も俺を捌くことなどできないのだよ!」


 ラムランドは狂人のように叫びながら笑い声を上げた 

 私はラムランドの姿を見てトゥエルブに告げた。


「トゥエルブ、あれはだめだよ。 もう完全に心が折れてる。 心が折れて屈折した感情で自分を支えているんだよ。 私たちの声は届かない」


「アイコさん、竜人は高貴な種族ではないのですか! 私が叔母上から聞いていた竜人は高貴な使命と自らを律する知性のある種族です。 あれは違います。」


トゥエルブは涙を流しながら私に問いただした。

私はトゥエルブの肩を叩き答えた。


「人も、竜人も、心は脆く繊細なものよ。 たとえ高貴な種族だとしてもね。 そんな彼に私達ができることは、怨嗟の念から解放してあげることだけよ。」


私は魔剣を構えてラムランドに対峙した。


「ラムランドさん。 貴方の怨嗟、私が断ち切るわ!」









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