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抗体 その13

少しづつですが、話を進めていきます。

「ケイト! その腕を持ったまま私と来て!」


 私はケイトに告げた。

 そう……ケイトは切り離されたミッタマイヤの腕を大事に抱えていたのだ。


「アイコさん! わかりました。 少し待ってください!!」


「ええいちょこまかと!」


「そんな剣筋で私に当たると思っているのですか!」


 黒いローブを被った白い竜人が放つ剣戟をケイトは片手に持った魔槍で捌いた。


 ケイトの持つミッタマイヤの腕があれば、彼を助けることができると私は確信した。

 そうソレは、私の持つ唯一の回復魔法 ’極生命蘇生術デオアスクラビウス’ だ。


ーーキィンーー


 軽い金属が交わる音が近づいてきた。


「お待たせしました! それで私はどうのようにすればいいのですか?」


 私がそんなことを考えていると、ケイトが私と合流した。

 彼女の手足には無数の切り傷と共に少しだけ血が流れていた。

 どうやら、白い竜人の持つ大鎌で斬られたようだった。


「ケイト! 貴方の足の傷は浅いようね。 そのまま行けるかしら?」


「愚問です! アイコさん。 この程度の傷は負傷に値しないですよ」


 ケイトからは元気な声が返ってきた。

 目の前でミッタマイヤの腕を切り飛ばされた姿を見たから精神的に落ちていると思っていたのは杞憂だったようだ。


「わかったわ! じゃあその腕を大事に持って付いてきて!」


「ええ。アイコさん! ところでダーリンの腕をどうするのですか?」


「ソレはミッタマイヤと合流してから話すわ!」


 ケイトと私はゲシュタルと他の白い竜人が繰り出す嵐のような攻撃を紙一重で避け続けた。


「ケイト!右気をつけて!」


「アイコさん!頭上きます!」


「くっ! ちょこまかとぉ!!」


 私たちは、攻撃の直撃を避け、魔法は弾き飛ばしながら駆けた。

 そしてミッタマイヤと背を合わせる形でミッタマイヤの元に辿り着いた。


「アイコ殿! こちらにきても、奴らの攻撃は中々に厄介だ。負傷した我では全ては捌ききれん」


「大丈夫! 貴方の腕が元に戻ればいいんでしょ?」


 そして私はケイトに告げた。

 ミッタマイヤの腕を元に戻す方法を!


「ミッタマイヤ! 腕の切り口をケイトの持つ腕の切り口と合わせて! ケイト! ミッタマイヤの腕を合わせて!」


 私の前でミッタマイヤは止血していた布を外した。

 そこには鋭利な刃物で斬られたように綺麗な切り口があった。


「これで良いか! アイコ殿」


「えっと腕がこの位置だから……わかったわ!これでどうダァ!!」


 ケイトは血で汚れることも厭わずにミッタマイヤの腕と手に持つキロ飛ばされた腕の切り口を合わせた。

 私は二人に向けて一つの魔法を唱えた。


「’極生命蘇生術デオアスクラビウス)’」


 私の体内を循環する魔法力が言霊とともに形となり二人を包んだ。

 そして二人は言霊と呼応するように私の魔法力と共にその身を光り輝かせた。


「グアぁ! 腕が熱い!」


「ダーリン!! あぁお願い動かないで! 腕よくっついて! 早く!」


 切り離された腕と切り口の根本から光り輝く糸が現れた。

 そして魔法力と共に腕と腕が編み込まれるように光り輝いた。


「ぬぅ! なんだこの光は」


 眩い光が当たりを包んだ。

 その一瞬の間にミッタマイヤの腕はくっついたようだ。

 そしてミッタマイヤは確かめるように指を動かした。

 その姿を見て私は安堵の言葉を漏らした。


「ふぅ。よかった。 無事にくっついたようね」


「おお、腕に感覚がある! それに指が思う通りに動いているぞ。 恩にきるぞ。 愛子殿!」


 ミッタマイヤが笑顔で感謝の言葉を述べ、愛子を見つめた。

 そんなときミッタマイヤの横でケイトが驚きの声を上げた。


「わわっ! 私の傷も消えちゃった」


 ハワワと驚いた表情で先ほどまであった切り傷が消えた足を見ていた。


「さぁ、あとは私たちがなんとかするわよ! トゥエルブ!!」


「もちろんですわ! アイコさん!!」


 そんな二人を尻目に私は大きな声を上げた。

 そして隣に立つトゥエルブと共に私はゲシュタル達に告げた。

 さぁ、ここからは反撃の時間だ!


「’極滅圧縮テラドバアル’」


魔法銃マナカノン第三弾倉解放サードブリッドリリース! 全弾発射フルバースト!」


「これは…いかん離れ……!」


 私とトゥエルブ・マキナは二人が持てる最大火力を解き放った。

 極滅圧縮テラドバアルにより生み出された黒点は、いきなり膨張すると白い竜人達を飲み込み虚空に消えた。

 トゥエルブ・マキナの魔法銃マナカノン第三弾倉サードブリッドより放たれたのは白い氷結魔法の込められた弾丸。

 白い弾丸は巨大な束となりゲシュタルを凍てつかせた。

 そしてゲシュタルを巨大な氷塊に変わり果てさせた。


「トドメだ! 輝け星剣ソレスタ! クレイ流剣技 ’破邪断頭ザインスラッド’!!」


 レイジィの持つ光輝く魔法光剣により、その氷塊は細かな微粒子になり消え去った。

 ゲシュタルが消えたことを見届けたミレイは私達と共に屋敷の奥に進んだ。

 いくつかの扉をくぐり抜けると目の前に松明に照らされた赤い扉が現れた。


「あれが、屋敷の最奥にある部屋です。」


「わかったわ。 このまま行くわよ!」


「「「「はい」」」」

 

 そして私とミレイは最奥の扉を蹴り破った。

 部屋の中に、けたたましい破壊音が響いた。

 

「ここに、ルル君がいるはず!」


 私は薄暗い部屋の中を見渡した。

 そこに居たのは、司祭の衣服を身に包んだ一人の竜人だった。



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