抗体 その11
ミッタマイヤ……
ミッタマイヤが体に黄金の魔法力を纏った。
獣人特有の肉体強化魔法だ。
「ヲルフガング流決闘術を舐めないでいただきたい。 我が一撃は天の一撃。 我が砕けぬものはなし!」
ミッタマイヤは体から吹き出す魔法力をそのままにさらに力を込めた。
右手が更なる輝きを放ち手の中には、硬く硬く圧縮された魔法刃が具現化した。
「ヲルフガング流決闘術! ’光刃’」
「ほう、魔法力を圧縮した刃か、ソレならば我の肉体を貫けるとでも思うたのか。 フハハハ面白い。わが最強の盾!竜鱗を貴様のソレが貫けるか勝負だ」
「うぉぉぉ!」
「グゥォォォ!」
二人は互いに雄叫びをあげた。
私の鼓膜が破れるかと思うほどの大音量が響いた。
ミッタマイヤの魔法刃が白い竜人の胸部にある竜鱗とぶつかりあった。
「ぐっ! 硬い! だが…まだまだぁ!」
「ぬぅ! 硬い! だが貫かせはせぬぞ!」
ーーーギリィィンーーー
白い竜人の胸元にミッタマイヤの魔法刃が深々と突き刺さっていた。
いや、突き刺さっているように見えていた。
「……ぐっ!不覚!」
「……フハハハ、危なかったぞ獣人よ。あと少し魔法刃が厚ければ貫かれておったぞ」
白い竜人が嘲笑うようにミッタマイヤを見つめた。
竜鱗はひび割れ、魔法の刃が突き刺さっていた。
そう突き刺さっただけだった。
白い煙を上げながらミッタマイヤの作り出した魔法刃は蒸発した。
そして膝からミッタマイヤは地面に崩れ落ちた。
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